器を満たし溢れるのだ
夜の色とは違う青空。
まるで恥ずかしそうに照れる 女の子のよう。
そんな所作を見つけて 僕は嬉しくて笑っちゃうんだ。
見つけて。
早く。
崩れそうになった意識を救う
忘れていた泉が湧くかのように
自らの心拍で潤っていく
もう大丈夫
窓から入る空からの手紙
一緒に過ごした いつもの午後に 届いた手紙
封を開けようと手が触れて 顔を見合わせ肩が照れ笑う
空からの手紙は 今日もあなたに眩しく
音が伝い 音にのせられた言葉に 解かれて風に舞う
見透かされた気持ちは 澄んで飲まれていく
時計の針は止まっても 時間は止まらない
想い流れ飛んでゆけ
雨が上がった濡れた歩道橋 行き交う人々の生活の音
雲の切れ間から射す光に ふと音が途切れ 誰かが呼んでいる気がした
振り返ってみると そこにあったのは 手放した想い
弱い分だけ見知らぬふりをする 弱い分ほど気付いているくせに
ほら 青い空が見えてきた
ほら 大切な想いが動き出す
僕の日常の中に 君という風が舞い込み 僕は揺られながら ふわりと浮かんでいるのが 心地よくて風に泳ぐ
風は声を届けてくれるのさ 僕はまた揺られながら 君の声を聴くんだ
「声は奇跡を起こす」
そういった人がいたけど 君と僕の奇跡はもう始まっている
そして二人の声は事実になるんだ
我が指の先に感ず
動も静もあたたかく
気付くとき
飾らない言葉の向こうで みなに包まれている
めぐる
笑顔の
喜びを
僕は振り返らずに。
僕は振り返らずに。 君の涙を知ってて。
僕は振り返らずに。 涙気付かれぬよう。
朝の空は薄かった。 地球を覆う薄い硝子のようで。 それでいて夏の凛々しさまとい。
誰の胸にも夏が宿り。 忘れられないように。 夏が響く。
二度とまばたきをしない。 二度と声を発しない。 二度と鼓動に触れない。
容易に存在しない永遠が在る。
永遠の空も大きいのでしょうか。 あなたが生きた温度は永遠の空へ。
永遠となる昇天に黙祷す。
袖を通る四季の風に あなたはいつも微笑んだ
芝の上に寝転んで あなたは空を大きく仰いだ
形が無くなった跡に あなたは遠きを想い飲む
春を夏を秋を冬を 朝を昼を夜を 空を雲を星を月を 過去を現在を未来を
あなたはあなたで愛しんでいる
「キャッチボールしたいな」 あなたは無邪気にそう言うのだ 太陽の下で
沈み深き森へ
貝になり眠れ 音は震えなき 蒼き森の水は 静かに抱擁す
泡となりうる 目覚めを待ち 光りを目指せ
知らない間に秋の入り口は開き 知らない間に夏は秋を連れる
朝もや霞む湖のほとりに 立って君は何を見ていたの。
飛行機が飛んで行くのを見るのが 君は好きだったね。
「自分はなんてちっぽけなんだろう」
君は空に消えてしまいそうだった。
君が見ていたのは 置いてきた過去だったのか。 捕まえてく未来だったのか。
立ち止まってもいいよ。 振り返ってもいいよ。 そこから先に繋がるのさ。
そこが何処なのかわかるだろう。
君は覚えているでしょうか。 水色の月を見たいと言っていたね。
心を乱した君は 静かな呼吸に包まれ やっと眠れたね。
窓を開けると 君の白い頬に細い光が射すんだ。
こんなにも夜は色を消すのに こんなにも月は色を降らすよ。
君の頬を染める光りの粒子は 硝子の心をも捕まえ包むんだ。
見上げると水色の月が待っているよ。
きっと君はまぶたの奥で知っているね。 君の体温を感じる空気が飽和している。
僕を僕の脳裏を細胞を 海の波が引いていくように連れ去って。 僕も水色の月に 君と一緒に
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