ままにょにょ窟Lv10,000をまだ目指すしあわせ日記



思考が思考を生み、永遠に答えが得られぬような時でも、
あなたは考え、何かを想い、何かを得て、新しいあなたになっている。
あなたは考えることで、何かを感じることで、 常に新しいあなたに生まれ変わっている。
(RPG《聖剣伝説 Legend of Mana》より)




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2004年07月16日(金) 思い出さない

無くても困りはしないのに買ってしまう飽食のみなさん、
こんばんは。

今日も《淡麗―グリーンラベル》×2を買うチャボです、どうも。
明日に提出の課題をやり終える前から、既に缶が空になってます‥‥。

思い出したこと。
高校のときに付き合ってた彼女がくれた、ネクタイピンがある。
高校のときの制服はブレザーだったけど、結局、そのタイピンを使うことは無かった。
もらってからすぐに別れることになったから、ってのも理由の1つだった。
実際、机の引出しに埋もれたまんまだったから、出すのも面倒になっていた。
って言うかむしろ、わざわざ探し出す気にすらならなくなった。

あれから4年は経った。
インターンシップや教育実習に先駆けて、企業や学校を事前に訪問する。
その準備をしているときに、見慣れない赤い巾着袋がふと目に止まった。
確かに見覚えはあったから何気なく開けてみたら、出てきたのがこのタイピンだった。

なんの躊躇いもなく、俺はネクタイをこれで止めた。

色々と、思い出すことはあった。
カラオケに行ったときに《女2人》と書かれたことや、デートの度に道に迷ったことや、
なけなしのバイト代をつぎ込んでテレホタイムに長電話したことや。

ただ、それらのどれもが、単に想い出としてだけ胸にあった。
そう言えば、このタイピンをくれた当時の彼女とはこんなことがあったなぁ――
それだけで、俺の心は完結していた。
高揚も落胆もなく、試験の時間に数式を反芻するのと同じくらいに淡々と記憶を辿った。



女は別れた彼氏にまつわるものを全部捨てる、と聞いたことがある。
男は逆に何も捨てきれずにいる、と聞いた。

俺は‥‥捨てられなかったのかな。
どこか、女々しい未練を感じていたのかな。

‥‥違う気がする。
どうでもよかったんだろうな。
そこにあるものが、元から俺のもんだったとしても、彼女がくれたもんだったとしても、
それがただそこに在るという事実以外の全てに、関心が向かなかったんだ。



じゃあ、いつか俺はこのタイピンを捨てるのか?
持っていると、未練を感じ出してしまうから?

いや、捨てないな。
過去は、消せない。
あいつと別れてしまったことを、約束を反故にしてしまったことを。
消せはしないから、せめて俺を戒める道具の1つとして身に着けよう。

このタイピンをくれた女に対して思うのは、タイピンについての礼だけだ。



‥‥うん。
冷徹な人間だと思うよ、我ながら。
たった4年半ほどで、当時の想いをすっかり忘れちまったんだから。

でも。だから。
いつか彼女にまた出会ったときに伝えたい。

このタイピンは、大事に使ってるよ。
ありがとう。


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