ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2008年11月28日(金) バスケットのエッセンス

このところ
バイトに比重が傾き
やたら疲れていた

その間していたのは
次のアイテムに使う
パーツ選びばかり
各種金具を引っ張り出し
革を切って穴を開けたり
いろいろと試作も重ねた

考えすぎて
夢の中でも練っていて
バスケットの材料を
転用するという閃きがあり
それをどうしたら実際に使えるか
また試作してはボツになったり

んで
久々に連休が取れて
まとまった時間の中
本体を縫い進むうち
やっぱりどうしても
そのパーツ以外にはあり得ない
という気持ちが拭えなくなった

なので土砂降りの中
完成への足りない材料を買いに走り
ムスコにも手伝ってもらって
納得のいく
クオリティの高いものが
ようやく出来上がった

まったく
長かったけれど
ここまでこだわったのには
それがただのひとつで終わるのじゃなく
布合わせやあしらいの違う
いくつもに転用できる
という確信があったせい

バスケット作りの
後継者にはなれないが
せめて
師匠の仕事のエッセンスを
加えることができそうだ



2008年11月22日(土) リペア品

今日は
思いがけなく
大きな商品のご成約があった
バイト先での話だが

それは
初めて仕入れたリペア品で
誰もが驚くような
新品と見紛う程の美しさ
加えて肝心の
機能発揮の部分に関しても
却って今の製品よりも
優れていたりするのだった

高いという理由で
これまで入れたことがなかったらしいが
中古を買い取って
会社で整備しただけでは
ここまで仕上げることは不可能で
かたちは変わっていないものの
内も外もぴっかぴか

ここまでするのなら
少々高くても納得できるし
それでも新品よりは遥かに安い
次々と
新しい商品を打ち出す一方で
こういう仕事をする
確かな技術があると知って
そのメーカーを見る眼が
少し変わった位だった

けれどそれは勿論
自社での過去の仕事を
評価する人たちが存在して
初めて可能になるのだ
表立っては
ほとんど宣伝されることがないけれど
そういう姿勢は
もっと評価されていい

ちなみに
どこかというと
ヤ○ハってところです



2008年11月19日(水) 冬の手仕事

今更ながら
一昨年
大きな糸ケースを
手に入れたことを
英断だったと思う

それが
ただの収納だけなら
箱の中に放り込んで済ませるか
それで乱雑になるようなら
見せて整理できる
簡単な方法を考えたかもしれない

けれど
微妙なトーンで揃っている
数え切れない程の絹糸は
望んでも到底
揃えることは叶わない

ミシン糸としては
生地の厚さや質との関係で
試し縫いしたあげく
手芸屋さんに走ることもあるのだが
手縫いでステッチをしようとしたとき
その本領が発揮される

見せる糸として
土台になる布の重なりに
どの糸を選んだら
ぴったりと納まるか
留めるビーズの種類とともに
思う存分
やり直しを繰り返すことができる

もっとも
そのお陰で
相変わらず遅々としているのだが
びちゃびちゃと
みぞれの音を聴きながら
冬の手仕事きぶんは
なかなか悪くない



2008年11月16日(日) エピタフ

昨日久々に
プログレなんて言葉を聞いて
それから
エピタフの一節が
頭の中をエンドレスでリピート
なつかしすぎる

その言葉は
とある会社のトップの方からだったが
かつてのロック世代も
社会の中で
重要な役割を担っている
そのことが
ちょっと面白く思えた

いつか観た映画の中で
モッズ軍団の旗手役のスティングが
祭が終わったあと
制服に身を包んで
ホテルのドアマンをしていた
なんかそんなシーンが
オーバーラップしたりもして

反骨精神に溢れて
世の中をナナメに見ていた人たちが
その後どうやって
社会と折り合いをつけるに至ったのか
ひとりひとりの道筋は興味深く
それだけで読み物になりそうだ

折り合いをつけたようでいて
実はその素地は生きていて
だからこその今
ということもあるだろうし
明らかな転身の前には
幾度となく
死と再生が繰り返されたかもしれない

ロック世代の着地点
って切り口で
ドキュメンタリーはどうよ
もちろんそれは
転がり続ける今を
予感させる終わり方でひとつ



2008年11月14日(金) 用途のある絵

すっかり小物に頭が向いて
限られた大きさに
ぎゅっと詰まった
美しい布の輝きを見ていると
額に入った絵のようにも思える

しかしそれは
ただ飾って眺めるものではなく
実用的な意味を持つ
そのことが
二倍の価値があるみたいに
作る意義を高めてくれる

惜しみながら使っていた
わたしの一番好きな丸帯も
服に使うより遥かに
少しの布で足りて
だったらもっと他にも
この素敵な生地を使って
何かできないかと思う

それぞれは
たったひとつの表現だけれど
そんな風にしたら
ひとりではなく
複数の人に
この生地を届けることができる

あー
小物って
そういうものなんだな

初めてその意味を知った気がする
ひょっとしたらこれが
今までの限界を
打破してくれるかもしれない

いろんなアイテムを
でこぼこ進みながら
いつか全てを押し並べて
展開できるようになりたい
そうしたら
きっと
ここではないどこへでも行ける



2008年11月13日(木) もうひとつの魔法

先週
ちょうどあの
英字新聞の件があった頃
しばらく耐えていた不便が
解消される道具が届いた

この家に関しては
いろいろ諦めながら
日々を暮らしていて
なにか問題があると
メラメラと向かって行く
燃えるわたしのサガは
そういうあれこれで
随分大人しく鎮まっていた

我慢はするもの
とは思わないし
他に選択肢があるのなら
いくらでも天秤に掛けたらいい
けれども
じっと忍ぶしかない時も
明らかに存在する
起死回生の一発なんて
そうそうあるもんじゃないのだ

なんていうか
およそ自分に不似合いな
最も苦手とするそういう姿勢を
修練するための仕掛けが
人生にはちゃあんと訪れるもので
お陰でわたしも
少しは成長できているかと思ったり

そう思うのは実は
耐えていたのがウソのように
解消された日々に
逆に順応しようとする中で
少しずつ緩んで行く自分を感じ
やっぱり大変だったのだなーと
改めて気づいているせいで

その道具を見つけてくれた
友人への感謝もひとしお
本当にありがとう



2008年11月11日(火) わをんの小物

生地を大きく取ること
を優先してきてしばし
そろそろ
小物を作ってみようかと思う

ここのところずっと
帯地の服が縫いたくて
それに合わせるために
着物や他の帯地を解いたものの
いまいちピンと来る感じがなく
一向に進めずにいた

毎年寒くなってくると
同じコトを繰り返し
決まらずにまた来年だったのが
またもやなのだけれど
いっそ時間の掛かる大物より
布合わせの練習も兼ねて
小さなものはどうかと

ちょうど折しも
クリスマスシーズン
バイト先には
我が家からツリーを運んで
飾り付けをし
プレゼントに向く
小物を可愛く並べたところで
それにも刺激を受けた

気軽に
着物の生地のテイストを
取り入れられるような
それでいて
いかにも和ではない
わをんらしいものを
サイトにアップできたら

そう思ったらどきどき
冬は終わりが見えないと
特にテンションが凍るから
小さなキリが連続する手仕事は
自分へのギフト
だったりするのかもしれないな



2008年11月06日(木) 魔法

新作をアップして
バイトから帰ると
もう注文が入っていて
我が眼を疑った

何度経験しても嬉しいが
しばらく
直接のやり取りばかりに慣れ
どういう手順だったか
俄かには浮かんで来ず
自分で作ったオーダーページを
確認する始末

それで早速
梱包の準備に掛かりながら
できれば
クッション材に
英字新聞を使いたいけれど
そんなものはないので
やっぱりぷちぷちかなー
と思っていたのだった

すると次の日
バイト先で
欲しかったそれが
突然目の前にドサッと現れた
こんなの使わない?と
持ってきてくれた人がいたのだ

もちろんその人には
そんな話をしたワケじゃなく
そもそもわたしがバイト以外で
やっていることがあるなんて
知るはずもなく
このびったしのリンクには
久々にぶっ飛んだ

すごいな
この世界には
魔法が溢れている
このリンクに出会うまでに
どれだけ不確定の条件が
繋がってきたことだろう
考えただけで気が遠くなる

ひょっとしたら
見えない網の目のような糸が
わたしたちを包んでいて
それは四方に延びていて
振動が伝わるように
お互いを揺らしているのかもしれない

これだから
生きるってやめられない



2008年11月04日(火) わをんの広告塔

何度か商品撮影にトライしたが
毎日午後になると陽が陰り
思うように色が出ず苦労した

昨日は
待ってからまた陰ってはと
少し早めから始め
ちょうどいい位置に
陽が傾く頃には
案の定雲ってしまっていた

要するに
ちゃんとマニュアルで
撮りこなせればいいのだけれど
それをしようと思ったら
たぶんまた
目的以前のとこで
足踏みするだろうってワケで

んで
撮っている途中で
ムスコが外から帰ってきたので
今だとばかりにモデルを頼んだ
縫っている途中も
何度か試着してもらってはいたが
ボディ以上に
普段に取り入れられる感が
リアルに伝わって
さすがに生身は違う

ちょっと癖のあるトップスも
難なく着こなしてくれて
ひょっとして
わをんの歩く広告塔がここに
とか思ったりもするのだが
モデルの名前を出すかどうかに
あくまで拒否る
控えめな人なのだった


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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