Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
エピック・ムービーと興行収入
「マスター・アンド・コマンダー」については、今のところまだ続編の話は出てきていません。 この一本だけでは諜報員マチュリンの裏の顔を見ることができませんし、ボンデンにももっと活躍してほしい、とは思うのですが、アメリカにおけるエピック・ムービーの今後は厳しそうです。 ハリウッドの現状に関する記事を2本くみあわせでご紹介します。
Big budget movies take hit at the box office Gross Behavior
秋から冬のエピック・ムービーの中で、ビジネスとして成功をおさめたのは「ロード・オブ・ザ・リング:王の帰還」だけである。 この映画は9400万ドルの制作費で、2億9040万ドルを稼ぎ出した。 だが他の映画を見れば、投資(制作費)は興行実績に見合わない。
「マトリックス・レボリューションズ」は1億7500万ドルの制作費で興行収入は1億3800万ドル。 1億3500万ドルの制作費の「マスター・アンド・コマンダー」は、批評家たちからは絶賛され、アカデミー賞候補に名前が挙がっているものの、現在まだ制作費の61%にあたる興行収入しか稼ぎ出していない。 トム・クルーズの熱演にもかかわらず、制作費1億4000万ドルの「ラスト・サムライ」が得た興行収入は、制作費の64%だ。 「大作映画と言えるのは、実際に利益を上げた映画だけだ。その他の映画は投資対象としては失敗と言わざるをえない」と断言する関係者もいる。
これに対して、各映画会社の経営陣は、アメリカ国内の興行収入だけで映画を判断されることをひどく嫌がる。 映画収入にはDVDやケーブルテレビでの放映、海外での興行収入も含まれるからだ。 だがその一方で、やはりアメリカ国内での興行収入が喧伝されることも確かなのだ。
20世紀FOX社の2003年興行収入を見ると、稼ぎ頭は全米で2億ドルをたたき出した「Xメン2」。「ジャスト・マリッジ」と「フォーン・ブース」は制作費が3000万ドルで興行収入1億ドル、ビジネス的には大成功である。「マスター・アンド・コマンダー」は、正統派の映画作品以外のなにものでもないが、商業的に価値のある作品とはいいがたい。
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ふうっ(ため息)。 やはり続編は難しいのでしょうか? 作品の価値を興行収入だけで判断されてしまうのは、やはり悲しいものがあります。でも一般大衆ウケする映画イコール、ハリウッドの名画ではもちろん無いわけで。やはりアカデミー賞の呼び声が高い、日本では今週末から公開される「ミスティック・リバー」は、アメリカでは6000万ドルそこそこの興行収入しか挙げられませんでした。 確かに、安いの投資で高い収益は商売の基本ですが、しかし、ハリウッド以外で高額の投資(制作費)を投入できるところは無いのが実情ですし。とくにセットやロケにお金がかかる時代もののエピックムービーは、正確に当時を再現しようとすればするほど制作費がかさみます。 なんとかならないものでしょうか。
2004年01月09日(金)
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