例え其れが。
想いを、 幾重にも重ねた結果に、 違いなくとも。
互いの間に、 在る壁が。
俺の外殻を、 形成する壁が。
相手を、 拒絶する様に映る、 其の理由は。
他ならぬ、 俺自身が創り出した物に、 違いなかったのだ。
其の家は、 姫と、 姫の息子の、 住処だから。
自身の存在が、 其の家の流れを堰止めぬ様、 丁寧に振る舞う事は。
一方では。
俺と姫の間の流れを、 不自然に、 澱ませてしまう。
俺は未だ、 此の家の住人では無い。
言い訳と、 覚悟の無さを露呈する、 想いなど。
姫にも、 姫の息子にですら、 必要ないのだ。
畏敬の念と、 悔恨の想いと、 敗北感と。
少しの希望。
今更だけれど、 今で良かった。
「二年も一緒なのに、お客さんなんだよ。」 「一緒に住んでないんだよ。」
姫の指摘で、 初めて浮かぶ想い。
---------- References Jun.27 2004, 「避けて通れぬ壁ですか」 |