ちょいと 調子が出てきた と思ったら 夕べは ロックミシンの糸調節に やたら時間が掛かった
おまけに 今夜はお通夜 そして明日はお葬式 前回隣保長だったときも 同じ隣保で お葬式があった
っていうか 越してきてから たった10軒の隣保の中で 既に4度目の葬儀 本当にこの地域は どうなっちゃうんだろう
もちろん 新たな住民が入るような 集合住宅や 新しい建物ができるワケもなく 一番歳の近いご近所さんは ここで生まれ育って 60年という まじですか
暮れえなずむ街のお 思わず唄ってしまいたくなる位 本当に暮れていく街 やばい 何だかワケの判らない 焦燥感に駆られる
このまま暮れたくなんかないぞ
家の中より 外の方が暖かいこの頃で 着込んで外に出ると ちょっと驚く
縫い部屋の片付けもせずに つかの間の解放感に 浸ろうとしていた今週 もちろん布にも触らず あまりにもキツかった この40日間をリセット
公園で昼間から ビールを開けて この一瞬のためなら また頑張れるとか思い 河原で自生の大根を採り 自然の中で英気を養った
そうしているうちに ムクムクと 新たな意欲が湧いて ようやくジャケットのことを 少し考えられるようになった
以前縫ったリバーシブルは 丈を合わせる自信がなかったので 袖口と裾を最後にしたが 今度はちゃんと 両方の袖口を縫い繋ぐ方法で やってみようと決めた
でもそれで身頃はどうなるのか 頭の中では判らず オーダーで洋服を縫っている 近所の人に聞いてみると 袖口で丈を合わせるとしか 答えが返って来なかった
そうかー ちゃんと洋裁を学んだ人でさえ 経験したことのない領域なんだ そう知ると まるで自信がなかったことに 向かう勇気が いっそう湧いてきた
オープン当初から すごい人出だったらしい TSUBOMI本舗
店番に行ったのは 二時だったが それでも 身の置き場に困るほどで 試着の必要な 服を選んでもらうのは ちょっと難しい印象
前日置いて行った名刺は 全部なくなっていて 新たに作った数十枚も どんどん減ってしまった お話をしてみると 手持ちの着物で作って欲しい という人は意外に多いようだ
そんな中 具体的にオーダーをいただいた 泥大島と紫の紬を使って リバーシブルのジャケット ざっと採寸させてもらって 形の打ち合わせ
はー 受けたはいいが いきなりこれまた ハードルの高い次のステージ 以前リバーシブルを縫ったときは 本当に苦労して 二度とは無理って気がしたが やらねばなるまい
何より わをんの仕事を 評価してくれてのオーダー 期待にたがわぬものを 作れるように頑張ろう
はー 難産の末 納得の行くシゴトが終わった
それはもう とびっきり好みの布で けれどいい部分が少なく これまでに何度手にして 考えに考え抜いたか知れない
その度に やっぱり無理と諦めて 今回は新しい型紙を考案し これならと勇んで挑んだが どんな布を合わせても ぴったり来ずに挫折
その夜は 折角孕んだ子をおろす 衝撃的な象徴夢まで見て このままなのもあまりに悔しく 絶対今回でかたちにするぞと 頭を切り替えて再び
それをメインにしようとするから きっと足りないコトに苦しむのだ 別布をメインに 限りある布をスパイスに そう思ったら 全く別の世界が見えた
すごいわ たかがリメイクが 禅の公案かってぐらい 自分の中の何かが割れて 次に新しいものが生まれて来る これは絶対に 同じ材料が沢山手に入るような 他のことでは得られない
限りある故の苦しみ 限りある故の悦び 両方飽きるほど味わったら 限りなんて なくなるんじゃないのかな
友人のところで 古いミシンを試した
それは 家具調のミシンから ポータブルに変わった頃の およそ40年前のジャノメで ちょっと角ばった レトロなフェイスのもの
家に眠っていたのを 綺麗に磨いて 今後バッグを縫うのに 活用しようという企画で 試し縫いの生地は 分厚い合皮だった
いやーその感触ったら 極めて軽くスムーズで すごく安定感がある しかも縫い目の美しいこと 惚れ惚れして もっとこれで縫ってみたい と思ってしまった程
昔の機械って 構造がわかり易いし 各種パーツも 実直なまでのシンプルさ どうしてこんないいものが ずうっと作られ続けて 行かないのだろうか
もちろん 今のジャノメには 極めて満足している 特にボタンホールの多様さと 針と糸と布を替えても 試し縫いひとつせずに 一発本番縫いができるのは すごく効率がいい
でもときどき フタを開けて 要所に油を注しながら 如何にも機械を動かすっていう あの感覚が恋しくなる 本当はそんなアナログが タイプなのかもしれない
完成してたジャケットを ムスコに試着してもらったら 袖ぐりが窮屈そうで 肩幅が大きすぎた
それは 縫っている途中も いやそもそも 型紙の段階から どうなのって気はしたが セットインスリーブなので ある程度は 仕方ないのだと思っていた
けれども 次に友人が試着すると 肩幅はいいが 袖ぐりはやはり同じで このダメ押しには ちょっとヘコんだ
とりあえずこのまま と思ったけれど モヤモヤを放置できず さんざ時間を掛けた 裏布の綴じを解き 初めて試みた山布も外し さあていったいどう直したものか
全く何のテクもないが 人間やればやれるモンだ 袖幅はあまり変えられなくても 袖山を緩やかにして 身頃側に縫い線をずらすことで 驚く程ゆとりができた
一度解いたことで 袖口裏に別布を足して 長さも出せたし 迷った末にやめた肩パッドも 厭味にならない程度に 帯芯で代用してつけてみた
再完成まであと少し この達成感はきっと 最初の比じゃないな
今日のバイトは 久々のフルタイム だったのだけど なんかすごく忙しかった
お陰で売り上げは 爆発したような金額 外はまるで 吹雪みたいになったり 突然晴れたり 空模様も乱気だった
はー さすがに今日は 布に触るのは無理っぽい ここんとこずうっと 三時四時まで縫って 少し寝て出勤が続いているが 明日はバイト前に 区の用事まである
たぶん今が これまでの人生で 一番キツイ でもきっともっと先では あんなのはまだまだ って思える位 バージョンアップしているはず
大丈夫なの とムスコが言う 今日は早寝するよ と応えながら もう既にその言葉だけで 頑張れそうな気がしてくる
ようやく コート完成
ボタンホールを どんなのにしようか ミシンでさんざ試し 手縫いもやってみて 最後は玉縁も試作し 結局片方が丸いタイプの ミシン仕上げに決定した
それは メンズのジャケットなどで よく見るボタンホールで 丸い部分は 小さなポンチで穴を開ける そこに続く直線は もちろんボタンノミの登場
たまたま ポンチがひとつあったので これは使える と思ったワケだけど その口径はステッチぎりぎりで 糸を切ってしまわないか とても神経を遣った
そのお陰で カンケイのないあちこちに 丸い穴を開けてしまうという オソロシイ夢まで見て もうどうにも補修できなく 愕然として目覚めた
夢でよかった っていうか もっと経験を積んで ややこしい玉縁や 手縫いだって ちゃんと商品に使えるような 綺麗な仕上がりにしたい
自分の服は ともかく着られることを 何より優先しちゃうけど 本番はそんな怠惰を払拭し わたしを向上させてくれる
辞めたコとの 忘年会&送別会は のびのびになって 新年会&就職祝いに
でもどういうワケだか 目的のお店が探せなくて しばらくぐるぐる まだ飲んでいないのに まるで酔っ払い なんだったんだろうあれは
結局手近なお店にして 久々の二軒目 若い彼女に 少し刺激をあげるチョイスも お店は休みで どうやら昨日は セカンドで収まる日だったみたい
でもそれがよかったカウンターバー マティーニに添える オリーブの話しや 薬草の香りのするジンを 各種嗅がせてもらい 氷のかたちで変わる味を まるで実験みたいに試した
毎日のように会っていた頃は いつも弾むようで うるうるの瞳が素敵だったのに なんだか萎んだような彼女は 仕事での希望に溢れ なのになんでと思ったら やっぱり恋心がないと ダメなのだと納得
そう 何はなくとも 恋が肝心
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