消えてゆく小さなこと


消 え て ゆ く 小 さ な こ と

1st    index         new


1906年02月28日(水)

冬の猫たちは すでに丸くなって
丸太のような体をゆすりながら歩いている
まるで別人のように重たげに
塀に跳びのり屋根に登ってゆく
陽だまりを見つけ風を避け
すでにそこに正月の神を見ているように

あなたたち ほんとうに
にくらしいほど うらやましいよ

こちらはまだどっさりと 
冬支度が残っていますので


1906年02月27日(火)

哀しすぎる あまりに小さく軽い棺(ひつぎ)
せめて大人と同じ大きさにして
花をいっぱい クッキーもチョコも
お気に入りのリボンやハンカチ
人形やぬいぐるみや本や写真
せめて新しいランドセルやノートや鉛筆や
たくさん一緒に入れてあげたい

でも 大きい棺はきっといけない
密かに母親が添い寝するかもしれないから

棺はひとりちょうどの大きさだけ
旅立つのはひとりきり
大人であろうと同じこと

だから 自由にはばたいてと祈ります
やさしいひとに囲まれて
笑顔でいられますようにと祈ります


1906年02月26日(月)

磨かれた お洒落な言葉
計算された 整った言葉

美しいのだけれど

色合いがなくて
いつまでも温(ぬる)まない言葉のやりとりが
あなたのところにならんでいます

はだかのこころはどこにもない

びっくりさせたり 戸惑わせたり
アートな言葉で狙っても
人の心をしみじみ打つことはできないよ
心の奥深くで交わることはない


1906年02月25日(日)

たった一晩の嵐で
紅い葉がどっと落ちた
黄色の葉も落ちた
焚き火をすればきれいな煙が立つのだろうか
この町では禁じられている


1906年02月24日(土)

二人の賭け事は
密かに言質(げんち)を取り合うだけ
そして互いに黙っている


1906年02月23日(金)

命のやりとりで 
命は継がれる
それだけが鉄則だ

死ぬものは死に
滅びるものは滅びるだろう
それでもそれは鉄則だ

それ以上のやりとりをしようとして
命のバランスを壊しているのは人間だ
命を粗末にしているのは人間だけだ

延命の薬はいらないが
命を奪う者は許されない


1906年02月22日(木)

今日一日を無駄に過ごした気持ち
時間をかけていろいろ回って そしてやっと選んだものが
失敗かもしれない情けない気持ち
選び直すこともできず忘れて目をつぶるしかないなんて
負の一日 無ければよかった日


1906年02月21日(水)

なんだか 終了 という気がします
貴方のことは 自分で 解決してください
オリジナル という 自分が全てである世界


1906年02月20日(火)

やれば30分かからない事を
二つも残してしまった
どうして夕方までにしとかなかったんだろう
関係ないことばかり先にして
結局夜にする羽目になった
馬鹿な一日
明日は頭が冴えますように


1906年02月19日(月)

ワタシハ コレガ スキ とだけ言えばいいのに
オススメしたがる人
自己主張が強くてビジネス志向でカリスマ願望

貴女の影をちらっと見ました


1906年02月18日(日)

奈落へと
落ちてゆけ
冬の午後 

復活は
ありえない

闇を待つだけ
魔の三時


1906年02月17日(土)

降りそうで降りそうでまだ降らない
降りそうな素振りばかりで一向に降らない
空は寒々しく哀しい色のまま
きっと夕焼けだって見られない
鳥たちがねぐらに帰るのを見ることもない
星のない夜が降りてきて
人が黙って歩くだけなのだろう


1906年02月16日(金)

真新しい手帳をぱらぱらと見る
化粧品のプレゼントだけれど
いい言葉が載っているので毎年貰っている

新しい覚悟にて
きのうの自分を捨てる朝

はっとする
私は夜型 夜更けに明日の自分を覚悟する
朝の感覚をあまり持たない

でも本当は
昨日の自分を捨てるのに朝ほどのものはないのだね

だからこの手帳好きです


1906年02月15日(木)

模様替すんだら 馬に乗りたいね
背筋伸ばして別の力に身を任せながら
生き物の温みの在りかを感じる
人間が唯一の生き物ではないということを
長い睫毛の大きな眼に映る空を見てわかる


1906年02月14日(水)

勲章をリボンにかえたのなら興醒め

好きでない男優がホホエミしていて興醒めな
キャンペーンもあるけれど


1906年02月13日(火)

今日はとても忙しいから
仕上げる用事があるから
もう邪魔しないでほしい
貴方の都合に振り回さないでほしい


1906年02月12日(月)

眠いのは
血の巡るコトを
考えないから
脳内酸欠状態
精神冬眠状態
意識不明の高血糖
夢遊中


1906年02月11日(日)

あなたは負けない子なんでしょうね
どんなことがあっても

平和的解決より
負けないことが大切なときがある
そのことを大人は子ども達に教えたほうがいい

負け続けてひるんでしまった大人たちは
強い子ども達に心動かされる
夢憧れ郷愁悔恨とは違う澄んだ熱いもの

世の中逆になってる
昔子どもは大人から夢をもらった
今の大人はどれだけ夢を持たせてあげられるのだろう


1906年02月10日(土)

熱い珈琲を飲みかけで
他のことをしてすぐ忘れてしまう
熱い珈琲は 熱くなければ意味ないのに

もう冷めてしまった


1906年02月09日(金)

わかった気がする
あなたの
言いたいことと
言いたくないことと
言えないことと
したいこと

でも私はもう
部外者ですね


1906年02月08日(木)

その一でもなくその二でもなく
おしなべて ひとくくり
皆さんご一緒に
ひとつ抜けても変わりなく
一つ一つはどうでもよい

なのですね


1906年02月07日(水)

なんだかね
手段があるのに使わないって
何か意味があるのでしょうね 君なりに
そしてそれを示したいのでしょうね
でも わからない


1906年02月06日(火)

未練がましいのはダメとか
女々しいのはダメとか人に言っていたけれど
ひょっとして自分がそうかも知れなかった

未練という言葉 好きじゃないので
あっさり諦めよく生きたかったのに

自分の中の 捨て切れない というもの
それって未練というのだよね普通には
自分でそういうふうに決めていなかっただけで


1906年02月05日(月)

病んだ葉はすべて落として再生すればよいのだから
そしてまた高く香る花をつければよいのだから
必ず季節は変わるのだから
そう説得してその日を待ってみる
説得されてその日を待っている樹


1906年02月04日(日)

気をつけてください
基本的には善良な市民です
悪意はありません
でも好奇心があまるので
時々研究熱心です
危険物を作りはしないけれど
良い結果を結ぶとは限りません
だから気をつけてください


1906年02月03日(土)

そういうことなら それなら サヨナラ

気の毒に思った ただそれだけですから


1906年02月02日(金)

大人になって
束縛されない自由を得た
自己責任で何でもできる

壊れぬようにコントロールもできる
楽はいくらでもできる
すべて自己責任で

そして自分に課することが無くなった

本当は 
自分に課してこそ大人なのにね


1906年02月01日(木)

いつかと同じ
またキミのどこかが麻痺をする
無理をするから止まってしまうコトバ

何もかも投げ出そうかと考えて
でも それができないでいるキミ




天窓より          


−ともすれば消えそうになる自分を見失わぬよう−       

* * * * * * * * * * * *        
* * * * * * * * * * * *        

− ささやかに −          

*  **  ***  ****        

日付は通し番号として記しています         


 *