空中楼閣

2004年05月31日(月) 右手の警鐘

 
いつもなら左手に現れる『それ』
今回は珍しく右手が引き寄せられた
 
それと同時に重く纏わり付く大気
今回は丁度良く雨が誤魔化してくれた
 
消える事の無い傷へのカウントダウン
こればかりは決して変わらず微笑み続ける
 


今日も路上で猫は死に絶え
食む鳥もまた轢かれ死ぬ
 
共に参ろう 共に参ろう
うたかた捉えし微笑みと
 
明日の路上に猫は消え去り
飛ぶ鳥もまた放れ行く
 
共に参ろう 共に参ろう
生き血に塗れしこの腕と
 



2004年05月22日(土) 某日、詩を書く。

 
声に出して読む事を酷く嫌がる。
帰宅したので朗読しようと思う。
 
 

もう 後戻りは出来ない
立ち止まる事はあっても
振り返る事は 絶対に許されない
 
きっと 忘れる事は無い
だけど思い出す事も無い
それは絶えず 傍に在るのだから
 
もし 時を戻せたとして
過ちを繰り返すのだろう
僕は罪と共に 君に出逢うだろう
 
 
時を刻もう
僕等の行く手に待ち受けるものが
例え 屍の山だとしても
 
 
好きなように詩を書く。
その指示に、苦しみながら産み落とされた物。
逃げるように帰った君が残した物。
何を伝えたいのだろう。
誰に伝えたいのだろう。
私に伝わる日が来るのだろうか。
 
 
カチャリ。
 



2004年05月14日(金) 某日、白い部屋にて。

 
「ここが、白い部屋。」
 
「なるほど、名は体を表す、ね。」
 
「そうです。」
 
「で、ここは何?」
 
「ですから、白い部屋です。」
 
「・・・そう。」
 
「もう、いいですか?」
 
「え?」
 
「出ませんか?」
 
「もう?」
 
「はい。
 この部屋に何かありますか?」
 
「何も無いね。」
 
「そう、何も無いんです。」
 
「何も無い。」
 
「はい、何も。」
 
「それでも、いや、だからこそ、何かあると思うのだけど。」
 
「いいえ、何も無いんです。
 何も無いから、白い部屋なんです。」
 
「そうなのかな。」
 
「居たければ居ても良いですけど。」
 
「じゃあ、少しだけ。」
 
 
数分の沈黙。
 
 
背後には人の気配。
 
 
カチャリ。
 



2004年05月12日(水) 某日、自宅にて。No.3

 
「先生、これをやれと?」
 
「そうです。
 自由に作って良いですよ。」
 
「箱庭を私にやれと。」
 
「はい。」
 
「こんな物じゃワタシは計れませんよ。
 先生が一番良く御存知なんじゃないですか。」
 
「でも、アナタにやって頂きたいんです。」
 
「ワタシは、期待以上ですよ。
 こんな子供騙しの物じゃ無理ですよ。
 あらゆる症例を詰め込みますよ。」
 
「そうだと思います。」
 
「ワタシには、コレしかないですから。」
 
「知ってます。」
 
「与えられた自由な時間を全てコレに費やしましたから。」
 
「知ってます。」
 
「ワタシには、コレが全て。
 その代わり、全てを手に入れましたから。
 多分、貴方を欺いてしまう。
 あらゆる方法で、欺く事が出来るんです。」
 
「知ってます。」
 
「・・・・・・。」
 
「さぁ、どうぞ。」
 
「でもワタシは、私をも欺くから。
 多分、答えは出ないです。
 ワタシが絶対に阻止しますから。」
 
「構わないですよ。」
 
 
最後には溜め息。
そして、何か、ゴソゴソと動かすような音。
 
カチャリ。
 



2004年05月11日(火) 私の知らない事実の眠る場所

 
少しの間、あの人を追い求めて。
自分の心と向き合う事を止めようと思います。
どうしたって戻ってくるのならば。
後悔を手にしない為に。
 



2004年05月10日(月) 今はまだ・・・

 
それを再生する気になれない。
勇気も無い。
 
あの場面は蘇るだろうか。
私には日付の記憶が無い。
探って探って、大体の見当は付いた。
 
入っていると良いのだけれど。
そう思うと同時に。
入っていない事を祈っているのも事実ではある。
 



2004年05月09日(日) 堂々と、堂々と。

 
本当に気付かなかったのだろうか。
ワタシの嘘に。
呆れる数の小細工に。
その嘘が全て真実。
何故なら、それがワタシの全て。
それがワタシの世界。
 
数本のカセットテープを入手。
その事実に気付く事は、おそらく無いと思う。
聞くのは少し怖いような気もする。
けれど、もしも入っているのだとしたら。
聞かなければ、過ちは繰り返される。
それは、イヤだ。
 



2004年05月08日(土) 必要なのは覚悟だと思う。

 
気付かれてはいけない。
ワタシが、うわ言のように繰り返す言葉。
 
気付かせてはいけない。
うわ言のように繰り返し言い聞かせる言葉。
 
嘘は、何も考えずに楽しむ物。
それを教えてくれた人の所へ今から。
少しの覚悟を持って、行こう。
 



2004年05月07日(金) 言いたい事、言えない事。

 
言いたい事は、山ほど。
その中から言えない事を排除する。
あまり、残らない。
残った物から言わなければいけない事を優先的に持ってくる。
自分の中で上位にある事は最後になってしまう。
 
何故、言えないのだろう。
言えない事は、何故生まれるのだろう。
何が規制をかけるのだろう。
言う事を拒んでいるのは誰だろう。
 



2004年05月06日(木) 内傷性に効く傷薬。

 
どこかに売ってないのかな。
 
話をするだけで楽になれるけど。
それは治療だと言うけれど。
完治には程遠く、全くの別次元の事だと思う。
 
傷薬には、色々な種類があって。
『外用専用』
そう書かれていて。
心の内側にも効く薬が欲しいのに。
 
睡眠も、多忙も、談笑も。
それなりに忘れかけさせてくれるけど。
 



2004年05月05日(水) あの赤い月へ届け。

 
I sing, toward the red moon that hid the figure.
So as not to be defeated to a mean cloud.
So that I am able to be me.


I sing.
Until it reaches the moon.
Until the moon laughs.
 

 
姿を隠した赤い月へ向けて、私は歌う。
意地悪な雲に負けないように。
私が私でいられるように。

私は、歌う。
月に届くまで。
月が笑うまで。
 



2004年05月04日(火) 轢かれた猫

 
少し前に通った道路を今日も通る。
あの日、猫が轢き殺された場所には何も無かった。
 
既に猫かどうかさえ判別付かない程の死体。
 
友人が目を背けた死体に釘付けな私の瞳。
 
でも、思い出そうとすると記憶はどこか朧気で。
数日前の事なのに。
もう懐かしい思い出に成りかけていて。
 
引き換えに、ひどく鮮明な記憶。
一昔も前の事なのに。
思い出に成り得ず、昨日の事のように染み付いて離れない。
 
それは悪い事でないと思うけれど。
多分、とても不健康で不健全な事なのだと思う。
 



2004年05月03日(月) 呼ぶ声。

 
最低。
 
解ってる、そんな事は。
ここで人生論、及び人間論を持ち出さないで。
何が厭かって訊かないで。
そんなの、解り切っている事でしょう?
私の口から言っても本当に良いですか?
唐突に論理的思考を持ち出す行為が厭なのです。
 
最低。
 
 
良い人過ぎる人は時折、私の毒に成る事を思い知る。
 



2004年05月02日(日) 猫と雨と・・・。

 
夜。
とうとう、動き出した事を知る。
 
到頭、遂に、結局。
いずれにせよ、それは必然だった事を意味していて。
完全に沈めた筈なのに。
その接頭語を図らずも用いてしまったのは。
恐らくは、多分、きっと。
それが必然であろう事を頭のほんの片隅でも思っていたから。
 
嗚呼、やはり必然だったのだろう。
大人気無く声を荒げても。
相手の意図が読めず問い詰めていても。
そんな自分を冷静に見詰める自分が居て。
嗚呼、やはりそうなのだ。
 



2004年05月01日(土) 大好きな物。

 
近くに在るだけで、癒されてしまう。
自分に対して、とても大きな力を持った物。
とても大きな意味を持った物。
今、こんなに近くに在る。
それが本当に本当に嬉しくて。
穏やかな気持ちが心を満たす。
 
嬉しい、嬉しい、嬉しい。
 


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亨 [MAIL]

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