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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2003年09月30日(火)
子犬たち

いつの間にか空き地に出ていたみたいだった。今度は板塀を向こう側から見る恰好。キュウキュウと泣く声が聞こえる。あたりはさんざと残り日が降り注ぐ。野焼きの匂いとも草の蒸せた匂いともつかぬ、すえた匂いが鼻をつく。足元は露で濡れていた。進めば、
その丈はますます、僕の体はドンドン沈み込んでいった。声のほうへ、声のほうへ、
進むと、隣家のブロック塀近く、草の温かに生い茂るのを踏んで固め、そこに子犬が折り重なって眠っていた。
我を忘れ近づく。それから腰をかがめ、その鼻息がかかるところまで。親犬のことを思いだして振り向く。
何も分からない。
丈の高いススキの穂が視界を覆い隠していた。
僕はそれで茶色の小さな子供を抱き上げた。
まだ目も開いていない。
自分の冷たい手を温かく包み込むばかりだった。



2003年09月29日(月)
冬の散歩道

カフェ・アゼリアをでると、僕はまるで丸裸にされた気分になった。指先に感じる風と頬に当たる風は均一。どちらも冷たい。たがの外れたレジスターみたいにポクポクポクポク独り言が口をついてでる。窓越しにぎっちょのマスターがコーヒーを入れるのを見た。それからそのマスターの向こうにポットが湯気を立てているのも。僕は斜めに斜めに路地を曲がる。路地の奥は小豆色の板塀で、その向こうは空き地になっている。板塀の下は中が覗けて、そのキックできるくらいの際に空気の抜けたサッカーボールが転がっていた。ぼんやりしてると、黒ブチの野良犬が僕の横を通っていく。少し足を速めて僕を通り過ぎる。僕はなんとなしにその後を追う。犬は更に足を速め、僕も足を速める。犬はついにこちらに首を曲げ、軽く唸る。
うっうっう
犬はピョンと跳ねて、僕は頭を隠した。息を詰める。目も瞑った。
耳には遠くへ遠くへ犬が駆けていく音。
振り返ると、その犬の姿は何処にもいなかった。



2003年09月28日(日)
Polka Dots

恋は水色、小寒い秋で、風でページがめくれる。ケヤキの並木が続いていて、水玉模様の陽が落ちる。冷たい空気には透明な質感があり、僕は吸い込む。そしてみんな白い息を吐いていた。マフラーを首に巻き、頬を赤くして、小さな歩幅でチョコチョコチョコと。
カフェ・アゼリアには分厚いガラスが張ってある。そして、そこにいつも流れているのはポール・モーリア楽団の恋は水色、それから同じくイージーリスニングのダンシングクイーン リチャードクレイダーマンのピアノも流れている。僕は恋は水色を聴くとついつい自分の記憶に齧りついてしまう。恋は水色は御在所岳のロープウェイからみた紅葉を思い出させる。深々とその透明な秋の空気が降り積もっていくのがわかる。熱い紅茶とシナモントーストが御似合いだ。誰も頼みもしないのにカフェ・アゼリアはいつもシナモンの匂いがいつもプンプンしていた。



2003年09月27日(土)
違う名前

つまり僕の君は

誰かの言う君は

まるで違う。

でもその異名もまたあなたなのだと

僕は信じることが出来る。



2003年09月26日(金)
伝え聞く言葉

誰かが誰かのことを僕に話してくれる。
例えば・・
とても好きな人のこと
それから・・・
とても遠くにいる人たち。
正直なところを知りたくて
ただとにかく知りたくて

でも随分思い込んだところに
我らがびとはいる。
だからどんな片言でさえ、
それはまるで違う側面で
まるで言葉だけみたいで
まるで針金みたい
我々が彼らを包む気味のいいこころは
霧消して
それを伝えたくて堪らない気持ちになる。
とても逢いたくなる。



2003年09月25日(木)
解き離したもの

ここ数日のことを ずっと思い出そうとしている。



2003年09月24日(水)
野良犬

野良犬について書きたい

そんなことを考えたのはつい先日のこと。

何もしちゃいないが

浮かんだ情景は

野良犬のことだった。

最近減ってしまったけれど野良犬のことを書いてみたい。

野良犬は誰からも羨ましがられないアウトロー。

彼らの品性は常に脅かされているに違いない。



2003年09月23日(火)
その男は

ハンガーみたいに肩がこわばる。

体の隅々まで違和感を感じる。

あたりの冷たい感じ

それから

グラニュー糖を探している。

つるりとした指先

それから時計台も・・・

その男は一人きりだ。



2003年09月22日(月)
anatomy marder

これが何の類型になるのか?
それはわからない。
デューク・エリントンの音楽は常に僕を魅了し続ける。
僕はほとんど信仰というものを持たないが、エリントンの音楽は別格だ。
都合70枚はあるレコードは僕の宝物
汲んでも汲んでも飽き足らない。
優雅で下品で 
スイートでワイルド

エリントンの音楽があれば あとは何もいらない。



2003年09月21日(日)
下北沢に侍らう

頭の痛くなるよな火を抱えて

プカプカ浮かぶ人たちに溶け込んでしまいたい。

まるで地蔵盆のような賑わい

無言でいるのは勿体ないが

無言でいてもさとられない。




2003年09月20日(土)
TADD DAMERON

ダメロンの楽曲には、好きな曲が一杯ある。

our delight や lady bird や dameronia

後年に入っての フォンテーニュブローも捨てがたい。

our delight はカバーも多い。

一番有名なのはソニークラークのピアノトリオによるものだろうか。

僕はジェリー・マリガンの海賊版での演奏を割りと気に入っていたりする。

アレンジに凄みをみせるミュージシャンなのだけれど、

どんな曲が流れたとしても、たぶんダメロンの曲はすぐに分かる。

簡単なバップチューンだけれど、これはもうビバップじゃない。

そんな匂いがするのだ。

ちょうどバド・パウエルがそんな気を発しているのと同じだ。

ちょっとしたドラマチックさが加わっていて、それが後年のハードバップチューンに比べてあざとくない。

この時代のパイオニアといえば、やはり最初にモンクを挙げるべきかもしれないが、

そしてダメロンがトップシーンに自分のグループを率いて躍りでたそのとき、

モンクは更に奇妙な音楽に没頭していたわけだけれど(ブルーノート:ジニアス・オブ・セロニアス・モンク)

その後のもっと洗練されたジャズにうまく歯車が合わなかったのだろう

何か個性的な突起を感じるのだけれど、それをすぐ次の時代には結びつけることが出来ない。

トランペッター ファッツ・ナバロの存在がそうさせるのか。チャーリー・パーカーの音楽よりも刹那的なものを感じる。時代のせいなのだろうか?

でもそれが、毎夜流れていた時代に、一種の羨望を禁じえない。

まるでレヴューみたいなダメロンの音楽。

とても素敵なのだ。




2003年09月19日(金)
返りの鞘

まるで時計台みたいな雨降りが続いたあとに、ヘンデルみたいに風通しの良い秋晴れ。

御堂筋ツラツラと車を走らせ、梵字めいた角を曲がる

長いレガートの後、一寸の静けさ。それからアメンボみたいなスタッカートを叩く。

ブードゥな沈鬱

パタパタと無反省な物干しの洗濯物

それを潜って、小ハエが自在に八の字を描いた。



2003年09月18日(木)
感覚

ゆらりゆらりと

先日買って来た沖縄音楽のCDを聴きながら

起きぬけの 部屋の片付け それから歯磨き

日記

ただキーボードを動かしているだけ・・・

下北沢で買ったお香の残り香が部屋には残っている

箱型のお香入れも一緒に買った

ちょっと無いタイプのものだったので、

見ているだけで心地よい。

その店では昔、中国の方位磁石も買ったことがある。

決して正しい方角を示さない方位磁石。

それを並べて置いてみた。

店は月天という家具屋さんのすぐ隣、下北の騒がしい口の方から出て、

その割りにしんとした一角にある。

それはともかく、折角なので もう一本焚いてみた。



2003年09月17日(水)

少し灯りが強すぎる。

それで 電燈を大きなものから小さなものへ切り替えた。

あとは音楽しか流れていない。

彼岸を過ぎて しんとした気持ちがずっと続いている

明日あたりイタリアの映画でも借りてこよう。



2003年09月16日(火)
タワーレコード

今日は部屋の更新を済ませ、それから・・

ラモーナを決め損ねると

新宿のタワーレコードへ行った

久し振りに長々と視聴をしてゆっくりとCDを選んだ

ほんとはディスクユニオンでジョージ・ウォーリントンのレコードを買いたかったのだけれど

しょうがない。

新宿のタワーレコードは見やすいし買いやすい。

そのまま三枚買って家路に着いた。

フルスイングというオルガントリオと沖縄レアグルーブというコンピ盤それから恋は水色が入ったアルバム

家でゆっくり聴いて、いま三枚目、

いつものことだけれど、また音楽鑑賞の趣旨を間違えているような気がしてきた。



2003年09月15日(月)
ラモーナ

というわけで、今日も素敵なラモーナを決め損ねた


2003年09月14日(日)
ベムシャ・スイング

気が付いたら口笛を吹いている

そんなことが続いている

何の天啓かと思ったら、

それはモンクのベムシャ・スイングだった。

この曲は大西順子でよい演奏があった。

ヴィレッジバンガードのライブ盤

モンクのオリジナル盤はどうかというと

これは意見が分かれるところ

ジャケットも少し50年代を飛びぬけていたりする。

阿修羅みたいなモンクのポートレートのジャケット

ブリリアントコーナーズというアルバムだ。



2003年09月13日(土)
フィリップマーロウ

レイモンド・チャンドラーの長いお別れをまた取り出している

例えばマーロウが空港で短い友人を見送るシーン

あるいはコーヒーについてのおかしな薀蓄

そんなシーンを漁っては拾い読みしている。

しんしんとした秋の夜に深いバーボンが飲みたくなってくる。



2003年09月12日(金)
トーチカ

トーチカを組んで、それから

火を焚こう。

何色なのかもはや判別の付かないズタ袋がすぐそばにある。

ライターを見つけて、それから

同じ火を見つめる目を見つけよう。

真っ暗闇というわけではないのだから



2003年09月11日(木)
気持ち

非常に錯乱した気持ちでミスばかり続いている。

何処に行こう?

わかるところから

そうしよう

それ以外のことは考えないでおこう



2003年09月10日(水)
ラモーナ

というわけで、僕は昨日、素敵なラモーナを踏み損ねた。


2003年09月09日(火)
ブリテン

遠くでは文化祭や運動会が記憶というか、ざわめきというか、何かの付けたしみたいに聞こえてくる。

こんなとき、僕はどんな場所にいればいいのだろう?

雨の近い空。冷たい。温かな部屋でブリテンの合唱曲でも聴いていたい木枯らし。

そういうものをこれから毎日振りきらなければいけない。



2003年09月08日(月)
異名の秋

昨日ブラブラ散歩していて思ったこと

僕はこの季節が一番気に掛かる。

どんな音楽をかけてもしっとりとそれが馴染んだりする。

するすると解けていく帯の行方が冷たく澄んだ水の底に

はっきりと見届けることが出来る。




2003年09月07日(日)

体中にガラスの粉が混じっているような、

とてもだるい。血はお酢みたい。その酸味が頭をキリキリさせる。

何も書けない。



2003年09月06日(土)

椅子を窓の方に向ける。

それからなるべく壁の方をみないようにする。

壁は ただ化粧壁を貼り付けただけのもの。

でも、じっと見つめていると

その向こうにこの物語の本当の作者がいるような気がしてきてしまう。



2003年09月05日(金)
蒸気

コーヒーの匂いがする。

甘酸っぱいコーヒーの蒸気が鼻先をかすめる。

今日は台風が来るらしい。雨が降るのだ。

窓から手を出して楽しんでいる。風が強い。風が冷たい。まるで棒切れみたいな風

しばらくすれば、ちゃんとした雨になるだろう。そして僕はいますっかり渋滞に

はまりこんでしまって、そんなことばかり考えている。

といって気持ちが物狂しいわけではなく、きっとそれは秋のせいなのだ。



2003年09月04日(木)
フェンでよく流れていた唄たち

 歌手の名前も、曲の名前もよく分からない

 分からないからフェンに合わせているわけだからそれはしょうがない

 でも本当に軽トラの中でよく唄っていた。

 夕暮れ時なんか 唄っていると最高だ。

 まるでどこかに帰っていく途中みたいな錯角をおこしてしまう




2003年09月03日(水)
マイ シング

春先にはよく口に突いてでた唄

歌詞が何とも説明できないけれど

こみ上げてくるのだからしょうがない



2003年09月02日(火)
daft punk

三曲目のデジタルラブは ほとんど発作的に聴いている。

そんなことしやしないけど、ジョギングの友にウォークマンに突っ込んで聴くと

より映える唄だ。

そんな自分なりのトランスミュージックを集めてみようかな

そうすると、次は コンピ盤 アイ ワズ イェイェ ガール の ヴォリュームワン 一曲目ということになるね



2003年09月01日(月)
マルコス・ヴァ―リ

 今年の夏は本当にこの人の曲を聴かなかった気がする。

 たぶん、どうでもいいと思ってんじゃないだろうか?

 あえてソフトロックにのめり込む気にもなれない。