読書日記

2001年07月24日(火) 岩波の「読書のすすめ」第6集は正直だ。

「読書のすすめ 第6集」(岩波文庫編集部編)、今回はみんな正直だ。毎回さまざまな筆者が登場して愛読書などについて語るのだが、最新の第6集は抜きんでて正直、開けっ広げに自らの読書体験を語っているように思える。
 牛島信明は「することといえば本を読むことと酒を飲むことぐらい。」と語り、木田元は「そのころやはり絶望しきっていた私は、この主人公たちに自分を投影して気持を慰めていたのだと思う。」と述べ、轡田隆史は「したがって、勉強のほうはからきしダメ。」と告白し、坂田靖子は「私はその本の分厚さと重さにメマイがしました。」と言い、清水良典は「・・・じつは内心うんざりしながらも、一種の見栄、あるいは重苦しい義務感で、仕方なしに読み始める。」と懺悔し、高橋英夫は「実は私は、娘が高校時代に使った指定参考書『新修国語総覧』というのを、「これは便利だ」と、辞典類を並べた書棚に一緒に置いて、今でも時々使っている。」と説明し、田中克彦は「このようにして得た見通しは、決して手放さないぞと考えているうちに、いい年になってしまった。」と悔い、増田れい子は「自分が誰にも何にも気兼ねすることなしにひとりでじっとしていられる空間と時間が欲しい。」願う。
 結局全八編の読書エッセイ集になっているわけだが、単純に最も面白かったのは坂田靖子の「漱石先生にとりつかれる話」だった。
 無料の小雑誌だが、中身は濃い。読みでがある。
 東谷暁「困ったときの情報整理」(文春新書)を読了。第3章以降は筆者の自伝的回想録としても読める。具体的なエピソードに沿って語られていて、この種の本では今年一番収穫である。行き届いた内容と文章のために筆者の他の本も読みたくなってくる。


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