紺屋の白袴。 医者の不養生。
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日暮里から京成線で数分。 町屋、という町があります。
京成線って粋な電車でね。 時間と車両限定ですが「行商専用車両」ってのが今も存在してるんです。 自分の身体より大きい葛籠を背負ったお婆ちゃんが大挙して降りてくるのかな。 実際に行商専用となる時間を見たことは無いけれど、そういうのが残ってるってのは貴重かもしれない。
さて町屋。 駅の周辺こそ小奇麗な建物も多いですが、少し歩けば昔ながらの個人商店や小っちゃな工場(こうば)が並ぶ下町。 嫌いじゃないです。
そんな町屋に。 ガラス屋さん、があります。 ただこのガラス屋さん、窓のガラスが割れているの。 派手に割れているわけじゃなく、ヒビが1本縦に走ってる。
住居部分のガラスが割れているならともかくなんですがね。 割れているのは「○○硝子店」と屋号の入った正面入口のドア。 そこに立派なヒビが綺麗に目立ってる。
稲葉が気付いてずいぶん経つんだけれど、一向に直そうとしないガラス屋さん。 良いのかなあ。 商売に差し支えませんか。 そんなのを気にしないのが下町気質…ってことなのかなあ。
町屋に行くたび、稲葉はこのガラス屋さんを気にしています。
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紺屋の白袴。 医者の不養生。 硝子屋のひび割れ。
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