< 虫が良過ぎる言葉でしょうか >
予備知識として収納された情報は、 恐らくは、 他の友人よりも多い故に。
傷心や、 疑心や、 焦燥や、 混乱が、 未だ収束に向かわぬ状況下で。
結婚と言う言葉がもたらす影響は、 決して正方向に向く矢印には成り得ないと言う、 確信は在ったから。
「遠くに嫁に行くことになったら。」 「みんなに会えなくなるんだな。」
嘗て無い程、 極端に後ろ向きの文面に。
殆ど反射の様に、 発作的に、 携帯から発信をした。
驚いた訳では無い。
事の成り行きは寧ろ、 推測通り。
只距離と言う一点のみで離別を選んだ二人が、 時を経て、 距離を乗り越える力を備えたと。
相手が判断した時点で事は起こる。
そして、 其の雄がきっと事を起こすと言う匂いは、 君との遣り取りを通じて、 十二分に俺へ漂って来ていたから。
ならば何故、 俺は発作的に発信をした?
「何があった?」
「プロポーズされちゃった。」 「また遠くだよ。」
「そっか。」
其れを止める術も、 其の権利も、 自身は有して居ない事を悟りつつ。
君の言葉へ意見を述べる土俵に、 自ら上がった事を後悔する。
「みーんな私が好きだった人は近くにいてくれないんだね。」 「小坊主だって戻って来ないでしょう?」
此の場に、 他人を介在させている君に対して、 幾ら焦るなと口にしても。
言葉の核は届かないだろう。
其れならば。
「行くな。」
越権行為甚だしい、 しかし的確に君の胸へと届くであろう、 此の言葉を。
素直に贈れば良いのだろうか。
飽く迄、 友の立場で。
---------- References Dec.07 2003, 「用事は其れだけでしょうか」 |
2003年12月10日(水)
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