2001年08月21日(火) |
「始祖鳥記」(飯嶋和一)を再び. |
「始祖鳥記」(飯嶋和一、小学館2000.2)を再び読み始めた。第1部(138ページ)まで読む。主人公幸吉は30歳になるが、凧で空を飛ぶことに成功していない。成功はしていないが、夜な夜な空を飛び回る不気味な鵺として世間を騒がせる存在、ひいては幕府を揺るがす元凶として逮捕されてしまう。一介の職人幸吉が鳥人幸吉の道をひたすら進んでゆく様子がダイナミックかつ繊細に描かれる。ここまでで既に傑作である。 これまでの作品もすべて必読の傑作である。 「汝ふたたび故郷へ帰れず」「雷電本紀」「神無き月十番目の夜」(すべて河出書房新社)手の内をあまり明かさない冒頭はちょっととっつきにくいが、すぐに主人公やその周りの人物たちの魅力にとらえられてしまう。 現代最高のストーリー・テラーである。 今日はこれだけ読むのが精一杯だった。
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