其の想いは。
記憶の欠如が、 創り出した幻影だけれど。
其れ故に。
産み出された想いは、 殆ど正確に、 心の内面を投影する。
現実とは異なる、 作為的な記憶だからこそ。
想いを正確に、 反映しているのだ。
酩酊下で、 姫の記憶が産まれる毎に。
強く、 強く、 胸の内に刻み込まれる、 逃亡路。
「この人は、逃げ道を作る人。」 「そう思った。」
決して、 追い出されたのでは無く。
自らの意思で、 玄関を出たのだと。
姫の想いの内では。 俺は尻尾を巻いて逃げたと。
記憶されて続けて。
強固に刻まれた、 逃亡路。
支え切れずに、 潰れかけた事には。
何ら変わり無いけれど。
産まれた轍に、 足を取られそうになる。 |