Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ふたりのジャック
こと「マスター・アンド・コマンダー」に関する限り、ロサンゼルス・タイムズという日刊紙は、なかなか着眼点の面白い新聞だと思います。サンディエゴ海軍基地の現役士官に意見をもとめたり、また今回のような面白い記事を組んでみたり…、 まじめな特集を組む東海岸のニューヨーク・タイムズ紙とは対照的。
Masterful Commanders by Lisa Rosen
ふたりのジャックの話をしよう。 ひとりは船長にして指揮官で、見渡す限りの全てを統べる。 いまひとりは落ちぶれた海賊だが、がっぽりお宝を狙っている。 この二人、ジャック・オーブリーと、ジャック・スパロウの間には、どちらの映画にもコロン(:)の後にサブタイトルが付く…以上の共通点があるという。
二人とも血管には海水が流れていて、心から船を愛しんでいる。 ラム酒をこよなく愛する気のいい乗組員たちは、しかし、見張っていないと何をしでかすかわからない。 天性の船乗りの勘に恵まれながら、間抜けなユーモア感覚も共有している。 小粋な剣さばきの達人だが、その長い髪には太陽と海の影響が深く染み通っている(つまりは、がさがさでべとべと)。
海の上で戦ったらどちらが勝つのかはわからないけれど、二人のジャックの戦いは、きっと見物になるだろう。 比べてみると好対照だとわかる二人。でもハリウッドにはいつでも、二人のための場所がある。
◆秋波をおくる オーブリー:この役を演じた俳優は、このために増量したそうだが、その効果はふんぞり返って歩く姿に威厳をつけた位のものだ。 残念ながらこの映画には女性はほとんど登場せず、秋波は美しいブラジルの美女に送る羨望のまなざしにあらわれるのみ。しかし彼には任務がある。だが…、例え彼がどれほど妻を愛しているとしても、映画の中で彼の発した乾杯の辞を耳にした観客は、この士官は紳士か?と疑うだろう。 (訳注:乾杯の辞についてはねたバレのため訳しません。本編をお楽しみに。このシーン映画館でも思わず笑いが漏れてました)
スパロウ:肉付きの良いオーブリーと比べたら、ガリガリ。もしお好みなら、あかに汚れぼさぼさ髪のかぶさる金歯の顔をピシャリとはたいてやりなさい。キャプテン・ジャッキーと名前を変えたら、ちょっとはかわいくなるかもしれないけれども。人を引きつける彼のセクシーな魅力は全く役立たずで笑い飛ばされるだけ。映画の中では女どもには張り飛ばされ続ける彼だけれど、観客の少女たちからは黄色い声が上がっている。
◆お気に入りの叫び オーブリー:「英国のため、故郷のため、拿捕賞金のために!」 スパロウ:「甲板に出ろ! ろくでなしどもめ!」そして、もちろん「飲み明かそうぜ!野郎ども!ヨーホー!」
◆船長の良心をつつく相棒役 オーブリー:愛すべき、だがなかなかに鋭いブルネットの髪の軍医、ドクター・スティーブン・マチュリン。艦長の親友で口喧嘩相手。 スパロウ:愛すべき、だがなかなかに鋭いブルネットの髪の鍛冶屋、ウィル・ターナー。船長の文字通りの喧嘩相手だが救世主。
◆やる気のもと オーブリー:勝利。彼の愛する国王と国と海軍に捧げる軍務。そして彼を出し抜いたフランス私掠船船長に一矢報いること。 スパロウ:自由。彼の最愛のブラックパール号が体現するもの。
◆料理と酒の好み オーブリー:大飯喰らいで酒飲み。妙なプディングが大好き。ラム酒も。戦いが終わった後には夕食会を催すのが何よりの楽しみ。 スパロウ:どうやらラム酒以外は摂取していないように思える。
◆損害を与えた死傷者数 オーブリー:カウント不能。少なくとも剣闘士マクシマスの倒した数よりは多い。 スパロウ:唯一人。ただし死に値する男。
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ちがうのでは? と私に反論なさらないでくださいね。私はただ要訳しただけですから。 同じ海洋モノでも全くジャンルの違うものを比較していますから、ムリは承知の上で。 ま、お遊び、お遊び。
お正月休みが終わり、明日から仕事始め。 ウィークデーはまた更新できなくなると思います。 まぁもはや欧米からは情報も少なくなっているので、今年は各映画賞関連などニュースのみ速報で、その他に関しては週末を中心に今までご紹介しきれなかった11月頃のストックを徐々に要訳していく、という形で対応したいと考えています。
オーストラリア旅行記は、休み中に書き終わりませんでしたので、暇ができましたら(いつのことだろう?)また後日ということで。 よろしくご勘弁くださいまし。
2004年01月04日(日)
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