当然のこととして
2003年12月30日(火) 生まれた頃は小さかった そういう当たりまえのこと 出会った頃は知らなかった そういう当たりまえのこと 人は全然違う そういう当たりまえのこと 成長とともに なくしたものもある そういう当たりまえのこと 吐いて 捨てて 吸って 拾って だれもが望む そういう当たりまえのこと 恋をした日。 2003年12月25日(木) 恋をした 冬の空 三日月の日 やさしく 手とを 繋ぎ合わせてくれた日 白い息と 真っ赤な火は 目の前でぼやけて この体が 焼かれてしまうのだろう と そんな煩悩の中 振り向けば そこにいた という時間は もう 過ぎ去った 幾日も幾日も 幾ヶ月も幾ヶ月も 少しずつ ずれていって 少しずつ 違えていって 少しずつ 忘れていって 少しずつ 知らぬフリできる そんなふうに 考えていた 元通りに戻れる っていう 元 って どんなだったか 今思えば そんなのは 無理なわけだ 人の幸せを願うのが 君の幸せを願うのが 恋 だと思っていた いじわるだった やさしすぎた さいていだった くりかえし くりかえし 抱きしめる夢を見た いつまでも いつまでも 絶望の淵にいる 春になれば 花咲くだろうと かわいく はずんでいた とても ちいさな 恋をした オレンジ 2003年12月16日(火) 夕刻、オレンジ。 太陽が沈む前に、 必ず、お迎えがくる。 そんなとき、 寂しくきこえる音楽に惹かれている。 と、思い込んでしまう。 ぼうっと、しながら、 君の名前とかを呟いてみたりして。 そんなのも、 さして、意味がないのかもしれない。 さして、好きじゃない、ということやも。 そういう時間に溺れる 自分に、酔ってるのかもしれん。 そうじゃないかもしれん。 からす、かあかあ。 太陽が、半分沈んで、 お迎えがくる。 ぜんぶがぜんぶ、 オレンジから、解き放たれる。 これを振り翳す力 2003年12月12日(金) この道を歩くたび いつでも 答えにつまってる あめしずく 額に落ちて 眉間にしわが寄る 言葉100%を 伝えることができないのを 知っているのに 答えにつまってる この言葉のすべてを 知ってほしいわけでもない それ以前の問題でもある 歩くたびに歩くたびに 汗をかいて 口にすることなんて 無意味な気がしてくる 言葉が欲しい と言ったことはない けど 言葉が使える 曖昧に だが 一本道の脇に 飼い犬がいて 野良猫が通る 誰に伝えたいわけでもない 誰かに汲み取ってほしいとも思わない 何かを感じ取るほど これにそんな力は ない 見てもわからない 聞いてもわからない 傘をさしのべてくれる人がいることが 唯一の救いだ さよなら、眼鏡さん。 2003年12月06日(土) 無意識のうちに 視界を狭めているのです 窓の枠も ドアの鍵も 眼鏡のフレームも 明日はきっと 寒いので ガラスはすべて 曇ってしまうでしょう 囁きかけてください そこからでいいから ガラス越しでいいから 聞こえなくてもいいから あなたの声を 口の形を 私が 読み取ってあげましょう この世界は 目が渇きますね 渇いてしまいますね コンタクトが取れて 私の視力は 0.01です |