ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2008年06月30日(月) 納品

ご注文の品は
無事に縫い終わり
今日は納品

正直言って
縫っている間は
ちょっとしんどかったけれど
晴れやかなお客さんの顔を見たら
すっかり吹っ飛んだ

んで
今回作った形は
4度目になるのだが
やっぱりすごくお洒落で
透ける夏着物には
ぴったりだなーと
しみじみ思ったのだった

まだ他にも作ってもらいたい
とのお言葉をいただき
また日を改めて
今度は家にお招きして
ゆっくり
ご相談に乗らせてもらう予定

そうなのだ
いよいよ
きちんと部屋を整理しなきゃあ
そんで
ムスコ曰くの
外に看板出して宣伝したら

ご尤もなのだが

それにはもっとマメに
カメの水を交換してもらわないと
誰も呼べないじゃんかよー



2008年06月28日(土) 縫う

今月中には

かなり余裕を持って
お引き受けしたリメイク服

本当は
先の展示会で買った
友人作の素敵な棚に
綺麗にハギレを収納し
スッキリした作業部屋で
心機一転ちくちく
のはずだった

いや
はず
なんてことは考えまい

生地は実際に縫ってみると
柔らかく扱いにくく
これまでに使ったどれとも違う
それでも
わたしの手の下で
少しずつ形になってくれる

あーよかった
偉そうなコト言ったくせに
いざとなったら
ちゃんと出来るかどうか
ヒヤヒヤもんだった

今日はこのために
お休みをいただいたし
仕上げに向けてスパートだ



2008年06月25日(水) 修練

お宮に行った日から
それまでの
靄が掛かったような自分が
あまりにも嫌になり
このままきちんと
変わらなければと思った

正確には
思った
というより
腑に落ちたというか
まるで
動かしがたい真実のように
抗う余地がないもの

クリアな状態を忘れないうちに
もっとそれを
確かなものにしたくて
何を今更だけど
自分自身を
徹底的に見つめることにした

知っているつもりの自分
けれどもそれは
意識して
きちんと洗いなおさないと
無意識に
振り回されることになる

すっかり終わったことのように
ちょっといい気になっていたけれど
生きている限り
これでいい
なんて事はないのだ

まだまだ
しなきゃいけないことは
沢山ある



2008年06月24日(火) 唯一のもの

最近ちょっと
暇になってきたバイト先で
今だとばかりに
せっせと商品知識を入れている

扱っている商品の種類が多い上に
どの種類から入っても
その先は大海原のように
沢山のメーカーのものがあって
いくら勉強しても
これでいいということはない

本当は
自分で実際に使ってみての
実感がある方がいいのだが
上っ面を撫でるだけだって
たぶん
一生掛かっても終わらない

だからなるべく
お客さんから情報をいただいて
それを入り口にする
そうやって調べたことが
すぐに役立ったりすると
もっともっと詳しくなりたいと思う

んで
扱っているのは趣味のものだが
それぞれの世界には
こだわりを極めた品があって
まるで芸術品のように美しい
そしてそれらは
ただ眺めるために作られたのではなく
きちんとした別の用途がある

もちろん
いいものは高額なのだが
故あってその値段という
至極当たり前のことが
当たり前に通用する世界は
なんだか
心を豊かにしてくれる

買う人は
それを踏まえた上で
事情と好みに合わせて
選択すればいい
その選択肢を増やしてあげるためにも
商品知識は欠かせない

そうしていつか
一生を通じて大切にしたい
たったひとつのものに
出逢えるように



2008年06月23日(月) メタモルフォゼ

やむにやまれず
土曜日に
お宮に行ってきた

ちょうど
以前から考えていたことに
重なるようなリンクがあって
その上
あの満月の夜が
決定打となった

引き受けたはいいが
ちょっと荷が重すぎたようで
首の後ろがコリコリになって
頭痛までしてきて
あー
こりゃやばいかもと

んで
行ったとこはすごかった
日本各地の神社が
小さな社になって
中央のお宮を
ぐるりと囲んでいた

そこを廻りながら
きれぎれに浮かぶ言葉の意味を
自分の状況に当てはめて考えて
そういう思考がふと途切れ
空白になった瞬間に
蛇が現われること3度

他にも
行きの電車で
逃げ場を失った黒揚羽を
窓から逃がしてあげたら
帰りの鳥居を潜ったところに
ひらひらと飛んでいたり

それらの場面は
まるで映画を見ているみたいに
くっきりと印象的で
かつて
人生回顧をした後の
生まれ変わったような清んだ感じと
なんだかすごく似ていた

気がつけば
日々を重ねるうちに
あの時判ったはずのいろんなことが
すっかり埋もれてしまったのかもしれない
この感覚を取り戻すために
何度でも来よう
そう思ったのだった



2008年06月20日(金) たましいのこと

満月の夜
戸口にそれはやってきた

まだ
うまく消化できないので
何度か文章にしようとしたが
いろいろ
差しさわりがあるので
書いては消している

本当に解って欲しいのは
わたしではなく
別の相手だとしても
ここにやってきた以上
きちんと向き合うべきなんだろう
最初は何のことかと訝ったが
次第にそう覚悟を決めた


結局
精一杯がっぷりしたあげく
本人も解っていながら
どうにもできずにいる苦しみを
ひりひりと感じ
けれども手放すしかないことを
言葉を変えては唱えた

魂鎮め
その言葉が浮かんでもいて
生身の人間であってもそうでなくても
掻き乱される魂は
本人の責に帰すべきなのだろうか
10年以上もそうしていると知れば
自分と関係ないこととは切り離せない

単に悩みを聴くのとはワケが違う
いたずらに共感して
和らぐ類のものではないのだ
8割楽になった
という言葉どおりなら
わたしはその8割を
引き受けたのかもしれない

ざっくりと
深い傷が残った
その人が
誰かを傷つけた分だけ
自分も傷ついているはずなのを
痛いほど今感じている
願わくば
救われて安らいで欲しい

後は
わたしが自分を
救ってあげなきゃいけない



2008年06月14日(土) 解きの眠り

出品した着物の
片付けもそこそこに
オーダー用の着物を解いた

絽なのかと思うが
糸は撚りが掛かっているみたいで
透けるように薄いのに
握ってみると
ふわんと戻る柔らかさ
撫子柄が地模様になっている

柔らかいのと薄いのとで
解くのに
いつもより倍神経を遣い
いつものように
解いているときは
やたらと眠気が襲う

この
解き時の眠りは
ちょっと異常で
最初の頃は
身体的な条件とか
単調な作業ゆえとか
いろいろ理由をつけていたが
どうも違うような気がしている

洗っていない古着物の
生の素性とか特性とかの
端から端までに触れて
五感以外で感じた印象を
眠りで消化する必要があるのだ
と理解するようになった

だからひょっとしたら
リメイクで一番肝心なのは
解きの過程かもしれない

全ての関門を開いて
ガードをはずして
ただ生地と一体化する
まるでイタコみたいな状態は
いつもと違う別のちからが
必要なのだと思う

ようやくそれが終わると
水を潜り抜けて空気に晒される
解放の時がやってくる
一度全ての歴史を消して
まだなにものでもない生地が
この世に再び
送り出されるかのように



2008年06月13日(金) 星空

夕べは
わくわく市の打ち上げだった
みんな
まだまだ疲れを残しているようで
肩がぱんぱん
なんて言いながら

メニュウは
蛸とサーモンのカルパッチョ
海老チリソース
カンパチのお刺身
煮豚
ステーキ
かぼちゃの煮つけ
いかなごと山椒の炊いたの
ナスの揚げ浸し
各種野菜
カマンベールチーズにバゲット

ビール
焼酎
ワイン
にごり酒
ブランデー
んで
デザートにアイスと
最後のコーヒーも忘れずに

持ち寄り中心だったのだが
思ったほどお腹に入らず
途中で料理する予定の
殻つきホタテに行き着かなかった
食べ切れなかった分は
豪華お弁当みたいになって
それぞれお持ち帰り

歳なのよ
のコトバどおりか
お酒もそんなにいらなくなった
自分は歳を取っても
みんなはいつまでも
出会った時から変わっていないようで
でもやっぱり
同じだけの年月を重ねている

友達で
あり続ける努力を感じたことのない
縁としか言いようのない関係
久々に仰ぎ見たこの夜の星空みたいに
しばらく雲に隠れていても
必ずそこにあることを
なんだか新しいキモチで
確認したのだった



2008年06月10日(火) わくわく市の道筋

今回のわくわく市には
半分も顔を出せなかったが
広がりというよりも
濃く絞られた印象が強かった

ともかく知っていただく
というこれまでから
わくわく市を必要としている人たちが
一緒に作り上げる場所へと
少しずつ変化している

その分
お付き合い訪問が減って
お茶を飲んでいただくよりも
ともかくはじっくり
商品を見ていただくことに
徹した接客になったようだ

集計して初めて気づいたのだが
出品メンバーがどんと増え
早くも
家に着物が沢山あるのだけれど
という新しいお話がチラホラ聞こえて
最終日に清算をするのは
もう限界かもしれないと思った

自分たちのものを売る場所が欲しい
という
わたしたちの最初の思いは
たぶん多くの人の中にある
そして世の中には
それを実現するチャンスや場所が
いくつもある

けれど
箱貸しではなくフリマでもなく
完全に誰にも開かれた場所ではなく
少しだけのこだわりでやってきたことに
きちんと道筋が見えたような今回
オーナーもそろそろ
定期的に開けることを
考え始めたようだけれど
果たしてどうなりますか



2008年06月07日(土) わをんメイド

うちじゃ稼げないから
そっちで頑張ってくれ


バイト先の社長に言われたのは
心底からのエールだったのか
今日はいつもより少し長く
お昼休みに店番を代わってもらい
オーダーの打ち合わせに
わくわく市に顔を出した

初日にわをんの服を
褒めてくださり
手持ちの着物で
ストールベストと同型を
というご希望のお客様と
詳しくお話をさせていただいた

目的の着物の他にも
絽の着物がふたつあって
そのどちらも
服に仕立てたいご様子だったが
とりあえずは一点
まず仕上げてみてから
ということになった

あれもこれも

眼を輝かせて広がるイメージ
それをトントンとかたちにするのでなく
家に帰って
また他の着物も点検してもらい
ゆっくりかたちにしましょうと
一度作ったら
一生着られる服にしますからと

もちろん
お直しにも対応しながら
お客様のこれからの
人生とともにある服を
一緒に相談しながら
作り出して行くシアワセ

そうだ
わたしの中に
決まったかたちがないことは
不安の要素が大きかったけれど
誰かとそれを探っていく作業には
コミュニケーションという
別の楽しみが加わるのだ

それはたぶん
ネットでは実現できない
直接顔を合わせ
微妙な言葉のニュアンスや
カラダ全体から感じ取る何かをも
全て含めてかたちにしていく作業

こんなオーダーメイドがあってもいい
というか
これがわたしらしいやり方かもしれない
わをんのリメイクが
想像もしていなかった
新しい段階に踏み出した気がする



2008年06月02日(月) シブイお仕事

中学生の
オシゴト体験が始まった

第一希望は農業
第二希望は漁業
という
シブイ並びに
もし漁業ということになったら
電車通勤で
いったい何時に出るのかと
ちょっと心配だった

結局は無事に第一希望の
自転車で数十分の場所に決まり
お弁当に
炊きたてのごはんを入れるにしても
いつもの時間に起床で済んだ

んで
帰ってくるなり
ぱんぱんに膨らんだカバンを開け
ごろりと出てきたのは
真っ赤な苺とトマト
おー
実は期待していたのだが
本当にオミヤゲがあるとは

さっそく苺を洗い
息子と
その肩に留まっているリスに
瑞々しいおやつをあげると
ふたりとも
ほっぺを膨らませてもぐもぐ

いいなー
もらってきたのは
販売していたものだったらしいが
こんな風に
リアルな収穫のある仕事は
本当に素晴らしい

出来上がったものが全ての
ごまかしの利かない世界
もちろん知識も必要だけれど
それを生かすためには
カラダを動かさなくては
何も始まらない

文字どおり
そんな泥臭い世界への興味は
ただ
食べるのが好き
が入り口なのだけれど
それはそれで
強力な動機になり得るのかもしれない


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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