「いつもにこにこ・みけんにしわなし」
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モックンの最近のブームが「焦点」だ。
レンズの焦点を合わせて紙を焦がすあれだ。 理科の実験でやって以来ハマリ気味である。
ハマルのよね、とは思う。 あれ、楽しい。うん。
でも、レーくんがじーちゃんちでじーちゃんのでっかい新聞見る用虫眼鏡で 「家燃やしかけたのよ。」とか聞くと、 やめとけーと言いたくもなる。
ただ楽しいだけじゃなくてキケンなので一切やらせん、というのも考え方の一つだけれど、 なにがどうキケンだからそこんとこ注意して楽しめよ、という方をとるタイプの母である。 やってみにゃわからんもんねぇ。
焦点が合ってじりじり紙が焦げていく。
黒い折り紙から始まって薄い色の折り紙ではどうなんだとか、 新聞のどの紙面が燃えやすいとか天気がいいと庭でやっている。
水、用意したか〜、風が強いから燃えカス飛ばないようにささっと片づけろよーとか、 言われながらやってるうちに、虫眼鏡で火が起こせることも体得なさってしまった。 そして、火が出たときの始末をもできるようになった。 キケンを自分の力で安全に管理するということは、 ぜひ覚えて欲しいことのひとつだ。
火の始末てのはむつかしい。 自分の手におえる火なんて焚き火を自分でしたことないとなかなか覚えられないもんなぁ。
今は焚き火したら野焼きからダイオキシンとか言って怒られるから そうはできない哀しいご時世である。
小さなことだけど経験してけ。と思う。
朝からバターコーンを山盛り食べていたミー。
トイレから叫んだ。
「ああっ!!スゴイっ!モックーン!ウンコすごいーーーーーー!!」
「なになになになに!!」とモックンも慌てて個室に駆け込む。 「見せてー!!」
・・兄よ、見るほどのもんじゃ・・。
「わーっはっはっはっはっはっはっは!!!」とモックン。 「きゃーっはっはっはっはっはっはっはっは!!」とミー。
バタン!とモックンがトイレから出てくると大笑いしながら言った。
「おかーちゃん!!ミー、ウンコーン!」
・・・・・・よしなさいって・・・。
モックンのサッカー少年団の卒団式。 1年生から6年生まで揃って学校のグランドで紅白戦を楽しむ。 今日で6年生は引退だ。
5年生と6年生、4年生と、3年生とゲームをしてるのを見ると 年々男の子達がたくましくなっていくのがよくわかる。
私は男の子だったことがないから、 男のこのことはよくわからない。 だから男の子が育っていくのに邪魔にならないようにしかできないけど、 コーチたちがうまく育ててくれたのがよくわかる。
女に生まれたら誰だってそうだと思うけど、 年々カッコよくなっていく男の子を見るのは大好きだ。
モックンはあんなカッコいい男の子になれるんだろか。 空き時間にアリ捕まえてレンちゃんと2人遊んでたけど。
4年生になってもサッカー続けるよってモックンが言うから、 小さくなったトレシュと、縫い目がぼろぼろになったボールを買い換えた。
がんばれよ、モックン。
おわったー。 と喜ぶ子供達。
はじまったぁ・・とうなだれる母。
ミーの担任の先生に会いに行く。 もちろんミーの骨折のことで。
「先生、今日のテーマは、"再発防止について"です。」
別に娘の骨を折られた分を、ねじ込みに来たわけではないのである。
今回、ミーの骨折は軽くて済んだ。 母も子もそうたいしてダメージを受けてはいない。
だけれど。
反響がすごかったのだ。
「まー!カズ君にやられたんでしょ!聞いたわよ!」 「またあの子!ひどいわよねえ!うちの娘もしょっちゅうかまれてるのよ!」 「どうにかならんの?毎日殴られてるのよ〜うちの息子も!」
子供の口から親たちに一気に広まったと見えて、 店先で、路上で、学校で、電話で、メールで、 お見舞いのようなそうでない反響をドッといただいたのだ。
これはマズイ。
子も親も、カズ君に「悪い子シール」を貼っている。 それも相当な数だ。 このままではカズ君は潰れる。 自分のすることで周りからも自らも潰れていく。
先生にお願いに上がったのは、 今、本気でカズくんが変わろうとしなければ、 ヤツは潰されるだろうという事実を知ったからである。
カズくんともおかあさんとも約束は、した。
次に誰かを傷つけることがないように、 カズくんは変わると約束してくれた。
だけど、トラブルが起こるのは学校だろう。 そのとき今は一人で踏ん張っているヤツを、先生が支えて助けてやって欲しいのだ。 親のしつけの領分かもしれないが、 学校では先生に親代わりになってやって欲しいのだ。 そうすることでヤツはその行動力をいい方に変えられると思うのだ。
それがなにより、ヤツの「被害者」を作り出さない近道だと思うから。
先生、よろしく頼みます。 私が言うのヘンかもしれないけど。
先生が教えてくれたのだけれど、 ミーの骨を折った日、カズくんのお母さんから電話がかかってきて、 「私は子供を育てるのに向いてないんや。毎日なにかするのは私がいいお母さんやないからや。 もう、子供は施設に預けた方がいいかもしれへん。」 と泣いてたそうだ。
でも次の日、 あっさり子供同士が仲直りして、カズくんがうちへ遊びに来たりして、 また先生に電話があった。 「もうすこしがんばってみる。がんばれそうな気がする。」
先生はがんばって、と言ったそうだ。
うん。
ヤツと、おかあさんが頑張れるように、 学校にお願いしたい。見守って励ましてやってと。
再発防止、のポイントはそこだと思う。
先生が笑う。 来年はあの子とはクラス離してくださいっという母親は多いけど、 そんなこと言いに来る「被害者」の母親はいないらしい。 だけど、そのポイントは本当に重要な押さえどころだと思うから 来年彼を持つ先生にちゃんと伝えます。と約束してくれた。
よろしく。学校。
帰り際ミーが、 「来年またカズくんとおんなじクラスでも別にいいからね。」 と先生に言っていた。わかってんのかなぁ。
ミー、ギプスも外れたので元気よくスイミング。
痛かったらすぐやめていいよと言ったけど、 水が楽しくて忘れたみたい。 大丈夫なんだぁ。
若いってスバラシイ。
マルの「お絵かきクラブ懇談会」。 保育園で毎週1回専門の講師が来てオルガンやら習字やら体操やらのクラブがあるのだが、 なかでもお絵かきクラブは懇談会がある。 この絵描きの先生、なかなか面白い人なので楽しみに出かけた。
先生がマルの描いた絵を床いっぱいに広げてお話してくれる。
「マルちゃんは絵の中にストーリーを作るのが苦手な子なんです。 こういう丸とか三角とかをきれいに並べようっていうのは得意な絵なんやけど。 でもね、それがこの頃変わってきました。 この山の絵ね、世界一大きい山を描こうってやったんですけどね、 これ大きい山なんで大きい道がついてるんです。 道があるんで、道に車も走ってるし、人も歩いてます。 てっぺんには湖があって、魚が泳いでます。これを見にいくんですよ。 空にはね、龍が飛んでるんですよ。大きい山なんです。 ボクねーこれには驚きました。 お話が絵の中に書き込めるようになってきた。 世界一大きい山はなんか特別なんやぞーっていうのがね、表現されててね。 筆圧も男の子並ですしね。紙一杯に描いてる。
引っ込み思案なトコがあって、おとなしすぎひんかと思うトコがあるんですが 自分の言葉で描くことができてます。 これからもっと自分の言葉で描きこんでいけると思うんですよ。」
ふーん。 「自分の言葉で描く」かぁ。 マル、伝えたいことを表現できるひとに育ってるようです。
ミーのギプスが外れた。 外したというべきか。
ゆうべからギプスで固定された指が痛くなって、 ミーが泣きべそになってきたので、 先生に朝一番に行ってギプスの様子を見てもらうことにした。
母も子も巻きなおしてもらうつもりだったけれど、 先生がニコニコと、 「もう、とっとこか!」
えええ? いいんですか??
「子供の骨はな、治るのが早いし、ギプスしてて痛かったらどうにもならんやろ。 動かしてるうちに治る。治る。 痛かったら自分で用心してもうたらええ。だいじょぶやろ♪」
ライトな診療である。 そういうの好きである。
ミーは 「痛いときはなるべく使わんとくわ。」 と言って授業に加わった。 早速エンピツも握ってみた。 いけそういけそう。
子供って柔らかいねんなぁ。 飛行機事故でかすり傷とか聞くけど、 ミーはよく折れるわりに治りも早いなぁ。
当たったり握られたりは痛いらしいけど、 それより、「ケガ人」じゃなくなったことが嬉しかったらしい。 よかった。 ミーが、「ケガなんてへっちゃら」なタイプの人で。
ただ、お片づけするときになると痛むらしい・・・・おいおい・・。
学校から電話。 「給食のときにお友達ともめまして、腕をひねられたんですがー、」 「すぐ行きます。」
すぐ行った。 保健室で大泣きのミー。 右手の甲が赤紫に腫れている。 折れたかな。 動かさずに整形外科へ。
さわると痛い。 どうも中指の手の甲部分の骨。
レントゲンでもはっきりとは出ないくらいの軽い骨折。 若い木の枝がしなるように反ってめりっと折れる子供特有の「若木骨折」。 大人の堅い骨なら無理に反ればポキンだが、子供の柔らかい骨はポキンとは折れない。
指をつかまれて手の甲がわに反らせるようにねじられたらしい。 痛いわなぁ。そりゃ。
本人が泣きつづけながら「いだい〜ぃ。」と言うので、 先生、「よしゃ!ギプスしたろ!な?」 と、ギプスすることに。
「女の人にはなぁ〜、このくらいやったら大丈夫です、ていうとあかんねん。 怒るで〜、ちゃんと見てください!て。 こらあかん、て、いうて、ガッチリやっとくとええねん。 それがさー男の人にはさーアカンて言うととたんにがっくりくるねん。わははは。」 と笑いながら、立派なギプスを仕立ててくださった。
ミー二度目の骨折。 しかも相手がまた同じ。 1度目は遊んでてはずみだったのかなと思える状況だったけれど、 今度のは違う。
相手の子は朝から別の男の子とケンカして、目をグーで殴ったらしい。 当然、叱られる。 叱られて気に食わないまま、イライラの矛先がミーにむいた。
給食係のミーのやってることに口を出したら、 ミーから、「これでいいの。」と言われてムカっときたらしい。 次の瞬間には組み伏せて手をねじりあげたそうだ。 先生より早く友達が助けに入ってくれたけれど手遅れだった。
1年生のときから、その子はそういうことが多かった。 話をして見ると優しい子なのに、 キレる自分を抑えられなくて毎日誰かがやられる。 男の子も女の子も好きな子も嫌いな子も見境ない。 2年生になって落ち着いてきたと思ってたのに。
夕方おかあさんが子供を連れて謝りに来た。
一度目は事故だと思うけれど今度は違うから、と、 お母さんが謝るのをさえぎって子供に話をする。
おかあさんに謝ってもらうのは筋が違う。 キミが友達にケガをさせないように自分で考えないとあかんのよ。 ムカッときてすぐにぱん!と手が出るのはアカン。 ムカッときたらまずムカッと来た理由を相手に説明し。 相手が何を考えてるかわかったら殴らんで済むことたくさんあるの。 もちろん、自分のために闘わなあかんときもあるけどな、 これ(ミーの右手)はアンタにとって闘わなあかんことでしたこととちゃうやろ。 おばちゃんもムカッと来ることはよくある。 でもいきなり殴ったりはせえへんよ。話聞くよ。 もう2年生やからできるはず。 今日から練習してできるようになってな。 お母さんどうしのこととちがうんやで。 キミが自分で変わらなあかんねんで。
母子でわかった。と言って、お母さんが言った。
「私、この子殴ってしまうねん。」
「なんで?」 「いらいらして。」 「それな、イライラしたら弱いもん殴っていいって子供に教えてるのと一緒やで。」 「そうか。そうやな。私も今日からがんばって変わるようにする。一緒に変わろ。」 と息子の腕を引っ張った。
子供同士はすぐに仲直りができて外で走り回って遊び始めた。 私もこの子とおかあさんが今の「嫌な自分たち」から抜け出てくれたらいいのになと、思った。
バイバイと見送ってからミーが、 「今度はミーがおうちに遊びに行くわ。」と笑っていた。
松阪には三大祭と言う三つの大きなお祭りがある。
夏の祇園祭、 秋の氏郷祭、 初春の初午。
三つとも駅前の商店街を中心に駅前大通を歩行者天国にして 出店がたくさん並ぶので子供たちは楽しみにしている。
うちの子供の通う小学校では 「4年生になったら友達同士で行くなら子供だけで行ってもよい。」 というゆるいルールがあって、 モックンは来年の夏の祇園祭からは友達と行くのを楽しみにしてるのだ。
子供たちだけで駅前に行くのにはバスを使う。 普段どこに行くにもおかあちゃんの運転で出かける子供たちに、 バスの乗り方実習を施すにはよい機会だ。 よし、今日はバスで行こう。
車で行かないならと、荷物をお財布だけにする兄妹。 よしよし。わかってるじゃないか〜。
うちから歩いてすぐのところにバス停があるので、 まずはそこに4人で向かう。 時刻表の見方を教えてもうじきくるねーと待っていたら、 「臨時」と書いたバスが来た。
??あれ乗っていいのかな。
運転手さんが開けた乗降口から叫んだ。
「駅前行くんか〜?」 「は〜い。」と返事。 「乗ってー。」
ぞろぞろと乗り込む。 臨時バス貸切。 祭りのためじゃなくて、学生のための臨時バスなんだそうだ。 駅前行きって書いてあるのに乗るんだよ、って教えたけど、 運転手さんが「乗ってー」ちゅうバスもローカルで楽しいなぁ。
お客が私たちだけなので、 気がねなくあちこち指差してモックンに教える。
子供料金は大人の半額だから、 ちゃんと自分の乗った停留所からの運賃表の大人運賃を2で割って5円は切り上げなくちゃいけない。 バスに乗るのには計算ができないといかんのだと知るモックン。 「駅前までは310円・・やから、155円・・で、160円?」 「うん。さっきの番号書いた券と一緒にお金をここに払うの。」
バスの動いてるときには立たないとか、 降りたい停留所の一つ前で小銭を用意しようとか、 ときどき運転手さんからもアドバイスもらいながら(なんせ貸切)駅前についた。
運転手さんが厄除け寺の道案内もしてくれたので、 ありがとうとバスを降りて厄除け寺に向かう。
お参りを済ませて、屋台を見て歩く。
子供たちクギヅケその1。 「熱帯魚すくい」 本物の熱帯魚をすくうわけではない。 スーパーボールすくいの熱帯魚フィギュア版。 ぷかぷか浮いてる熱帯魚のフィギュアを金魚すくいの要領ですくう。 300円×3。 あとからわかったけれど一番良心的なおっちゃんに当たったようだった。 300円でどれでも好きなフィギュアを選んでいいのはこの屋台だけだった。 マルはウミガメとゾウガメ。 ミーは青い熱帯魚とタツノオトシゴ。 モックンはゾウガメとツノダシ。 きっと今晩のお風呂に浮くのだこいつらが。
りんごアメを買って、 サツマイモフライを買って、 とどめに焼き鳥を買って駅前からまたバスに乗る。
一番後ろの席に並んでおとなしく座る。 周りは勤め帰りの人がほとんどだ。 「みんな疲れてるからね、はしゃいじゃだめなんだよ。」(ヒソヒソ) 「うん。」 マルまでおりこうに座ってる。 よしよし。
と、前の方の座席で若い男の子がケータイで誰かに言い訳しはじめた。 車内がみんなその子の下手な言い訳を聞く。
「モックン、あれは、ダメな見本。」(ヒソヒソ) 「うん。しっとる。」(ヒソヒソ)
行きと同じ道を走ってるのに、 日が落ちてしまうと、急に明かりのついた看板が目立っていつもの道が初めて見る道みたいだ。 おかあちゃんの車とは高さも違うから窓から見えるものが違う。 郵便局の次が降りるバス停だよ。 わかる?
「押していい?」
バスが郵便局を離れるとモックンが乗降ボタンを押した。 車内のボタンの紫色のランプがいっせいに着いて、次の停留所でバスが停まった。 料金を払って、ありがとう〜と運転手さんに御礼を言って降りる。
「バス、楽しいなぁ。」 「うん。遠足みたいやったなぁ。」 「またバス乗ろなー。」
寒かったけど、バスで出かけるのはワクワクしたと、子供たちは上手にバスを楽しんだようだった。 ワクワクしてる子供たちを見てるのがおかあちゃんは楽しかったよ〜。
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