やんの読書日記
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2003年12月11日(木) |
詩のすきなコウモリの話 |
ランダル・ジャレル作 モーリス・センダック絵 長田弘訳
モーリスセンダックの挿絵にひかれて手にとった ある日昼間に目が覚めたコウモリが 昼間の世界の生き物にあこがれて 見たもの、聞いたものを詩に書こうと いろいろ努力する、というおはなし
コウモリは自分の気持ちを誰かに伝えたくて 詩を作るのだけど、表現ばかりに気をとられて 理解されない。 その誰かとは、自分の兄弟たち、仲間たち 気持ちを分かち合えるのは 仲間だということにコウモリは自分でも気づかない。
コウモリの詩を理解して、助言してくれたシマリスのことば 「コウモリの詩をつくればいいじゃないか」 自分の気持ちに素直になること そんなことをそっと教えてくれる やさしい絵本だ
C・アドラー作 足沢良子訳 北川健次画
別居中の父親に会いたい、 父と暮らしたいと願うクリス。 幼くて両親のことを理解できない妹のジャッキーを 時には疎ましく思い、自分に干渉ばかりする母親から離れたいと 思うクリスが夏休み中に父方の祖母の家で暮らすうちに 変わっていく。 銀の馬車は魔法の馬車 おばあさんが大事にしている銀の馬車で 行きたいところへ行くクリス。(たぶん夢の中だろう) 父のところへ行きたいというクリスの願いは 父の、気ままで自己中心的な態度で崩れ去ってしまう。
父の再婚、知らない女の人とその子どもたちの出現に 絶望を味わうクリスの心がくっきりしている。 お父さんと別れる前に最後の話をしようと必死になるクリスなのに それに気づかない父。なんて残酷なんだ。 子どもの気持ちのわからない親なんて、いったい・・・ クリスは父親が大好きだったからこの落胆は激しかっただろう。 干渉ばかりする母親に嫌気が差していた彼女だけに 親に見離されたと感じたに違いない
そんな時、彼女をさりげなく理解し 彼女を支えたのがおばあさんだった。 銀の馬車で二度目に行ったの自分の家、母のいる家だった それまで叱るだけのいやな母だったお母さんが ひと夏の間に、かけがえのない存在になっていたのだ。
母のほうも、子どもたちと離れて過ごした間に それを感じるようになる。 夏が終わり、子どもを迎えに来る母 「あなたなしではいられないわ」とクリスに語りかける母の その言葉にどっと涙が出た。
おばあさんと分かれるときのクリスの言葉がいい おばあちゃんが私たちのところへ来られるように 馬車を置いていくね・・・・
銀の馬車で行くところ それは家族のいるところ、本物の愛のある場所なのだ
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