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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
南部イングランド海洋小説旅案内(2)

英国南部海洋小説旅案内2は、ロンドン近郊と、ポーツマス、プリマスの二大軍港、そしてファルマスのご紹介です。

◆グリニッジ(ロンドン近郊) Greenwich
ロンドンから鉄道またはドックランド・ライトレールで30分弱。テムズ川を船下りすると1時間。
海洋小説ファンにはカティーサーク号国立海事博物館(National Maritime Museum)で有名なグリニッジ、一般的にはグリニッジ標準時と天文台で有名です。
ポーツマスまで行かれる時間の無い方は、こちらの国立海事博物館へ。ジャックの時代の軍服や剣などの展示はこちらでも見ることができます。

カティーサーク号(さすが世界最速の帆船、木造軍艦に比べると船首がスマート)




◆ポーツマス Portsmouth
ロンドンから列車で2時間、日帰りも可能。
オブライアン博物館案内ではビクトリー号と、海軍博物館、海軍火力博物館が紹介されていましたが、このほかに海兵隊博物館、英国最初の鋼鉄艦ウォリアー号、潜水艦博物館、Dディ博物館(第二次大戦のノルマンディ上陸作戦関連資料を展示)など、海洋小説ファンには興味の尽きない博物館が目白押しです。

私はビクトリー号と海軍博物館、それに海兵隊博物館を見てきましたが、これで1日めいっぱいでした。
意外とおすすめなのは、海兵隊博物館。
パネルや模型、セットを使って帆船時代を紹介している海軍博物館と異なり、海兵隊博物館は実物史料展示館になっています。
「ホーンブロワー」や「ラミジ」に出てくる「愛国者基金贈呈の百ギニーの剣」の現物などをご覧になりたい方は、海兵隊博物館の方がおすすめです。

ただし海兵隊博物館は、イーストニーの海兵隊基地の中にあるので、入り口には銃を持った歩哨さんが立っていて、誰何され用向きを尋ねられるかもしれません(同時多発テロ以降は警備が厳しくなっているのでは?)
海兵隊博物館のHPはこちらですが、なんとネットからミュージアムショップの商品がオーダーできるようです(意外と商売熱心?)。
書籍など参考資料もオーダーできますが、海兵隊テディベアなどというものもあって、少々くじけます。

ビクトリー号は、水兵さんの案内するガイドツァーでまわることになっており、自由に歩きまわって見学することはできませんでしたが、今も同様でしょうか?
チケット窓口で見学申し込みをしますが、休みの日などは混み合っているので、1〜2時間後のツァーになる場合もあります。
先にビクトリー号のツァー申し込みをすませ、待ち時間に食事をしたり、海軍博物館(隣接しています)を見学したりする方が効率的でしょう。
ツァーガイド役の水兵さんの英語はかなり早いですから、事前にM&Cのセリフをよく聴いて、耳を専門用語対応にしておきましょう。
でも、いまどきの水兵さんはボンデンやネイグルほどなまってませんから、ご安心ください。

ビクトリー号舷側(手前は錨)巨大すぎてカメラのフレームにおさまりません




海軍博物館はときどき展示替えがあるようなので、私がむかし見たものがまだあるかわからないのですが、
以前はトラファルガー海戦の大きなジオラマがありまして、海戦前の双方の配置が模型で再現されていました。
この模型の英国側の甲板位置に視線を合わせる(ちょっとしゃがみこむような形になります)と、トラファルガー海戦時に英国艦から見た光景と同じものが見られるのですが、この光景がその昔に読んだ青池保子の「トラファルガー」に描かれていたのと全く同じだったので驚いた記憶があります(候補生の少年が「鳥のようだ」と言ったあの光景です)。よく史料を調べて描かれているのだかなぁと感心しました。

ポーツマス観光案内


◆プリマス Plymouth
ロンドンから特急で3時間45分。
ポーツマスと並ぶ南部の軍港、それゆえに第二次大戦時の空襲が激しくて、古い建物があまり残っておらず、英国にしては珍しく、新しいビルの多い街です。さすが基地の街なのか、本屋さんの海洋書のラインナップが豪華です。
ザ・ホーという海を見下ろす公園に建てられていた記念碑――ここを出航したまま帰ることなかった艦の記念碑が印象的でした。

プリマス港(昔の出撃門はこのあたり?)




プリマス観光案内

昨日、日本橋の洋書店にアレクサンダー・ケントのボライソー最新刊「Man of War」が出ていたので買ってしまったのですが、冒頭の舞台は1817年3月、まだ冷たい冬の風吹くプリマスでした。ひさびさのアダム・ボライソーに付き合って、これからページをくって、主人公と一緒に彼らの故郷ファルマスに移動です。


◆ファルマス Falmouth
というわけでファルマス。コーンウォールの港町。ボライソー・シリーズの主人公リチャードの故郷ということで、わざわざこんな南西の果てまで行ってきました。
ファルマスへは、ロンドンから特急で約5時間、ペンデニスの手前のトルロ(Truro)という駅で、ローカル線に乗り換え、終点駅がファルマスです。
ボライソー・ファンにとってのポイントはやはり、たびたび小説に登場する殉教者聖チャールズ教会でしょうか? 最近は海事博物館もオープンしたようです。
写真は時々リチャードも散歩していたというファルマスのペンデニス城と、城から見下ろした海。
私が訪れたのは9月の秋分の日の連休だったのですが、この海の色。
ポーツマスからファルマスまで、イギリス海峡は常に、空も海もどんより鉛色のままでした。

ペンデニス城


ファルマスの海



ファルマス観光案内
ファルマス地図

来年2005年は、トラファルガー海戦200周年記念で、記念イベントや博物館の特別展示など企画されているようです。
ひさしぶりにまた英国に、行けたら良いなぁと思っています。


2004年07月26日(月)