「静かな大地」を遠く離れて
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副島隆彦さんのサイトで、小室直樹さんの訃報を知った。 国歩艱難たる今の日本のために、小室さんの埋もれた傑作を今すぐ復刊すべきである。 とりわけこの本を、佐藤優さんの解説付きで出すのに、うってつけの状況下にある。
■『日本の「一九八四年」 G・オーウェルの予言した世界がいま日本に実現した』(PHP) 『動物農場』『カタロニア讃歌』などで数多い読者を魅了したG・オーウェルが、 死の直前に力をふりしぼって著した『一九八四年』。 地球が三つの大国に分割され少数の指導者が大衆を意のままに統治し、 管理する恐るべき社会・・・。オーウェルは、 西暦一九八四年に超管理社会が全地球的に出現すると予言した。 そしていま、日本型「一九八四年」社会が、現実の形となって成立した。 奇才小室直樹がオーウェルの予言を実証する。
佐藤優さんが担っている仕事の何割かは、「21世紀の小室直樹」の称号にふさわしい。 田中角栄=鈴木宗男という日本型デモクラシーの受肉化のような政治家との共闘関係。 学術的な知見から繰り出すパンチのある通俗書で「思考する大衆」に語りかけるスタイル。 『三島由紀夫が復活する』と『大和ごころ入門』に通う「超越性」への注意喚起。 小室直樹さんの直弟子で「学統を継ぐ」副島隆彦さんと対談本を出されてもいる。
僕が最初に食いついた佐藤優さんの本は、『国家の罠』ではなく『国家の崩壊』だった。 『ソビエト帝国の崩壊』を中学生の頃に読んで育った子供だったのだ。 いま『日本の「一九八四年」』を読むと佐藤優さんの本をめくっている錯覚に陥るような 固有名詞や筋運びが目にとまる。1984年と2010年。その間の歳月が、胸に迫る。
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