桃太郎まつり うらじゃのフェイスペイントを見ながら 出店を覗いて回る 昔ながらのお面の店 格子の枠には仮面ライダーも飾られ 800円で売られていた
ぼくが正義の味方 仮面ライダーになった日 お面なんかなくたって 左手を腰 右手は左斜め上にまっすぐ突き上げさえすれば 頭の中には ピキーンという音が響き渡る その瞬間(とき) 仮面ライダー 自転車を乗り回し ライダーキックの練習をする ショッカーはどこだ? 弟たちの役が決まる
山車に仕込まれた巨大スピーカーの 溢れ出す音の塊が頭を揺する 赤い鬼が 緑の鬼が目の前を駆け抜けて行き 黒や黄色の鬼装束が飛び跳ねる お前たちを改造したのは一体誰なのか フェイスペイントの下に潜む顔 語りはしない
ショッカーに囲まれて 仮面ライダーは変身 うらじゃに囲まれたのに 桃太郎の姿はどこにも見あたらない うらじゃばかりがヨーカドーを巡る 仮面の下にはどんな顔があるのか うらじゃが集まる代ゼミ前から 総おどりを前にしてぼくはこっそり抜け出した
駅でトイレに立ち寄る ここにもフェイスペイントを落とす人の姿 洗面台も顔も色が混ざり合って黒ずんでいる 仮面はなかなかはがれ落ちはしない 見事に変態を遂げればいいのだけれど ハエ男だけはかんべんしてほしいものだ ぼくは今 仮面ライダーにはなれない
桃太郎まつり うらじゃのフェイスペイントを見ながら 出店を覗いて回る 昔ながらのお面の店 格子の枠には仮面ライダーも飾られ 800円で売られていた
ぼくが正義の味方 仮面ライダーになった日 お面なんかなくたって 左手を腰 右手は左斜め上にまっすぐ突き上げさえすれば 頭の中には ピキーンという音が響き渡る その瞬間(とき) 仮面ライダーが 自転車を乗り回し ライダーキックの練習をする ショッカーはどこだ? 弟たちの役が決まる
山車に仕込まれた巨大スピーカーの 溢れ出す音の塊が頭を揺する 赤い鬼が 緑の鬼が目の前を駆け抜けて行き 黒や黄色の鬼装束が飛び跳ねる お前たちを改造したのは一体誰なのか フェイスペイントの下に潜む顔 語りはしない
ショッカーに囲まれ 仮面ライダーは変身 うらじゃに囲まれたので 桃太郎の姿を探したけれども 見あたらない 桃太郎になるものは誰もなく うらじゃに変身した姿だけがヨーカドーを巡る 仮面の下にはどんな顔があるのか うらじゃが集まる代ゼミ前から 総おどりを前にしてぼくはこっそり抜け出した
駅でトイレに立ち寄る ここにもフェイスペイントを落とす人の姿 洗面台も顔も色が混ざり合って黒ずんでいる 仮面はなかなかはがれ落ちはしないよう 見事に変態を遂げればいいのだけれど ハエ男だけはかんべんしてほしいものだ ぼくは今 仮面ライダーにはなれない
桃太郎まつり うらじゃのフェイスペイントを見ながら 出店を覗いて回る 昔ながらのお面の店 格子の枠には仮面ライダーも飾られ 800円で売られていた
ぼくが仮面ライダーになった日 お面なんかなくたって 右手を腰に 左手は右斜め上にまっすぐ突き上げさえすれば 頭の中には ピキーンという音が響き渡る その瞬間(とき)から 仮面ライダー 自転車を乗り回し ライダーキックを練習する ショッカーはどこだ 弟たちの役が決まる
あれから30年 仮面ライダーになる日はなくなったが 仮面ライダーになりたい日は残ってる 風呂に入り顔を洗う 仮面がはがれ落ちる 見破られることのなかった仮面 はがれ落ちた仮面をじっと見つめる 崩れかけた仮面
正義の味方 主人公 力 みんな 地球を救う 中心 仮面を付けて前に出ろと言われると足がすくむ 前に出てみると大変なことが多い 努力 愛する誰かのために 仲間のために 家族に見守られて 鬱陶しい 満たされぬ何かを抱えたまま 仮面の下の顔が歪む
変身するために 努力ではどうにもならない偶然の産物 大きな力を与えてもらいたい その偶然が自分の身にも起きないものだろうか 変身のための準備をする 今までの思い出を全てシュレッダーにかける 新しい思い出を作る 努力にもならない努力を積み重ねる 今までしてきたことをやめる 今まで続けてきたことを続ける 映画を見てなりきる
アゲハ蝶のようにクマゼミのように見事な変態を遂げればいいけど 蠅のようになっちゃったらどうしよう。
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