ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2006年06月29日(木) 本のぐるぐる

先週末
ATMに借りた本を忘れ
時間外だったのでどうすることもできず
暗澹たる気分でそのまま週明けを待ち
銀行に問い合わせをした
すると先方は気を利かせて
本が入っていた封筒の宛先に
わざわざ郵送してくれた後だった

無くしたと半ば諦めて
この辺では売っていない本を
アマゾンで探すしかないと思っていたので
本当に有難いことなのだけれど
わたしもよく確認していなかったその宛先は
本を借してくれたご本人のいる
県の施設の方だと聞き
ついお礼の言葉も濁り気味になってしまった

既に県の事務室の人には
事情を話して留め置いてもらうことにしたものの
ご本人は出張で連絡が付かなかったので
事の顛末を打ち明けるためと
再び本をお借りするために
今日になって売り場の途中で出向いたのだった

けれど
月曜日に郵送したと聞いたのに
どういう訳か本は届いていなかった
ひょっとしたら
別の所の封筒だったかもしれないので
メーリングリストで探してみると
ご本人からのお言葉にひたすら恐縮しつつ
こちらは再度銀行に宛先を聞くはめになった

するとやっぱり住所は間違いなかったが
宛名は個人名ではなく
同じ建物の別の方の団体名だった
またこの顛末を新たな人に披露するのかと思ったら
どこの郵便物も
まず事務室に届くことになっているそうで
スルーしてしまうなんてあり得ないと事務員さん
結局午後になって到着したのだった

こんなに日数が掛かったのは
漢字変換がダブった上に
ちょっと変な住所になっていたせいなのか
それでも郵便番号はきちんとしていたから
理由にはならないような気もする
まるでこのタイムラグは
わたしのしでかした紛失劇を
充分反省させるためのものだったみたいだ

最初に本を受け取ってから
自転車に乗るときも銀行に着いたときも
気を遣って意識していたのが
大金を下ろして数えてからは
無事に家まで着くことが最優先事項になってしまった
お金じゃなくてよかったねと
慰めてくれる人もあったが
お金を下ろさなかったら忘れることもなかった

むしろ
ヘンな本じゃなくて良かったよ



2006年06月26日(月) 木彫の癒し

昨日はうちげえのアートおおやを観てきた
毎年大屋在住のアーティストの作品が
古い家屋を利用して展示されており
今回は会場が3つに増えていた

目的は木彫だったのだけれど
作品は意外に少なく
書や絵画が多い印象にがっかり
特に観たかった松田さん兄弟の政斗さんの作品は
単体としては飾られていなかった

悔しいので帰ってきてから
木彫画廊のサイト画像を眺めた
いい作品は画像で見ても素晴らしい
一緒に行った友人の言葉どおりだけれど
やっぱり実物はもっと素敵だったのを
思い出しながら焦がれた

今ならちょっと背伸びすれば
手に入れられるかもしれない
ただ眺めるだけだった作品に
大胆にもそんな事を考えてしまうのは
どんなに疲れていても
日常の瑣末なことに翻弄されても
手元にある木彫ひとつで
明日を迎える勇気が湧くような気がするから

政斗さんの木彫に触発されて
消えずに残っていた炎を感じることができる
角がいっぱいあって
ぶつかりぶつかり痛い思いをして
いつまでも練れない自分を赦すことができる
まだ先に進めるんだと思えることが
わたしにとっては何よりの癒しに繋がる

そうなんだ
もう充分頑張ったよと
よしよしと
包まれるような癒しはいらない
怠け者のわたしには
自分を駆り立てる何かが必要なのかもしれない



2006年06月25日(日) 売り場後

走り続けた12日間がようやく終わった
最後はいい加減ランナーズハイみたいになって
失敗をいろいろしでかした
仕事で神経を遣うぶん
その他にしわ寄せが行くので
生活はもうぐちゃぐちゃだ

昨日の新聞に
郷公園の新しい建物のことが載っていた
既にある事業主が主体となって
出資できる10業者程度を募り
それが中心での運営になるそうだ
なるほど
資本をかけて
新規のグッズを大量に作れるような所なら
それも可能だろう

ストラップだTシャツだと
同じアイテムがどんどん増えている今
売り場はもう飽和状態で
そこにさらに新規参入の業者が
サンプル品を持ってやってくる
本当に手を掛けて作ったものよりは
不良がどんどん出るような
大量生産品ばかりが売れていく

そういう売上げで稼がせてもらっていながら
心が冷えていくのはどうしようもない
ある程度のラインナップを揃えれば
誰が売り場にいても売れて行くのだ
無理してそんな流れにしがみつくより
本当に自分が納得できるような
いい物を作り売って行く
矛盾のない日々を送りたいと思う

ともかく
次への一歩の前に
少し休もう
新しい物を生み出すエネルギーを
充電してからだ



2006年06月22日(木) 消える売り場

いつからゆっくり休んでいないのか
明日まで頑張ればと思っていたら
どうやら土曜日も出勤になりそう
久々のコウノピアの売り場は
なんだかやることが沢山あって
ロクロクお客さんの顔を見ることもできず

そんな中
ふとした話しから
協会は新しい建物に入ることなど
考えていないのがはっきりした
業者には11月までと言ってあると聞き
いやちょっと待てよ
それ以前に売り場のわたし達に話すべきだろう
と心の中で突っ込みを入れた

新しい建物に向けての話し合いに
途中から観光協会の顔が見えなくなったらしいので
ひょっとしたらとは思っていたが
だったらそのつもりで
身の振り方を考えろとか何とか
あっても良さそうなもんなのに
まったくどこまで軽く見られているんだか

結局
誰のための協会なのか
誰がどういう意志で運営し
何を目指しているのかが全く解らないまま
だから正直
腹を立てても怒りを向ける先もない
わたし達が必死になって売って
稼いだ利益の半分は
いったい何かの為になっているんだろうか

自らを救うのは自らでしかない
これまでずうっと考えていたことだけれど
例えば
ネットでコウノトリグッズを販売するのも
協会がらみの売り場にいる間は
勝手にすることはできないと控えていた
そして新しい建物に入るのも
協会を差し置いての動きは
仁義にもとることになるとすら思っていたのだ

もうそんな遠慮や一売り子の道徳心なぞ
誰も気にしやしない
わたし達の行く先を
親身になって心配する人すらいない
業者だって
他に売ってくれる人が現れればそれでいいはず
実際自分の利益になると思って
協会にばかり擦り寄っていた業者もいるんだから

何が本当に自分の為になるのか
腹をくくって冷静に見極めなければならない
これから間違いなく
人生の大切な曲面に差し掛かる
いや
これまでだって何度も経験したことだけど
その都度打ちのめされていたわたしではもうない
どう転んでも
絶対今より良い状況にしてみせる



2006年06月21日(水) 本道へ

掘り出し物は初日と皆思っていたようだが
その後加わった着物の方が多い位で
今日はお芝居に使うというお客さんが
沢山お買い上げくださった
昨日のお客さんといい
偶然看板を見てというのが嬉しい

それはよしとして
本当はもっとリメイク服を見てもらいたかった
古物と一緒だと
どうしても添え物的になってしまうのだろうか
本気で売る気なら
服をメインにするつもりで
もっと沢山並べなければダメかもしれない

一緒に店番をしていた友人が
神戸なんかに進出して
お客さんの反応を見てみたいなんて言う
そう話した傍から服が売れたのは不思議だったが
わたしは作っている段階から
今度売るならオークションと考えていた

ともかく沢山の人の眼に触れることは
作り手にとって刺激になる
それにはただ限られた所で待っているだけじゃなく
眼の肥えた消費者のいる場所に
自ら出て行くことも必要だと思う
いずれわたしたち二人で
里帰り展示会をしたい夢もあったっけ

まずはこれが終わったらゆっくり
お尻が決まらない状態で服を作りたい
母に約束している
紬のリバーシブルコートも縫いたい
試行錯誤ができるのも
確実に売り場にいられる秋までの間
稼げているうちに
もっと自由に縫えるようにならなければ



2006年06月20日(火) 十字模様の麻着物

昨日展示会が終わってから
みんなで値段をつけた着物がたくさん売れた
どれも比較的新しいものばかりで
特に若草色の地模様がある袷と
しっとりした質のいいピンクの付け下げ
さらに鼠色の地色に
流水や花の散った古典柄の袷は
超お買い得品だった

どんなにいい着物でも
柔らかものは好みではないので
安く売ってしまっても全く惜しくはない
自分が好きなタイプの着物は
骨董屋さんはもちろんのこと
フリーマーケットで出会っても馬鹿高いので
オークションに頼るこの頃

帰るとポストに荷物が到着していた
これがちょっと珍しい
オリーブグレーの麻の単
細かな十字模様が集まって縞柄に見えるもの
画像ではヤケがあるように見えたが
それでも千円は安いと思い入札
競わずにそのまま落ちたのだった

実物はヤケどころか
褪せやすい色なのにまるで綺麗で
説明されていた疵も
織り傷程度で問題なし
うーん
こんなに安くていいんだろうか
どうして誰も気付かなかったのかが
不思議で仕方がない

思わず
今日も午後から手伝いに来てくれた
着付けの先生に見せたくなった
彼女は着る人
わたしは解く人だけど
どういう訳か着物の好みが似ていて
一緒に見ているとその一致が楽しいのだ
いったいいくらの値をつけるか
是非聞いてみたいな



2006年06月19日(月) お店未満

土曜日に初日を迎えた展示会
前宣伝はこれまでと同じはずなのに
遠方からも含めて
初めてのお客さんが沢山
場所の問い合わせも多かったが
気がつくと
空いたスペースが人だらけになっていた

着付け担当も含めて
4人体制だったにもかかわらず
お互いの様子を伺うこともできないまま
こんな状態は
まるで予想していなかったので
いったいどういう訳なのかと本当に驚いた

今回は特に着物に力を入れたのだが
そのまま着る用にリメイク用にと
どんどん減って行った
自分で作ったリメイク服を着た人もいて
傍から見ていても
和布の服はそれだけで雰囲気があった

感謝祭で服を買ってくれたお客さんから
それを着た時の反響がとても良かったと伺って
何よりも嬉しかった
売ることは大変だけれど
ただ作って誰かに委ねることでは
決して得られない喜びを感じられる

なのに初日のあとなんだか神経質になっていた
売って欲しい物があるという話が
いろんな人から持ちかけられて
どんな風に応えていいのか混乱した
一度預かってしまえば
そのためのやり取りに
エネルギーを注がねばならず
そうならないようにする為には
どこかで線引きが必要だった

売る場所が欲しい人は沢山いる
わたしたちはその場所がないから
自分たちで作ったのだ
そこを大切にするためには
どんな風にしたらいいのか
アイデアはいろいろあるけれど
まだまだ模索中の段階
もう少しお店未満の
グレーゾーンで遊んでいたい



2006年06月15日(木) ゆりゆり日記英語版

この日記の訪問解析から
英語に翻訳したバージョンを見つけた
もちろん書いたわたし自身が
翻訳しているわけではなく
自動翻訳によるものらしいが
これがあまりにもひどく
著作権侵害じゃないかとすら思う

カタカナ表記された文字や擬音は
そのままローマ字で表されている
例えば
コ(子)→[ko]
ほっぺ(頬)→ [ho] [tsu] [pe]
じゅんは繋がった固有名詞なのに
[ji] [yu] になって「n」は抜けたまま
リメイクは[rimeiku]
「remake」にはならないみたいだ

主語を省略した文章のときは
勝手に主体が「you」になってしまっている
日本語で読めば解るのに
敢えてそこで「you」を使われると
なんだか意味が違ってしまう
自分できちんと英語で伝えるなら
全部別の言葉を入れるだろうに
ジャニーさんじゃないんだからさ

取り上げていけばキリがないほどで
これを英語で読んだ人は
いったいどんな文章だと思うだろうな
けれど
正しく翻訳されることを想定して書いたら
日本語のダイナミズムはまるで失われてしまう
省略や擬音や表記の工夫
そんな自由度に溢れているのが
日本語の素晴らしさなのだから

この日記はLily lily diaryというタイトルになっていた
「yuri」は百合ではなく
euriなんですが

リンク貼れないのでコピーしてみて
http://64.233.179.104/translate_c?hl=en&u=http://www.enpitu.ne.jp/usr2/23108/&prev=/search%3Fq%3D%25E3%2581%2584%25E3%2581%258F%25E3%2581%2584%25E3%2581%258F%25E3%2580%2580%25E3%2582%2586%25E3%2582%258A%26hl%3Den%26lr%3D

他のエンピツ日記はこちらから
http://64.233.179.104/translate_c?hl=en&u=http://www.enpitu.ne.jp/&prev=/search%3Fq%3D%25E3%2581%2584%25E3%2581%258F%25E3%2581%2584%25E3%2581%258F%25E3%2580%2580%25E3%2582%2586%25E3%2582%258A%26hl%3Den%26lr%3D



2006年06月12日(月) 環境経済戦略

昨日知人と話した中で
意見が一致したのは
この地域のリサイクルは全く遅れている
ということだった
市はコウノトリがらみで
環境経済戦略とかぶち上げているけれど
粗大ゴミの回収すらなされていない

処置に困るものは
業者に頼むか
自分で清掃センターに持ち込む
どちらも有料だが
使える家具がリサイクルに廻されるでもなく
燃えるものは焼却
燃えないものはそのまま廃棄される

シルバー人材などを活用して
古い家具をメンテナンスした上
安く市民に売るなんてことは
あちこちの自治体で取り組まれていること
ファイバーリサイクルもそうだが
みすみす宝の山をゴミにしていることが
まったくもって情けない
それで環境なんて言葉を使うのは恥ずかしい

近隣の古い家には
それこそオークションで
ばんばん入札されるような家具が溢れている
現に以前取り壊される家からもらってきた
古い階段や棚みたいなものを手に入れようと思ったら
送料も含めて相応の出費を覚悟しなきゃいけない
なのにここらの持ち主は
その価値に全く気付いていないのだ

近々立ち退きになる地域もあると知人が言う
きっとそれらの家では
移った先の新しい家に似つかわしくない古物も
そのまま残されて一緒に壊される
先日は移転した跡の豊岡病院で
沢山の備品が重機でぐしゃぐしゃに集められ
どこかへ運ばれて行った

台風のあと
まだまだ使えそうな
べんがら色の塗箪笥や
レトロな下駄箱なんかが
累々と積まれていた光景が忘れられない
モノを大切にしないと
いつかもっと大きなバチが当たりそうだ



2006年06月11日(日) 水屋箪笥を運ぶ

霊に憑かれた知人と
前回買ってもらったお客さんに
水屋箪笥をお届けに伺った
雪が解けてからなんて言っていたのが
ずるずると日が経ち
せめて次の展示会まではと
気が気じゃなかったのでほっとした

道々詳しい話を聞いた
ともかく自分がいいと熱を入れたものに限って
障りがあると言われるので
もう新たに集めることはせず
そういうもをきちんと浄化してから
動かすようにするとのこと
その浄化の方法は
般若心経を書いてどうとか言っていた

ふーん
ならうちの茶箪笥はいらないね
と聞くと
いるいると即答
でもさあれ人形入ってるからやばくない
と言うと
人形はあげる
まったくこんな調子じゃ
まだまだモノは増えそうだ

運んだ先は
ショッピングセンターの中で
古物の家具に
古着物やリメイクした服や小物を並べた
雰囲気のいいスペースだった
長持ちや古い箪笥に階段
古い戸を利用したテーブルの中に
運んだ水屋がしっくり馴染んだ

そこでもC調の知人は
自分が持っているものをべらべらと話し
すぐにでも出せるような事を言う
慌てて傍から
ちょっと長い目で見て下さいと訂正
だってここまで水屋を運ぶだけでこりごり
エレベーターに乗るかどうかもひやひやだった
二度と運搬はしないと誓ったばかり
だいいちしばらくは動かさないって言ったはず

冷たいものでも飲んでと
戴いたお礼をそのまま知人にあげた
帰りに破竹をもらいに寄って
ジンギスカンに誘われてるけどあー時間がない
電話をあちこち掛けてせわしいったら
思わず
ねえ普段呼吸浅くない
と聞いてしまった
もっとゆっくり生きてみようよ



2006年06月08日(木) 古物に憑く霊

次の展示会もそうだが
古物中心のコンセプトは
そういうものが好きで
やたら集めている知人がいるからこそだった
集まりすぎて置く場所もなく
わくわく館のひと部屋を借りたい
とまで言っていた

前回の展示会で
安く売りすぎて後悔したのか
もう出せるものがないとその知人が言い出した
お客さんは楽しみにしているし
本人だって4月でもいいと勢い込んでいたのを
準備に時間を掛けるために
先延ばしにしたのにだ

その時に本人から
体調が悪いと聞いていたのだが
それから知り合いの霊能者に見てもらったところ
集めた古いものに悪い霊がついているせいと
言われてしまったのだそう
だから次回の分は
泥を被ったままの
汚い小さな戸だか欄間だかしかないし
もう集めるのは止めると言う

ざけんなよと咄嗟に思った
人づてに聞いたから
どんなニュアンスだったのかは知らないが
古物に何が憑いてようが
全ては自分次第じゃないか
集めるだけ集めておいて
保存はともかく隙間だらけの小屋に突っ込んだまま
しかもその中に値打ちものがあっても気付かない
それじゃあ折角のモノが泣くってもんだ

値打ちがあればあるほど
モノだってそれに相応しい扱いを
してくれる人の所に集まるはず
霊云々じゃなく
ただそれを作った人のことだけを考えても
愛でて愛でて大切に使ってあげてこそ
手を掛けて技術を尽くした仕事が報われる
そういう仕事が見えるからこそ
私たちは古物に惹かれるのだ

それがこんなことで止められるなら
そもそも何にも解ってなかったってことだ
あまりにも腹が立ちすぎてくらくらした
それからふと思った
ひょっとしてこれで
ないはずの売り物が
ごっそり出て来るのかもしれない
だって霊が憑いてるんだもん
処分するしかないだろうきっと

しょせんモノはモノでしかない
それを良くするのも悪くするのも
死んだ人じゃなく
今生きているわたしたちなのだ
きちんと曇りのない眼で見ることができたら
そこからは恩恵だけがやってくる
何よりも浄化すべきなのは
いわれのない怖れを呼び込むこころだ



2006年06月06日(火) リスのいる日々

シマリスがやってきて数日になる
まだ大人にはなりきれていない
この春生まれのオスは
名付けの本で確認したように
実に元気に飛び回るコだった

規則正しい生活をと
下のコが学校に行ってしばらくあと
二階の陽の当たる場所にケージを置いて
しばしの日光浴をさせる
半日陰にしていても
暑すぎやしないかと気になって
時々様子を見に行くと
眼を開けたままじいっとうずくまっている

起きているときは
食べているか
せわしなく動き回っているかなので
初めての状態を不審に思ったのだが
どうやら半眼で寝ているのだった
陽差しが気持ちよくて
ついうとうとしてしまったみたいに

大抵はきちんと巣箱に入って
昼間でもちょくちょく眠る
ムスコが巣材にと切ったキルト布を
器用に自分で丸めて寝床を作る
最初は寝るだけだったのが
どうやらほっぺに入れたエサを
少しずつ隠す場所にもなっているようだ

あっという間に馴れて
ケージから出しても
大人しく下のコの手に乗るようになった
ぷくぷくした手のひらに
ふわふわくるんとしたリスが乗り
小さく切ったリンゴを齧る
一心不乱に食べている途中で
突然ぱたっと眠る

たぶん
ムスコの手があったかくて気持ちよくて
ついつい眠ってしまうのだろう
オレ宿題ができないよと
そおっと毛布に包もうとすると眼を覚まし
また手のひらに乗せると眠る
まるで人間の赤ちゃんみたいに
全身で感じることに
あまりにも素直に反応する

抱っこした腕がしびれそうになって
ようやくベッドに下ろそうとすると
んぎゃーっと泣かれてはまた抱っこ
そうそう
お母さんって大変なんだよ



2006年06月05日(月) 着物巡り

先日
着付けの先生の案内で
常用しているという呉服屋さんに行った
平屋建ちのすっきりした建物はもちろん和風
玄関のたたきには現代の下駄が並び
上がってすぐの間には
帯締めなどの小物があった

廊下にも所狭しと商品が置かれ
広い座敷には
帯や反物がたくさん
その様子はなんだかラフで
敷居の高い呉服屋さんのイメージはない
なので気軽に反物を取ると
手紡ぎのだったりぜんまいを織り込んであったり
シンプルな飛び柄の泥大島だったり

対応してくれた女性と
座敷で着物の直しをしていた女性は
どちらも若くて話しやすかった
不在の社長があちこち飛び回って
安く安く仕入れてくるために
街の呉服屋さんが商品を探しに
やってくる程なのだそうだ

反物を見てはつい
それを服にすることを考えてしまい
当たり前に着物に仕立てるという前提が
自分にないために
なんだか混乱してしまったが
小千谷ちぢみや上布や
いい素材に触れることができて勉強になった

それから
奥の倉庫にあるという
古着物の山に取り掛かった
本当の目的はこちらだったのだが
もう随分売れてしまったとの言葉どおり
すぐにピンと来るようなものはなく
難あり箇所と
ひとつ千円という価格とを秤にかけ
素材用に3着を選び出した

帰りに少しだけと
福井秀雄商店に寄らせてもらった
本当に久しぶりだったのだが
店主の秀雄さんは昨年10月に亡くなっていた
最後に訪れたときは
ご病気のことも知らず
思わずお痩せになったと口にしてしまった

お茶を頂いてお話ししたことや
下のコを連れてお昼を過ぎたとき
わざわざおにぎりを買ってきて下さったことなど
本当に数えるほどの訪問しかないけれど
なんだか心を寄せたくなる素敵な方だった
初出しの着物が積まれた
そのすぐ脇の仏壇に
ふっくらとしたいいお写真があった

合掌



2006年06月01日(木) 布の価値

着物の素材については
まだまだ知識不足のことが多く
持っているものですら
きちんと把握しきれていない

先日も
母が送ってきた着物を
今度の展示会で売ろうと考えていた
それは銘のある江戸小紋で
偶然読んだ本の記述に
作家ものはそれだけで値打ちがある上に
小紋の中でも段違いに格が高いとあった

ならいったいいくらを付けたらいいのか
元はタダだからと気軽に考えていたので
これは浅知恵で売ったりしたら
後悔することになるかもしれない
綺麗なので解くには惜しく
さりとて寝かせて置くのもと思ったが
しばらく持っていることにした

さらには
先日オークションで求めたハギレの中に
好みの更紗模様が混じっていた
反物の端から2メートル程度の布だったが
そのあと絹紅梅を調べているときに
偶然端にある銘と同じ
竺仙という文字を見つけた

それはちくせんと読み
今は日本橋昔は浅草にあった
江戸小紋の老舗
昔ながらの染め方法を守りぬき
竺仙ものというだけで
売り文句のひとつになるというのだ

現在の商品は
ほとんど浴衣がメインらしく
さてわたしの手元にある
商標登録 竺仙鑑製
という
しかも更紗模様のこのきれは
いったいどういう所以のものなのだろうか

あちこち調べたあげく
定かなことは解らなかったが
その昔
江戸小紋とともに
江戸更紗のこんな反物が
作られていた可能性はある
もう少しきちんと解るまで
使わずに取って置こうと思ったのだった


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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