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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2003年07月31日(木)
今日は雨

今日は8月 

今日は八月の15日

雨が降っている

僕は誰かの声を聴きたい。



2003年07月30日(水)
45℃

「これは誰?」

だいたいそれくらいの角度で寝そべって、そう訊くと

「ニーナ・シモン」

と、返って来た。



2003年07月29日(火)
オクトパスガーデン

低気圧の嫌な匂いがする。

それはまるでオクトパスガーデン

天井の低い空を、

腰を折って進む。

空気が動揺して、

あまり多くのものは見れないけれど。

白球の大半はろくに捕球もされずに

転々と転がっていくもの。


僕のまわりで



そんな気がする。



それでもまだ

詰めてあげれるし

空けてあげられる

木のウロに隠した宝物みたいに。



2003年07月28日(月)
遠望・まち

まるで、前人未踏の地を踏むみたいに

足はさっきからガタガタ震えてる。

まだ見たこともないような坂を

たやすく転げ落ちていくような

火傷したみたいに熱い。
日蔭が射し、ものの踊る気配すら汲み取ることも出来る午後。

都庁のあたりでとんぼ帰り

しかしここは・・・何処だ?



2003年07月27日(日)
You Took Advantage Of Me

フェンではノラ・ジョーンズが、かかっているけれど、

夏が息を大きく吸い込むよな朝に、

曼陀羅と頭の隅に残っていたのは、

バド・フリーマンのこと。
青山ブックセンターで

雨止み待ちに、

うつらうつらと

頭に浮かんでいたのを

溶ける刹那のソフトクリームみたいにキラキラな夏に当てられて、

空から格好の帽子が落ちてきたのを

小走りに追い苅テけるみたいに

それは結局ピタリと僕の頭に納まった。

「あなたの方が一枚上手」は、

バド・フリーマンの十八番ちゅうの十八番

やっぱりキーノート盤が一番好きだ



2003年07月26日(土)
ジャズ・ジャイアント ‘56

 とてもゆったりした気分。

 電話したのと

 レスターヤングのおかげだ。

 ハラワタがとてもゆったりしている。

 冷蔵庫にもたれ掛ったりして

 気分よくねむれることでしょう。

 歯と歯がぶつかり合うみたいに

 どもるみたいに

 ぎこちない

 次々とレコードを乗せ換えてしまいそう。

 次はウィリー・ザ・ライオン・スミス

 その次こそはおやすみだ。



2003年07月25日(金)
コミットメント

けつの穴は一つしかないというに

出さなきゃいけないものは

あまりに多い・・・



2003年07月24日(木)
こよなく こころ

そんなペンネームが

頭に浮かんだ。



2003年07月23日(水)
GO!GO!POP!

ジェルな気分と気分の隙間。

ちょうどよく風通しのいいところにはさかっていると、

誰かの為に歌いたくなる人もいるように

僕は、サンテグジュペリの小説を音読したくなってきた。

手元には本がない。

それで口笛を吹き始めると、

知らず知らず古い曲が口を衝いてでる

注意深く辿ってみると

それは友達の作った曲

繰り返し、繰り返しなぞって

いい気分に浸っていた。




2003年07月22日(火)
八月の水

岸に立って、紙飛行機を飛ばしあうのにも飽きてしまい、

彼岸ではスカートを払い、

此岸ではポケットに溜まった砂を捨てる。

指を水に浸すのがこちらからは見える。

河は薄い碧りに濁っている。

指はそういう匂いがした。

河には歴史があるみたいだった。

手を振ることも出来る。
声を苅テけることも出来る
ともかくも、飛行機を飛ばそうにも紙が無くなってしまった。

彼岸では、何かに切り抜かれたみたいに、

こちらを見つめている

何か名状しがたい気持ちが込み上げてきた。

七月の水は、

思いの外、温かった。



2003年07月21日(月)
マチマチ遠望

マチマチ、ブラリ

マチマチに

独楽を廻す要領で

次第に、それは収まっていくのだけれど。




2003年07月20日(日)
西永福→浜田山

井の頭通り沿いにあるバイク屋にバイクを預けると、浜田山に向けて歩き始めた。
エンジンオイルの交換、ブレーキグリップの交換、ひんまがったギアペダルの修復。

地下になったガレージには巨大なドゥカティが、停まっている。

ほつほつと雨が打つ。

時計を見て、

修理工は六時を指差した。
ブレーキペダルをしゃがみ込むや、十秒で直す。

ドゥカティの次に僕のバイクのオイル交換となる。

ブレーキグリップは取り寄せと相成った。

僕はフラリと店を出て、浜田山を目指す。

浜田山には幾つか花屋があった。

途中、幾つかメールを打ち、
ドトールで、この日記を開く。



2003年07月19日(土)
KICK

腕を伸ばし、指も伸ばす。
爪先に力を込め、

飛び込む。

気が付くと、しゃがみ込んでいる。

途端、力が抜けていく。
道路の真ん中で、


アントニオ・タブツキの小説には
鯨の交尾に触れた短篇がある。

そんなことを思い出した。



2003年07月18日(金)
休憩

アセロラを飲む。

サンドウィッチを食べる。

シュークリームを食べる

またアセロラを飲む

サンドウィッチは卵とツナ

シュークリームはシュークリームだ

今、地下に居て、

こたつの前に座っている。
地下はいたたまれない。
温かいコーヒーと

焼きたてのドーナッツを食べたい

温かい光とゆったりとした音楽

そういうものも、地下には必要だ。



2003年07月17日(木)
消しゴム

僕の声はゴモゴモ、ゴモゴモ、砂みたいに消えてしまう。

人の声も遠い。

どこか遠い

鼓膜がくたびれてしまったみたい。

そんな風に

消しゴムみたいに、

擦り減っていくのは

少し、恐い。



2003年07月16日(水)
苦労、得がたく、ディーゼル立てて、臥せ!

電線にとまるカラスはそう鳴いた。

その向こうには

見事なブルーバック。



2003年07月15日(火)
バリー・ユアグローへ

空から丁度、お誂え向きの帽子が

フワリフワリと落ちてくる。

それを受け止めたくて

思わず早足になってしまうことって、

あるでしょう。



2003年07月14日(月)
中目黒駅前

縁側に腰苅テけて、足をブラブラさせてる子

いうことをきかない気持ちをジッと見つめている。

大きな平ぺったい石に小さな靴が丁寧に揃えてあり、

その脇には、水を溜めた木の桶と覆いかぶさった萩の木の影。

桶の縁にはにゅうめんみたいな手ぬぐいがかかってる。

耳を澄ませば、誰か、何か、

それが###と笑っている。
僕には、聞こえないけれど

僕は雨に目を滑らして、停止線を随分、

はみ出した・・・



2003年07月13日(日)
TOGO BRAVA

 なんとも味気ない画面だ。

 そこにおそるおそる打ち込んでいく。

 出来上がると

 少しだけ満足する。

 その繰り返し。

 味気ないことこの上ない。

  



2003年07月12日(土)
目黒→目白(山手通り経由)

背筋を伸ばし、目をツムル。
誰かが後ろに立ってる?
そんなに遠くないところで、僕を見てる?

優しく唇に手を当てて。
僕だけは起こさないで

僕じゃない人は起こさないで

僕だけ起こして

こっそり

夜中の台所に連れてって。



2003年07月11日(金)
晴れ、曇り、晴れ。

空が随分ウットリとしてきた。

雨が止み、静かな寝息が聞こえてくるよう。

千代紙みたいな空

僕はその洗いたてみたいな空に、ソックリくるみこんでもらいたい。

誰も返してはくれないが、

僕の取り分はそこにある。

おそるおそる、アクセルスロットルは全開にした。



2003年07月10日(木)
イディオム・03

 泣く声が美しい町があった。

 伽藍と、教会の鐘の鳴るのを遠望するみたいにして、

 女はそう言った。

 

 本のページからひょっこり顔を覗かすものもあるように

 その記憶は突然僕を捉える。

 色褪せない巧みな表情のさまを辿り

 思わず息を呑んでしまう。

 窓のそとは、まだ雨だった。


 
 その町に着いたのは、午後過ぎのこと。

 心細いバスに、乗客は僕一人だけだった。

 その町に降りたのも僕一人

 じっとりと額に汗を浮かべたバスの運転手は

 何か眩しいものでもみるように僕を一瞥すると

 またエンジンを掛け、内側に折り込んだ扉を再び閉じた。


 

 誰もいない通り、車は二・三台止まっている。

 どれもピカピカに磨かれて、

 どれも原色でペイントされていた。

 見上げれば、手が届くくらいに空が青い。

 西部劇でも見ているみたいだ。

 通りの並びには

 薬局、煙草屋 雑貨屋が店を空けている。

 それ以外の家屋のおもては、全てシャッターがおりている。

 とてもひっそりとしていたが

 薬局に入る。

 ツンとした薬の匂い。

 その一番奥で、何かを編みこむみたいな手付きで

 チョコンと婆さんが店番をしていた。

 「ここらで、休める場所はないでしょうか?」

 そう訊くと、老婆は一寸間を空けて、目は宙を泳ぐ。

 「ないねぇ」

 と、ため息まじりに返ってきた。

 「ここでお茶でも飲んでくかい?」

 そう水を掛けられ、

 あっさりと、脇にあった踏み台に腰を下ろす。

 喫茶店をとても見つけられそうになかったから。

 そして、別に一人旅を楽しむ向きでもなかった。

 

 それから婆さんはとめどなく喋ったが、

 僕は片時も耳を澄ませるのを忘れない。

 そうそうと

 婆さんは奥に引っ込む。

 戻ってくると

 爺さんの形見だという古い腕時計をまたたくまに僕の腕に巻きつけた。

 


 そうこうするうちに、陽は傾き始めた。

 帰りのバスのこともある。

 遮らずにいたら、布団まで敷かれかねない。

 「そろそろ帰りますよ。」

 そう言って立ち上がると、

 老婆はいかにも淋しげだった。

 時計を外そうとすると、

 それも押し止める。

 頂けませんよと引き剥がそうとするが、

 どうにも振りほどけない。

 「また誰かがきたときに、見せられなくなっちゃいますよ。」

 と、諭すが、今度は次から次へと時計をカウンターに並べ始める。

 「だから、一個くらいいいんだよ。」

 と、淋しげに笑った。

 僕はまるで、賽の河原の石積みでもみるような按配になってしまったが、

 時間も切り始めている。

 「ありがとう。」

 そう言って、店を出ることにした。

 

 外に出ると灼熱の夏の日も、随分柔らかいものになってきていた。

 耳を澄ましても、昼から起きはじめた虫の声しか聞かれない。

 それでも例えば突然降りだした雨みたいに、

 何かが何かの為に一斉に泣き始めるであろうことは

 疑いようのないことのように僕には思える。

 その期待と、この静寂と、 被さる疲れと

 それらが交錯するところに

 その泣き声は聞こえることだろう。

 僕は既にその声を知っていて

 しかもまだ泣いているというのに

 ただ、心の中の青い痣としてしか残ってないだけなのかもしれない。


 
 

 



2003年07月09日(水)
生返事

まばたきするたびに、気分が落ちていく。

そういうのを振り払おうと、深呼吸を繰り返す。
でも、幾らにもまけてくれない。

しがみついていけと

いわんばかりで、

あー、わかったよと

生返事。

あー、わかったよと

生返事。



2003年07月08日(火)
5・7・5?

そんなこと

できなくてもいい

と、また紙を折る



2003年07月07日(月)
ドーナッツの孤独とスポンジケーキの哀しみ

明日の為に死ねるなら

ふと、そんなことが心に浮かんだ。

部屋の片付けを済ますと

哀しくなる



2003年07月06日(日)
二ミリ

たった二ミリ近づくだけで

壊れてしまうものもある。

いいとか悪いとか

そういうことではなくて

そんな風な慰め方も

時にはある。



2003年07月05日(土)
九月の雨と九月の唄

そんな曲が双子みたいにジャズスタンダードにある。

夏本番に九月も雨もないものだけれど、

時々、ターンテーブルに掛ける。

その衝動は季節と天候に関係なくやってくる。

僕がよく聴くのはイリノイ・ジャケーの演奏の九月の唄

もしくはハリー・エディソンのパシフィック盤に収められた九月の雨

印象に残っている、という点で、

ウディ・アレンのラジオデイズのオープニングで使われたことを

よく憶えている。

それは九月の唄のほう。

回想するウディ・アレンの後ろには

白いジェット・コースターが、

白いジェット・コースターはギター弾きの恋にも出てきた。

そういうどうでもいいことはよく憶えている

それはしょうがないことなんだ。



2003年07月04日(金)
朝を閉じる

天井の低い地下を潜り抜けていくみたいに

隙間の多い眠りだった。

深く眠れなかったというわけではなく

なんだかゴツゴツしている

その手触りが残っていた。

時計を見ると既に10時間以上眠っている

朝を閉じた



2003年07月03日(木)
日記

クロスワードの升目みたいに、日記の日付は抜け落ちている。

それはあまりに雄弁なので、一つ一つ始末していかなければいけない。

急ぐこともない。

思いつけば、打つ。

日付の変わるスピードを

うまく追い抜くことは出来るかな?



2003年07月02日(水)
プラスチック

プラスチックみたいだったら良かったのに

僕の文章の話。

プラスチックみたいな文章で

色々想像できることは

僕をドキドキさせる。

ブリジット・バルドーみたいな女の子しか

思い浮かばない

プラスチックで、ガーベラ、

そんなイメージで

何とか文章を作ってみたい。

実はそんな風に試みたこともある。

もちろん、とてもおっつかなかったけれど

軽薄なものがとても大好きなのだ。

そんなものしか時の鎖を逃れることは出来ない。

あるいは、それは時の鎖を逃れえる。

錯覚で・・・



2003年07月01日(火)
鎌倉草聞3

 着くと、バイクを通り沿いに停めて、喫茶店に入った。

 すこし休憩を入れたかったのだ。

 そこで切り通しの場所を聞くが、要を得ることは無かった。

 丁度、のど自慢がテレビに映っていて、

 ママは、うまいね。とぼんやり呟いた。

 その喫茶店を出ると、萩寺に向かった。

 途中、セイロンティを売る赤い店があり、

 中を覗くと、可愛い雪駄が飾ってある。

 でも店員も客も誰もいなかった。

 その道は丁度、鶴岡八幡宮の右に伸びる道で、

 その突き当たりに萩寺はある。

 萩寺では、本堂にあがり、

 ぼんやり天女の掛け軸を見ていた。

 あと、蜘蛛の巣や、アジサイの花を写真に収めた。

 鎌倉駅に着くと江ノ電へ

 長谷寺にでも、と思ったが、

 結局、鎌倉高校まで

 そこで海をぼっと見て

 しばらくして、のぼりの電車がやってきたので、それに乗る。

 人の多いことにウンザリしてきたので、

 そのままうちに帰った・・・