馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2005年06月26日(日) 片耳

ある夜、徐々に徐々に、右耳が聞こえなくなっていきました。
で、耳栓をしっかり詰めているのと同じくらいにしか聞こえなくなりました。

ほんと、片耳失うだけでえらく不自由なんですよ。
誰かと喋るときはすごく神経を使います。
接客業してますけど、お客さんが何言ってんだかわかんない。

本番が近くなった芝居の通し稽古もしました。
大勢にいっせいに台詞喋られると、まったく聞き分けられなくて自分の出て行くきっかけが分からない。
たまに自分が何を喋ってるかも分からなくなる。
さらには自分の声の大きさの調整も難しくなる。

もうね、片方残ってりゃ良いってモンじゃないんですね。
めちゃくちゃ辛い。
そんなのが3日間。

   ◆

バイト中であるにも関わらず、みかねた同僚の勧めで耳鼻科にいってきました。
右耳に器具をグリグリ突っ込まれました。
で、キュイーーンって音がして耳垢を吸いだされました。
痛かった。
いや、痛いとは少し違って。
こそばゆいの最上級というか。

で、耳垢を根こそぎ取られました。
したら聞こえすぎるのなんの。
映画館のような響き。
5.1チャンネルサラウンド。
いや、大袈裟なって思うでしょうけれど、直後は本当に世界が違って聞こえたものです。
正常な左耳が今度は詰まっているんじゃないかって感じられました。
感動しましたよ、素直に。

意気揚々と職場に戻りました。
コーラの出てくる音が滝のように聞こえました。

あ、一応言っておきますけど、耳掃除はちゃんとしてますからね。
右耳だけ、取り損ねたのが上手い具合に奥に入っちゃっただけですから。

今は普通の感覚になりました。
意識してないでしょうけれど、聞こえるってとても幸せなことですね。
いや、ほんとほんと。


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稲葉 馨

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