< 其の中に過去が潜んで居ないでしょうか >
其処に、 如何なる想いも存在しないから。
何の躊躇も無く、 其れを、 目の前に振り撒けるのだ。
飽く迄、 商品として扱うから。
何の躊躇いも無く、 其れを、 目の前に突き出せるのだ。
けれども其れは。
二人の新居に、 違う匂いが紛れると言う事実には、 何ら変わりない。
そして。
其の匂いを、 敢えて、 二つ重ねた事実は。
例え、 姫の内部から消え失せても。
俺の内部から、 消える事は無いのだ。
「あれ?」
「この部屋、良い匂いするでしょう?」
「うん。」
「この前出てきたハーブの香りをまいたんだよ。」
姫は。
他の雄との想い出を、 部屋に散らし。
「ほら、この歯ブラシ可愛いでしょ?」
「うん。」
「これ、小坊主の分だから使って。」
「ありがと。」
「ラブホのお土産だよ♪」
姫は。
他の雄との想い出を、 口に入れろと、 俺に言う。 |
2005年04月12日(火)
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