2001年07月16日(月) |
辻仁成「そこに僕はいた」を読み始める。 |
辻仁成「そこに僕はいた」(新潮文庫)は筆者の十代の記録である。正統的過ぎるというか伝統的というか革新的なところは全くない。意外にまともな「青春エッセイ」といった感じ。筆者の文学的素養がすべてに反映されていて、新奇なことや独創に満ちたことはゼロ。確かにそうだなと感心する反面、筆者ならではの視点がなく、その意味で期待外れである。しかし物珍しさはいらない、まっとうな落ち着いて読めるエッセイ集を求める向きには良質のエッセイ集として薦められる。 「おく手でかつ、ひねくれ者の恋の行方」「砂糖菓子の中身」「僕は彼らのことを憶えている」「Xへの手紙」全18編。好みの題名を選んで好きなところから読むのが良い。なかなかいいエッセイ集である。
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