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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2003年12月31日(水)
水曜の朝 午前三時

 くたびれて、道端に座り込んだ行商人。僕の耳はそんな風に僕の周りの音を集めていた。

「名札?」
「名札が何の関係がある?」

 一センチづつ近づいていくような月の光。 その影が揺れて、まるで引導を渡されるようだった。

 「今すぐ。」

 問答無用だった。 僕は途方にくれて、またベッドに倒れ込む。でも眠くはならない。眠りたくなかったからだ。

 僕は今、アート・テイタムのソロピアノを聞いていて、僕は今、これを打っている。

 アート・テイタムのピアノの心持ちを、うまくイメージできればと、思っている。

 そうするのに時間なんて関係ないのだ。



2003年12月30日(火)
シュガーボーン

 シュガーボーンというお菓子が流行っていた。随分昔になるけれど。白いラムネの白墨みたいなお菓子。三本入って40円。ランドセルを下ろして次にすることといえばシュガーボーンを買いに駄菓子屋に走ることだった。メロン味とイチゴ味、レモン味の三種類があったが、私はメロン味にしか浮気をしなかった。いつもレモン味。シュガーボーンを舐めながら読むSF小説は最高だった。勿論、手打ち野球や鬼遊びも。誰の手にもシュガーボーンがあった。シュガーボーンは全ての子供の右手を独り占めしていた。夏にはシュガーボーンを買いに来る幽霊の話が盛り上がった。自分の子供にシュガーボーンを食べさせるために駄菓子屋の戸を叩く幽霊。嘘みたいだけれど、毎年その話は子供たちの間で盛り上がった。駄菓子屋の名前を変えて。昔は駄菓子屋が多かったのだ。


2003年12月29日(月)
ニュース

夕方を過ぎてニュースはやって来る。

この世の中はそういう風に出来ているみたいだ。



2003年12月09日(火)




2003年12月02日(火)
木札

スケッチ帳を腕に抱いた猫
それが次々と建物の中に入っていく。
彼らは力を込めると爪が伸びる。
気付いてそれを引っ込める。
そして建物の入り口で、鉄の投函箱に用意した木札を入れる。

その繰り返しだ。
そんな夢。



2003年12月01日(月)
シクラメン

店から貰ってきたシクラメン
透けて見えるようなピンクの花を咲かせて
でも意外に花が固い。