売り場に3人の外国人がやってきて ちょうど遊びに来ていたHさんが 英語のパンフレットがあるはずと立ち上がり 美人の若い女性はロシア人と解り 片言の日本語どうしで どうやら郷公園で働く Oさんのフィアンセだと納得
個人的にはOさんと面識はなく 勝手に名前を知っている程度 漏れ聞いたところによると まさしくこうのとりの縁で ロシアに行って知り合ったそうだが Hさんとふたり いったいどういう経緯があって こうなったんだろうねと まるで女性週刊誌なみの下世話なギモン
彼女は英語ができると言っていたので やっぱり会話は英語かなとわたし でもさ 会話はいらないんじゃないとHさん 話すことが必要なのは うまく行かなくなった時のカップルで いい時は必要ないのよ
うーん ひと目合ったその瞬間からってやつなのか それにしたって お互いがナニモノなのか コミュニケーションが成立しなかったら 海を渡って嫁に来るという 驚きの選択に至らないではないか
よく解らないH理論を 頭のなかでころがすうち ばたばたと周辺は慌しくなり 特注ケーキなんかが 運び込まれてきた Iさんの奥さんも 白いクリームがかかった 手作りのシフォンケーキを持ってきた
こういうお祝いごとの気配を 身近に感じたのは久しぶり こうのとりの放鳥は9月に迫っているし 郷公園全体が いい雰囲気に包まれているみたいだった
このところ 引越し先を探す夢をよく見る 最初はアパートの広いワンルーム 次は古い高層マンションの一室 もちろん現実には どちらも行ったことのない場所
夢のなかでは 部屋を見ながら 実際に引越すことを 頭の中でシュミレーションしていて それぞれに自分のイメージとは違うけれど ここもいいじゃない なんて思っている
で 夕べは古い木造家屋だった たまたま何かで訪れたその家の若夫婦が もう別の家に越すので もしよかったらと言う話になった 言われるまでは全く考えていなかったので 自分が住むという視点で 改めてその家を見てみた
亡くなった先代は そこで長く養蚕をしていた 広い土間があり 蚕を飼っていた屋根裏があり 奥には古い箪笥のなかに 古い着物がそのまま残されていた
若い夫婦が暮らすために 後からつけた 新式のトイレや他の水周りと 旧式のものが場所を違えて混在し 壊れた壁は 住みながらなお手が掛かりそうな予感がした
けれどその家の大きな犬が 来客にはしゃいで 広い庭を駆け回るのを見て キクがいる間に この場所に出会っていたらと思われて もういちど犬を飼えそうな気持ちになった
たくさんの蚕が育った家で 蚕が産んだ絹の布を縫う 夢だからこその新天地には 現実に考えだせそうもない ちょっと素敵な物語があった
もうすぐ行くってのに 東京の地震のニュース どういう訳か下のコが かつてない程の大熱を出すし 直撃コースの台風は近づいている
Hさんがいないので 昨日の売り場はKさんに頼み 今日はわたし どうしてこういう時に限って と思うけど 子どもの熱ってそういう時に出る
けれど 夕べは39度超えだったのが 朝になって37度台に下がっていた 熱があっても夕飯は食べたし オレってすげえよな と調子に乗りかけているのを諌め ポカリスエットとゼリーを準備した
こうやって 置き去り攻撃を どれだけしてきたんだろう 夏休みに入った 家族連ればかりを見ては ちくちくと心が痛む 急いで締めて家に飛んで帰ると ヤツは寝転がって本を見ていた
これおもしれえと言うので 何かと思ったら 金もーけプロジェクト これってほんとにあった話なんでしょ そうそう 自分達で好きなものを作って それでお金を稼ぐんだよ すげーよな20万だって
誰に使われるでもなく 自分だけにできることをお金にする それがどんなに素敵なことか 友人にもらったこの本を わたしは繰り返し見ては 勇気をもらっていた
既に和食の料理人になる と宣言しているムスコも 熱の夢のなかに 勇気の種が落ちていくのだろうか 自分の未来は 自分で作っていくものなんだと
出掛けに自転車を倒し その反動で 傍にあった容器を倒し 前カゴのかばんが水浸し 昨日下のコが郷公園で捕った カニやえびや水草も飛び散った
郷公園の獣医さんと 携帯水没の話をしたばかりだった わたしのは どしゃ降りに濡れてダメになったけど すぐに乾かした彼女のは 一週間経って データだけは救出できたと聞いた
その話が咄嗟に頭をよぎり ともかく一刻も早く 電池を取り出してドライヤーだと 開かない裏蓋を コンパスの先で壊しながら見ると 既に水滴がついていた
ムスコはムスコで 生き物の救出に大騒ぎ けれどわたしは手伝う余裕もない いつもより15分早く出ようと思ったのに 何度もドライヤーを止めては確認するも 復活する兆もなく半ば諦め 遅れるので続きは売り場ですることにした
前回も強く思ったように 携帯なしの生活もいいじゃんと言い聞かせ 端っこの床に 電池と本体を並べてドライヤーをセット Mさんに 暖めたらあかんぞと言われ ちゃんとクールにしてますと 自信たっぷりの返事が虚しい
しばらくして 電源を入れると画面がついて 思わずMさんにVサイン でもボタンの音がしないと言うと ちゃんと乾くまでいろわん方がええ のアドバイスに再びドライヤーを掛けた
それでも変わらず 天然マナーモードのままで夜になり ようやく音がしだしてひと安心 下のコの生き物も 全部無事だったようで 罪滅ぼしにアイスを買ったのだった
涼しい土間で スカートを手にしていると 新作を持って Nさんがやってきた ここで製作してるのよんと言うと いやー最高やん と言われてちょっといい気分
既に花柄中心の パッチワークバッグを預かっていて 今日は絣などの渋めを合わせた ショルダーバッグが2点 裏地は茶色のギンガムチェックで 肩紐は調節できるようになっている
普通なら 絶対に野暮ったくなる和布ばかりなのに またまた見事に仕上がっていて 金具も違和感なくマッチ 肩紐の補強に使ってある 化繊の綾織りテープも 全く安っぽく見えない
このセンスは本当にすごい パッと見ただけでも素敵だけれど 細部の合わせ方が並じゃない 紐を長くして斜め掛けにしたら 若い人はもちろん 年輩の人でも可愛く持てそう
アップはいつになるか 月末に帰郷することになったので タイミングが難しい できれば服も一緒にと思うけど どうしようかな
昨日郷公園に郵便ポストが新設された それに伴い 切手の一枚売りをすることになった ポストがないころ その提案を真っ先に蹴っていたことを ちょっと揶揄されたりした
必然性がないのに ただでさえ煩雑な売り場の業務に 通常の売上げ管理とは 別の商品が入ることに反対したのは 誰が売り場に入っても 把握しやすい形態を目指していたせいだった
提案した側にとっては 売上げを少しでも上げる方向を わたし達の為に 考えてくれていたのだろうけれど 誰も他に代わりようのない売り場を どうにかしなければとずっと思ってきた
けれどここにきて そういう努力への気持ちが切れた わたしが辞めた後の 仕事の解り易さなんて 考えても仕方がないのかもしれない ともかく自分がいる間だけ できることを精一杯やればいい
先日とある場所で 売り場とも遠からず縁のある人から 今のままでも売上げを3倍に出来る と聞かされた なるほど そう思う人がいるなら 頑張ってわたしがここにいる必要もない と少し楽になった
ともかく 契約終了の3月まであと8ヶ月 どしゃ降りの雨のなか 傘を握りながら数えていた すぐ近くに落ちる雷の音に 今打たれて死んだら洒落にならないと ばかみたいに真剣に思って 必死で自転車を走らせた
これからお店を開こうが何をしようが いつか場所に依存しない生き方をしたい 根無し草のように ふと思いついて明日は違う場所にいて それでも同じように呼吸している そういう生き方を目指して 誰かのためにではなく わたしのために努力をしよう
先週から コウノピアの売り場では 自分でも驚くほどよく働いている お客さんが少ないのをいいことに 今日も大きくディスプレイを動かして 細々とPOP書き そうして新しい場所を得た商品は 再び生き生きと輝きだす
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けれど売り場での怒り効果は 家に帰るとすーっと消える どうも思うように行かないワンピースは スカートとシャツにかたちを変え 客観的に服として見るととても素敵なのに 自分ではやっぱり着こなす自信がなくて 結局そのまましばらく 寝かせることとなった
うーんモヤモヤ これを払拭するには きちんと商品を作るのだという 緊張感のある製作がいちばん それで 展示会が終わってすぐに作りかけた 夏着物のスカートを改めて手にした
4幅分を繋いだあとにさらに4幅分を加え 銀と青の縦縞に仮縫いで 等分にタックを寄せて長さを測り一度ほどき 青の部分だけ畳んだときと 銀の部分だけ畳んだときと それぞれまた同じ作業をやってみる
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壊れていたエアコン 一昨年の夏の途中に入れて まるまる快適に過ごした昨夏のあと 台風による浸水で 室外機のファンが回らないままだった
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電話で室外機の浸水の度合いを話したところ うちでも修理できるだろうけれど 2万円近く掛かるかもしれないとのこと 出費が痛いので ずっと連絡できないままだったのが もうそれで済むならと覚悟を決め とりあえず見てもらうことになった
約束の時間に そろそろかなと思っていると 玄関から覚えのある声が掛かり 動かしてみなきゃといいつつ まるでうちの全てを知っているみたいに サッとリモコンの所へ行きスイッチを入れた 一緒に外へ出てみると なんということでしょう もう室外機のファンはぐんぐん回っている
ひゃあ いったいどうやって直したのか まるで魔法みたいな仕業に ひたすらびっくりするばかり 台風で浸水被害にあった室外機を たくさん見てきたけれど こんなケースは数える程しかないそう しかも修理費はいらないと言われ せめて出張費だけでもと思うのに 頑なに拒まれてしまった
大手の家電店に押されて 街の電気屋さんの景気はいかばかりだろう 若い人にとっては地味な家業のはずなのに いつも明るくフットワークも軽い彼を見ていると 次は絶対お金になる仕事をお願いしなきゃ そう思わずにはいられない あの工事がなかったら 訪れることもなかったこの幸運に感謝だ
ちょこちょこサイトに手を入れて だいぶスッキリかたちになった 展示会のあと商品入れ替えのつもりが マスクは季節に関係なく需要があるし 他のものも 続けて載せて欲しいという声があり 通信形式で更新するのは取りやめた
リメイクトップスは 作者にお願いしてモデル撮影をしてみたり 新たな試みをちょっぴり入れつつ またのんびり わをんのものを気に入ってくれる 何処かにいるはずの誰かとの出会いを待とう なんて思っていたら 突然のご注文に大慌て
直接売るのも楽しかったけれど サイトにはまた違った喜びがある しかも今回は 検索サイトからではなくて 着物で洋服というキーワード検索で たぶんこの日記経由でのご訪問
よかったなあ 引渡し前に再度洗濯をし アイロン掛けしながら なんともいえない豊かな気分に満たされた さて これが無事に納品できたら 一気に商品が減ってしまう わたしも自分の服とか言ってないで 次をどうするか考えなきゃいけないな
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