Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
A.G.ブラウン氏の原作映画比較サイト
アメリカにまた一つ、大変ためになるサイトがオープンしましたので、ご紹介します。 ただし、アドレスだけです。 なぜって、これは大変なねたバレ・サイトでもあるからです。
アンソニー・ゲーリー・ブラウン氏は、パトリック・オブライアンの百科事典とも言うべき「Persons, Animals, Ships and Cannon in the Aubrey-Maturin Sea Novels of Patrick O'Braian」(2003年10月29日の日記で紹介)の著者として知られていますが、そのブラウン氏が、映画公開にちなんで、映画と原作を比較対照したサイトを開設されました。
Master and Commander : The Far Side of the World
このサイトでは、各登場人物、艦船について、原作と映画を比較し、その差違を明らかにしています。 また10巻以外から映画に借入されたエピソードについても、その出所を細かく教示しています。 そのためこのサイトは、大ねたバレの最たるもの…全てがねたバレで構成されていますので、とてもではありませんが今この時点で、日本語でご紹介することはできません。 ねたバレを全く気にされない方のみ、その点をよくご承知おきの上でこのサイトをお訪ねください。
さて、話題変わって、 今日は横浜新港まで海王丸の出航を見にいってきました。 午前中に用事のあった私は、果たして1時45分の出航に間に合うかどうかわからなかったのですが、桜木町駅に1時半に着けたので、これは行ける!と、急ぎ足で埠頭をめざしました。 横浜市第二庁舎の角を曲がったとたんに目に入る高いマスト。 マストを見ると、ドキッとしませんか? そして次の瞬間にはワクワクと。 子供の頃、羽田がまだ国際空港だった時代、浜松町から乗ったモノレールが羽田整備場のところで地上に出ると建物の向こうに飛行機の尾翼が見えるのですが、それを見ると子供心にドキっとしたものでした。それが外国へとつながる翼だったから。 私の中では、大型帆船のマストと国際線の尾翼は同じものなのです。
でもこのマスト、よく見ると、私に唯二つわかる信号旗が。 P旗、ブルー・ピーターこと出航旗。思わずさらに急ぎ足。 小説でしか航海を知らないアームチェアー・セイラーの私がわかる信号旗は、P旗とQ旗(検疫船旗)の2つだけ。それ以外の旗って、なぜか小説ではあまり登場しません(後は本格的な信号になってしまう)。 そしてP旗と言えば、常に出港旗を掲げてきたことでビリー・ブルーと呼ばれたというコンウォリス提督…という連想になります。
新港埠頭には、海王丸乗組員の家族の方を中心に、かなり多くの人々が見送りに来ていました。 人混みの中から、先に来ていたFさんを探しだしました。彼女いわく「ちょっと遅れてるみたいなの。よかったわ。まにあって」 タラップを見ると、ちょうどご家族の方が下船中。 私たちが居たのは船首部の横ですが、船首もやい綱の脇で待機している航海士のトランシーバーの音が大きくて、岸壁の私たちにまで出航状況の通信が聞こえてきます。 思わず私…「今はトランシーバーがあっていいわねぇ」と。 本当に船に乗っていらっしゃる方はきっと笑われるでしょうけれど、200年前の小説ばかり読んでいる私は、現代の帆船を見るたびに「今は○×があって便利ねぇ」とつい思ってしまいます。トランシーバーの無い時代は、メガホンで命令を怒鳴っていたのですから。 現代の人間なのに、200年前の状況の方が慣れているとは困ったものです。
家族の下船が終わり、もやいが1本になると、出航旗のとなりに、H旗が上がりました(H旗は水先案内人を乗せているという意味だそうです)。甲板には訓練生が整列し、登り方用意。 タグボートが曳航を始め、最後に残ったもやい綱がはずされます。船首がまわり始めると訓練生が登檣開始。 海王丸の登檣礼を見るのは2回目ですが、等間隔にきちんと揃っていて本当に綺麗です。 見上げるとフォアマストにはニュージーランド国旗。 これは今回の目的地がニュージーランド北島のオークランドだからでしょうか? 気づかぬ間に出航旗が降ろされ、代わりにU旗W旗と数字旗の1番。 よく見ると対岸に停泊する海上保安庁の巡視船にもU旗W旗が上がっています。 家に帰って調べてみましたら、U+Wは「ご安航を祈る」という意味だそうです。出航していく側に数字旗の1番がついている理由はわからないのですが(どなたかご存じでしたらご教示ください。) タグボートの助力で方向転換を終えた海王丸は、汽笛を鳴らした後、ベイブリッジを抜けて出港していきました。
先日の海星のような出航見送りはつらいでしょうけど、今回のようなお見送りは楽しい。自分は行けなくても、あぁこの海は本当にオークランドにつながっているのだなぁと思うと、なんだか楽しい気分になってしまうのです。 空港で飛行機を見て楽しくなるのと同じ気分ですね。 いつか私もオークランドに行けるといいなぁ(そして、南島に行って、ロード・オブ・ザ・リングのロケ地を見るの)。
2004年01月10日(土)
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