やんの読書日記
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2004年07月26日(月) 夜明けの風

ローズマリ・サトクリフ作
灰島かり訳
ほるぷ出版

ローマンブリテンシリーズの最終刊
いるかの紋章つき指輪を持つアクイラの子孫は
サクソン人が南ブリテンに王国を作ろうとしている時代に生きた
ブリトン人の少年、オウェイン
ブリトン人がサクソン人に抵抗した最後の戦で
生き残り、逃亡する途中で少女レジナ出会う

出会いは突然、それも物乞いのようなレジナの態度に
嫌悪感を感じるオウェインなのに
少女を見殺しにできない
彼女が熱病にかかったときも、
自分だけ逃げるということをしない
そればかりか、自分の自由を売って彼女を助けるのだ
奴隷になったあとでも主人とその家族のために
尽くしてしまう。
これまでのアクイラにはない生き方だ。

オウェインの生き方
それは自由になれるはずの道を周りの人のためにいばらの道に
取り替えてしまう、そういう自己犠牲的な生き方だ。
ブリトン人としての誇りは胸の奥深くにしまいこみ
今自分が生きている世界でどう働くか
それが彼の誇り、生きる糧になっているようだ
そのためにさまざまな苦労をするオウェインだが
それがかえって、周りをつき動かしていくのがいい。

主人のベオンウルフが息子を託して死ぬ場面
ならず者のバディールの死
ブリトン人エイノン・ヘンの一語一語
それらがオウェインを揺り動かすけれども
彼の胸の奥にしまっていた信念は
レジナを迎えに行くこと
ブリトン人としてのアクイラの誇りを忘れず
自由の道を行くこと
自分が住むべき場所を見つけることだったのだと思う

最後にレジナと再会して
いるかの指輪を取り戻す場面が感動的だ


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