後悔日誌
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2003年09月29日(月) 心境


そんな事、分かっちゃいるんだよ。
お金は大切、いざという時のためにも残しておくに越した事はない。

でも、なかなか物欲は止められない。
悲しいけど、真実。


男はモノが好き。
女は愛が好き。

その通り、だと思う。
例外はあるけど。


かっこいい車に、それなりにのんびりした我が家。
羨ましいけど絵に描いた餅だね。


将来のことで彼女と軽く口論になった。
お金のことや休みのことで、お互いの主張があるからだ。

束縛されるのは嫌だ。
でも、だからといって今のままでいい訳じゃない。
そんなの分かってるんだ。
ずっと前から。


変わりたくて、変われなくて時は流れた。
そろそろタイムアップの頃かもしれないナァ。


出来れば二人、格好よく生きたい。



2003年09月28日(日) 飲酒


船乗りは酒を飲む。
これは当たり前の光景、のはずだ。

でも、時の流れはそうじゃない。
昔はのんびり何ヶ月もかけて行った航海も、今は分刻みの運航。
積荷や乗客の命を預かる訳だから、当然判断力を鈍らすわけにはいかない。

飲酒運転のJRバス、居眠り運転の新幹線。
少しずつ表面化する不祥事が、浮き彫りになっている。


ただ、船が泊まっていれば話は別。
だから今日も飲む。



2003年09月27日(土) 自由


東京に停泊している。
つかの間の休暇に、乗組員は交代で実家へと帰る。
いつもと違い、静かな船内だ。

船の中から街の光を眺めていると、ふと外へ抜け出したくなる。
行き交う車や人の自由気ままさが羨ましい。


こんな日は部屋を掃除してみたり、洗濯してみたりする。
洗濯物を二台の洗濯機で回せるのもこんな時だからこそ。
意外にのんびりした時間が過ごせて良かった。


テレビを見ていたらもう柿の収穫が始まっていて驚いた。
いつの間にか、秋だナァ。



2003年09月22日(月) 特効薬


毎日、油にまみれて仕事をしている。
労働者の手に少しは近づいただろうか。

指紋や爪の隙間にまで侵入してくる油。
それを取るために強烈な洗剤でゴシゴシと毎日、手を洗う。
特にはたわしや歯ブラシも使って。

知らず知らずのうちに手の皮はざらざらになって固くなってしまった。


さて、最近使ってみてびっくりした物があった。
それは女の人がよく使ってる商品だ。

ある時、顔についたペンキの汚れがどうしても落ちなかった。
目を何度擦ってもどんどんペンキが伸びてまるでオカマが化粧を落としたみたいになった。
まあいいや、といいながらも心の中で泣いていたら通り掛かりの友人に爆笑され、さらに切なくなったのを覚えている。
そして、その特効薬として、女の子に恵んでもらったのがメイク落としなのである。

とはいえ、普通は使わない・・・。

船室にメイク落としなぞ置いてあったら何を言われるか分からない。
結局は、奥底へ仕舞いこまれていたのであった。

で、邪魔なので使い切り捨ててしまう気になって初めて使ったところ・・・。
その後の、洗顔の泡立ちに驚いた。

シャンプーを二回したみたいな泡立ちでそれはもう目覚めてしまいそうだ。



2003年09月19日(金) 車窓


会社を定時で退いたのは久し振りだった。
東京から郊外へ向かう電車は、帰宅途中の人たちでごった返している。

「整列乗車にご協力下さい」
一旦、全員を下車させてドアを閉めた後に勢いよくドアが開く。
それと同時に椅子取り大会が始まる。

醜い景色。


途中の駅で各駅に乗り換えた。
当然、もう椅子には座れない。

荷物を抱えながら、なんとか車内に入るのが精一杯。
背中にいた女の子と反射した窓越しに目があった。

目を逸らして、窓越しの人たちを眺めた。
みんな疲れたような顔をしているな、と思った。



2003年09月18日(木) 悪者


可哀想にナァ。

工事の打ち上げで飲みすぎて倒れてしまった工事担当者。
肝心な試運転の日に二日酔いになってしまうなんて。


今日はすっかり悪者にされている。

行き交う人に
「昨日は楽しかったんでしょ」
とか
「ダメだよ〜、程々にしてあげなきゃ」
なんて
オレ、知らないぞ。


2時まで飲んでました、なんて言えるはずもなく。
変な汗掻きながら水ばかり飲んでます。



2003年09月17日(水) 新造船


新造船を見学させてもらった。

ブロック建造といって、大体の形を作ってから組み立てていく建造法。
そのブロックとブロックの合わせの作業を眺めた。

船の後ろの部分に、上の構造物を載せている。
10mmを超える鉄板同士を綺麗に合わせる。

歪む箇所は油圧をかけて引っ張ったり、大きいハンマーで叩いたり。
あちこちで溶接の光が輝く。


手作業なんだな。


船の形を作るのもとても大変な仕事ということがよく分かった。

形が出来ても電気工事に内装工事。
もちろん外装やエンジンの工事もあるし大変だ。

貨物船一隻、100億円!
ほんとだよ。



2003年09月13日(土) 関内


根岸線の車掌は無責任らしい。



「次わかんなーい」
「次わかんなーい」



2003年09月12日(金) 妹


妹が嫁いだ。

慌てて駆けつけた横浜の、とある教会。
バージンロードを歩く姿が、急に先輩っぽく見えた。


末っ子はしっかり者が多い。
兄貴、姉貴の良いとこ悪いとこを目の当りにするからだ。
我が家の妹も、そりゃしっかり者だった。


披露宴。
横浜港を臨むレストランでささやかなパーティが行われた。

親族紹介で大失敗する親父を見て、こんな事もあるんだなと苦笑い。
料理を食べるべきか、写真を撮るべきか迷いながらも楽しい宴で良かった。


最後に妹から父への言葉があった。
親父は照れながら聞いていたけど、自分だったら泣いていただろう。
お父さんにはなりたくない、と思った。


妹よ。

おめでとう。



2003年09月09日(火) 機密


メーカーさんの、最先端の技術ってのは意外にもあっけなく転がってるものだ。

造船所の中で組み立てられるガスタンク。
分厚いアルミを溶接して、見事な球形に仕上げるのにそう時間は掛からない。

現場はただ、溶接するだけ。
でもそれが世界一の技術だったりする。

野ざらしの作業が世界一。
不思議な感じだ。


そのタンクは、最終的には液化天然ガスを運ぶタンカーに収められる。
丸いタンクを5つ位積んだその船は遠くから眺めても変わった形をしている。


途上国では作れないハイテク船。
艦船と同じような秘密の船だけに建造を横目で眺めているのは楽しい。



2003年09月07日(日) 魔の踏切


工業地帯は広い。
とっても広い。

どこまでも続く一本道。
街へ出るにも車がなければ大変なのである。


夜、買い物のために街へ出た。
造船所で借りたポンコツ自転車でひたすら走る、走る。

いい加減に気が抜けた頃、あの踏切が現れる。
車道とほぼ平行に横切る引込み線だ。

自転車は吸い込まれるように線路に導かれる。
線路に落ちた車輪はそう簡単には外れない。
うっかりしてると大転倒。


今年もまた、洗礼を受け嬉しいやら悲しいやら。
複雑な気分。



2003年09月05日(金) 暗闇


深夜鳴り響くブザー。

非常呼び出しで制御室に向かうと目に入らない位警報が出ていた。
赤文字だらけのコンソール(制御盤)。

程なくして照明が薄れ、辺りは闇に包まれた。


ブラックアウト。
船では停電の事をこう呼ぶ。



考えられる原因を元に、復旧作業を行うがダメージが大きい。
燃料系統のトラブルと気付いてからも作業はなかなか終わらない。


やがて真っ暗闇の機関室に天窓から光が差し込み始めた。
あってはならない景色なのに、美しかった。



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