umityanの日記
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2001年07月16日(月) ホスピス病棟に叔母を見舞って(2)

叔母は比較的元気そうに見えた。僕に弱々しいところを見せたくないと思い、少し、無理をしていたのかもしれない。叔母はじーっと僕の目をみつめていた。あれこれと昔話をしていると、医者がやって来た。いろいろと、具合を尋ねて、本人の希望することを聞いていた。看護婦はしきりにメモをとる。叔母は的確に話をしていたようだ。今は病状もやや安定しているとのこと。医者の回診が終わって、程なくしてリハビリの先生がやって来た。「今日、どうします?。すこし散歩しようか」と声をかけられた。叔母は「そうですね」と言って、先生に抱きかかえられるようにして車椅子に移った。今は一人では何も出来ないのだ。肝臓に出来たガンが腰に転移して、両方の骨盤やらをこなごなに砕いているとの事。まともに椅子に座ることは痛みがあって苦痛なのだ。それでも、モルヒネかなにか知らないが、痛み止めの薬を飲み、ほんの短い時間なら、車椅子にのれるらしい。僕は、後ろから椅子を押した。複雑な気持ちだ。叔母の顔は見えないが、座れて動けることの喜びを感じているようだった。観葉植物があり、窓の外側に大きないけすがあった。黄金色のコイが悠々と泳いでいた。叔母は、楽しそうにコイを眺めている。ゆったりしたコイのしぐさは、叔母の心の平安と同調しているのだろうか。「そろそろ帰りましょうか」とリハビリの先生が言った。叔母は「はい」と返事をして、部屋へ戻った。再び、ベッドに横になり、少し疲れたのか、目を閉じたり開いたり、うつろな表情に変った。多分、薬の影響かもしれない。僕は叔母の手をとって、「安心してやすんだら」と声をかけた。もう5時を回っていた。僕はホテルのチェックインをするので、明日またくると告げ、病院を後にした。(続)


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