絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


額縁制作         2004年09月29日(水)

----------

マフラーの少女、絵と額

額縁を作っている。
鋸は相変わらずヘタっぴで、角が非常に空いてみっともない。
苦肉の策でカットした薄い板を貼ってみた。補強にもなる。

ヤスリでよく磨いた後、布で拭き取り、ホルベインのグレー色ジェッソを塗る。
乾いてからまたヤスリで軽く磨き、油絵の具を布で擦り込むように塗装。

グレー色ジェッソは目止めと有色とのことして威力を発揮する。
グレー色を下地に施すと、彩度が適度に抑えられ色彩が柔らかい。
木工用塗料も試してみたが、色数多く、慣れてる油彩で事足りる…かも。

マフラーの少女、絵

この絵ははっきりいって、どうしたらいいのか迷っていた。
しかし外側にはっきりと強いラインと色が加わることで、
絵が非常に薄っぺらで、描写や空間・色が足りないことがはっきりした。
刺激されて額装したまま描き直す。

外枠に合わせて内側の絵を描き足し、
内側の絵に合わせて、外枠に色を乗せてみる。

----------

素人でも自作可能な額の組み型は3パターンほど考えたが、
彫刻や段差のない幅広の板状なものが、一番シンプルでベストだと思う。
前出の額は四角い小板を切ったり貼るのが手間だし、
段差に手間と工夫を感じつつも、結構高さが目障りな気もする。
それに所詮苦肉の策。

角が45度にきちんと切れ、きちっと組めさえすれば…。
それが一番シンプルで美しいはず。

この辺で自分一人で考えるのは限界、
ネットで工芸や木工のサイトを見まくる。
そしたらあったよ、辿り着いたのはアイディア工具の威力!!

額・外枠
額を作ろうと一年前に思うまで、ろくすっぽ鋸を持ったことものないわたしが、
今回上手に45度に切れたのは、ひとえにマイターボックス(小450円)、
切る時に机に固定するための大きめのクランプ、
それから、90度に固定するコーナークランプ(680円×2本)のおかげ。
これさえあれば誰でもできちゃうかも。力もいらないし便利だなぁ。

コツは、寸法表から割り出すより、絵に合わせた方が的確、
木は2本一緒に切ること(左右で長さが違い台形だぁ…というミスがなくなる)
どうしても空いてしまう隙間は、木を切る時に出たおがくずを
ボンドで練って埋めること。(パテ代わり。色が木と同じなので目立たない)。

最初の試作品は4mm余白をとったら、とりすぎで隙間がのぞけるほど。
それで次は寸法ぴったりにしてみたら、…絵が入らなかった。(^^ゞ
仕方がないので、内枠に細い木をはって、ストッパーとした。
……この辺は経験値かなぁ。臨機応変に。

比較的最近、靉光(あいみつ)の「眼のある風景」を見たんだけれど、
絵は何回も見たことあるが、額がいい味出してたんだよね。
フレームはまっこうシンプルで。絵と同じような赤茶系・艶有り。
そんな形の額が作りたい。

額・内枠
こちらは内枠。幅広の外枠を上につける前。抜けちゃうのでトンボで借り留め。
裏から絵を留めるトンボ、薄い木で代用してみるが、
ネジ入れる時、パリンパリンと縦に割れてしまう。
針金使ってみたりもしたけれど、こればっかりは市販品を買わなきゃダメかなぁ。

----------

なんだかな、相変わらずアトリエの人は呆れてるようだけれど、
額のグレードがあがってくると、発言にも変化が…。
「額も含めた空間までが作品なんだね」と言われて、素直に嬉しい。

「こういう額、買ったら4000円はするよね」
そうそう、安上がり、という理由で額制作は始めたのだが、
額が自作できれば、規格外の変形サイズの絵も描きやすくなり、
大きさに対する自由度もあがる。

他にもうひとつ気付いたことがある。
額も丁寧に作ると、絵にも、というか、
「モノ」として愛情がわくんだよね。
精神や観念の実体のない感覚じゃなくて、
確かに存在する、わたしの大事な物質としての「モノ」。

コレクションしたい「モノ」。
壁に飾ってみたい「モノ」。
普段ほとんど「モノ」に執着しないわたしにとって、「大事にしたい」
湧き起こるこの感覚は、新鮮。

by HPY


Diary INDEX  |  BACK  |  NEXT  |  制作日誌をメールで読む | 
HOME GALLERY



栗〜形態か空間か細密表現か。井上ひさしの作文教室。         2004年09月23日(木)

----------

栗

この栗は描いてて、なんとなく面白い。
なぜかは分からない。なんとなくとしか言えない。

----------

井上ひさしの作文教室の本を読む。と言っても出だし10pぐらい。

----------

こんな感じではじまる。

----------

----------

「書く」をそのまま「描く」に変えてもいい、
感銘を受けたので、じっくりスケッチブックに
文章を模写していく。それで自分にふりかえってゆっくり
考える。

それから例の栗の絵を見やって、
この絵はなんのために、なにが描きたくて描いた絵なのか、
考える。そしたらあったよ。なにが面白くて、
なにを描きたかったのか。

それからいままで描いた中で成功した絵、好きな絵を羅列し、
どこが好きなのかをあげてみる。

そうしたら、なにかこう一本繋がってるような気がして、
とても嬉しかった。そうそう。
あまりにもアツイのでここにもう一度書く気はないけどさ。(^^ゞ
スケッチブックにびっちり書き連ねる。

スケッチ スケッチ

----------

もう少しページをめくると、もう一つの疑問にも答えてくれる。

----------

容赦がない。目をつむろうとしている人たちにも聞かせたい。

----------

区民ホールの扉

そうそう透視図法、2回もやったのに全然身についてなくて
すっかり忘れてる。どうしても覚えられない。
応用もできない。どうしてくれようかと思ったけれど、
とりあえず観察なくして技法もないな、と
図学を忘れてスケッチすることにした。

その方が可能性もあるよな気がするよ。やっと。
区民ホール舞台

by HPY


Diary INDEX  |  BACK  |  NEXT  |  制作日誌をメールで読む | 
HOME GALLERY



疲れた心は、活字の海に。         2004年09月14日(火)

----------

前回アトリエに行ったのは、ちょうど1週間前か…。
あの日は暑くて疲れたな。
暑かったし、全力投球後に気持ちの上でも疲れてしまって、
チビをおんぶする日が続いて膝の鈍痛が再発し、
電車に乗って往復3時間近くも移動するのがほとほとイヤになる。
その疲れた気持ちに魔が差すように、活字や物語の渦に身をゆだねてしまう。

----------

本を読む。もう字なら何でもいいがごとく、ニュースをひたすら眺めて暗くなり、
最近はネットで活字ならいくらでもあるから、もう
とめどもない感じ。薄い概念、情報ばかりあったって
しょうがないのに、ホント。そんな中、
ジャン・ジャック・サンペの「マルセランとルネ」は…いい♪。
チビも大喜びでこの絵本を見ていた。でも大人だからこそ味わえるものもある。

同じくサンペ挿し絵の、「ゾマーさんのこと」
なんかよくわからないけれど、面白かったな。

サンペの絵はあっさりしていて、木や風景がものすごく大きくて、
その中に描かれる人や子供はとても小さい。
大きな大きな自然にいだかれる小さな小さな人間は、いいな。
それが大都市だとしても、田舎町だとしても。
その辺が印象的。

----------

故ちばあきおさんがこの絵描きを好きだったらしいけれど、
2冊読んでなんとなく分かるような気がした。

故…って、もう20年もたつんだなぁ。眩暈。

----------

他に読んだのは
フランス額装飾入門
額縁と名画−絵画ファンのための額縁鑑賞入門
人間は進歩してきたのか−「西欧近代」再考 現代文明論(上)著:佐伯啓思

----------

あとは個展用DMを作り、印刷所に発注。
ネットですぐにできるから、その辺はずいぶん楽。
前回2回のように、会期始まってからDMを出すというのは避けたいものだ。
…ってことは、今のうちに知人はもちろん、
関係者やら住所録を入力しておかなきゃということ。これはユウツだ。
会期近くなると、雑用が増える。額の準備も頭が痛い。

あ、市展の搬入も今週だ。作品はできてるからいいけれど、
重い運搬はイヤだな。足が重い。

----------

ま、いいこともあった。
うちのチビが以前描いた絵が、ユザワヤ大賞展ジュニア部門で銀賞とった。
スゲー。母よりすげかったりして。
これは親としては誇らしいわね。
でもチビは「ふ〜ん」で終わり。ホントに終わり。
盛り上がる大人たちを尻目に、あっさりしてるなぁ。

授賞式も出ない、と断言。壇上での拍手は、
もう一生味わえないかもしれないのに、見切りが早いなぁ。

それにしても授賞式は、毎年2回頭数で強制参加、
退屈で大嫌い、空疎と思う気持ちうらはら
身内の受賞にはやっぱり壇上にあげたくなって説得するなんて、
なんか急に世俗くさくて自分でも苦笑い。

by HPY


Diary INDEX  |  BACK  |  NEXT  |  制作日誌をメールで読む | 
HOME GALLERY



プランタン続き、テンペラ作業と油彩層         2004年09月07日(火)

----------

植物 植物 植物

構図が悪くて(どうしても左端の芽が出てしまう!!) 右へとずらす(×3回)。(*_*)
背景は最終的に青くしたいので
とりあえずのせてみるが、
生乾きの上のテンペラはうまくのらずに画面で混ざってしまう。

ま、テンペラにクリアーな色はあまり期待していないので、
構わずにローラーをかける。
来るべき油彩層のために、テンペラ層は少し厚みがあった方がいい。
形を直した分だけ、背景に白系をのせる。

植物 植物


左はテンペラ作業拡大図。
今後は油彩メインで作業する段階。前回手順を踏襲。
右はそれに油彩の青と赤茶をのせたもの。
油彩は色味が強いから、葉っぱにもこれから油彩層をのせて
形も色も頑張らないと負けちゃうね。

フラットな均一塗りにしたのは意図的。
それは一見単調だけれど、これが一番植物の複雑に前後した
空間を表すのに、一番邪魔にならない控えめな表現だと思ったから。

それにしても、この青地を塗るだけで、5時間ぐらいかかちゃった。

by HPY


Diary INDEX  |  BACK  |  NEXT  |  制作日誌をメールで読む | 
HOME GALLERY



プランタン。花。         2004年09月02日(木)

----------

植物 植物

前回ドライフラワーの経過が面白かったので、
もう一枚同じような手順で進めようと植物を選ぶ。
地味でありふれたモチーフだけれど、
生き物は結構面白い。

板に石膏地、ファンデーションを施したもの。
ファンデーションはテンペラとあまり相性がよくないようだけれど、
悪いってほどでもないので、構わず続ける。

デッサンをとりながら、バックを作っていく。
最初のデッサンは黄系で。バックは青。

----------

植物 植物

こちらは水彩の手順見本。
講師やってて時々、水彩の手順が分からなくなる。
アクリルジェッソで白をグイグイ塗っちゃう辺り、
どちらかというとテンペラ白と油彩の関係だからね。

植物 植物

鉛筆で丁寧に輪郭線をとる。
輪郭線は一本では描かない。
人体と同じで、植物も線が交差したりして螺旋さながら。
気をつけてるポイントは茎と葉のつけねや、
微細だが前後の遠近感が出るか、というところかな。
あと、早い段階でバックをつけること。
色はともかく、モチーフより暗い背景か否かを先に決める。

まだ途中だけれど。

by HPY


Diary INDEX  |  BACK  |  NEXT  |  制作日誌をメールで読む | 
HOME GALLERY