< 早く掛け直してくれませんか >
事務的に、 現実的に、 其れは為される物かも知れないけれど。
寝覚めの時に、 隣に居られぬお互いが。
自身の存在を、 少しでも傍に置いて起きたいと願うから、 贈る。
寝覚めの声。
其の日一日を、 少しだけ積極的に変化させ得る、 想いで綴った魔法。
貴女が携帯に残した言葉には、 確かに魔力が、 宿っては居るのだけれど。
「起こしてくれない?」
「良いよ〜。」
朝に強い貴女へ、 目覚まし役をお願いをしたのに。
音を消した儘、 震えるばかりの携帯に。
俺は気付かなかった。
丸々二十秒目一杯を使い切って、 残された伝言。
「おはよ〜!」 「起きて!」 「起きて!」
起きて無いんだから。 気付かなかったんだから。
早く電話を切って、 もう一度電話を掛け直してよ。
其の中に大声張り上げても、 時間一杯声を詰めて贈ってくれても。
俺は未だ、 夢の中なんだからさ。 |
2003年10月27日(月)
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