馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2003年06月01日(日) 日活通い・♯3……休憩中♪

前日・前々日にひきつづーーき、阪本監督の現場のお話でございます。
今回は休憩中に見たこととかとか。

   ◆

撮影所(スタジオ)での撮影の場合だと、ロケ弁って出ないんですね。
まあ、当たり前ですわな、「ロケ」じゃないんだから。
スタッフもメインキャストもエキストラも、みんなお昼ごはんは自腹なのね。
食券買って律儀に並んでるオダギリジョーなんて滅多に見られない光景。

そんなわけで日活撮影所内の食堂です。
これまで食堂といったら学生食堂が基準だった稲葉。
値段に少し気圧されました。
オトナの食堂だぁって感じで。

メニューは肉系統が多いの。
麺類やカレーなんかもたくさん揃ってますが、メインはお肉。
生姜焼きだったり鉄板に乗った肉と野菜の炒め物だったり。
普通の会社の社員食堂もこんな感じなのかしら。
それとも撮影は体力スタミナ勝負だから、それに対応できるようにしてあるのかな。
たしかに栄養は問答無用にたっぷりな感じがしました。

そう、ほんとに映画はスタミナ勝負ですね。
労働基準法ってなんですか。
朝は7時集合です。
で、長いと電車なくなるくらいまで撮ってます。
助監督さんがセットのステージ上で、仁王立ちで眠りながら指示を出すという離れ業をしてました。

昼は出ませんが、夜は炊き出しかお弁当がでます。
およそ50人の米兵役エキストラが炊き出しに並んでるのは遠征軍のキャンプのような画でした。

   ◆

同じ現場で俳優さんを見ていると、それまで特に気にしていなかった人でも、なぁんとなくファンになってしまう稲葉は単純ですか?
今回だと萩原聖人さんとか真木蔵人さんとかオダギリジョーさんとか村上淳さんなどと一緒でした。

萩原さんがサックスを、オダギリさんがドラムを、村上さんがピアノをそれぞれ演奏するシーンがあります。
実際に演奏するの。
これがカッコ良いのよ。
控え室がお互いに近い日には、部屋の中からサックスの練習が聞こえてくるの。

   ◆

ある日、スタジオにそれはたくさんのマスコミがやってきて、現場の取材をしていました。
ただでさえスタジオ内、人間ギューギューなのに。
その日の撮影風景がニュースやワイドショーの芸能コーナーで流れてました。

で、一緒に流されたのが真木蔵人さんのファンへの暴行疑惑なんですね。
真木さん側とファン側とで言ってる内容が違ってるのです。
それが5日間の撮影のど真ん中で、スタッフさんも微妙に気を使ってたようで。

真相は稲葉にゃ知る由もございません。
ございませんが、真木さんの方を信じたいですね。
すんごく良い人だったからさあ。
いや、真木さんに限らず、人ってそんなものだったりするのは知ってるけどさあ。

今回お会いした俳優さん方はどれも気持ちの良い人でした。
オダギリさんの私服はちょっとどうかと思うわけですが。
あと『センチメンタルジャーニー』歌う前田亜季はかわいかった。

もちろん、エキストラとしている以上、有名人を見てはしゃぐのはいけませんけどね。

今回とは関係ないですけど真木さんのパパ、マイク真木さんを観たことがあります。
大学1年生のときの春、日芸の所沢校舎に来たのです。
芸術学部だけじゃない全日本大学のお祭があってそのイベントで。
コースの友人と最前列で観てて不覚にも泣いたことがあります。
あの人の歌は良いね、おしゃべりは面白かったし。

   ◆

別のスタジオでは北野武監督の『座頭市』の撮影も行われていました。
そのメイク室の隣が稲葉たちの控え室だった日があり、時代劇のカツラや衣装を間近で堪能できました。
これは嬉しかった。
思わぬ収穫でした。
着てみたいなあ。
スニーカー履いたちょんまげ頭がペットボトルもってウロウロしてました。

陣中見舞いでしょうか、行定勲監督が現場に来ました。
堂々といればよいものを、セットの裏で目立たないようにお話してました。
これも思わぬ収穫ね。

   ◆

5日間エキストラやって、面白い経験をしてきました。
でもね、やっぱりエキストラはエキストラ。
クレジットで名前、出てこないんですよ。
面白かったけど、これじゃダメなのよ。

楽しい反面、今の自分の立場をまざまざと知った5日間でした。

この撮影が終わると、いよいよバイトが始まります。

   ◆◆◆

【関連記事リンク】
2003年5月30日『日活通い・♯1』
2003年5月31日『日活通い・♯2……外人相手の現場』


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稲葉 馨

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