< 日常から丹念に拾い出せますか >
雑多に積まれた、 封筒の束から。
無造作に積まれた、 振込通知や引落通知の山から。
明らかに感触の異なる紙質を、 一枚抜き取る。
「何時だ?」
数日前か、 数週間前なのか。
如何程昔の事であったか、 想い出す迄に、 其れと同じ位の時を刻まねば、 記憶を取り出せないかの様な錯覚に陥る。
「何時の事だ?」
何日前の出来事が、 其処に書かれているのか。
記憶を巻き戻そうにも、 何処まで巻いて良いか把握出来ない。
「プールに遊びに行きました。」 「泳ぎを教えてね!」
小さな彼の言葉と共に添えられた、 貴女の写真。
単純な、 けれども新鮮な。
こんな簡単な事なのに。
「待ちわびてたんだろな。」
何時まで経っても、 この葉書を話題に出さぬ俺を。
貴女は如何想って居たのだろう。
消印から五日遅れて手元に届いた、 一通の宝物。
御免ね。
葉書は今日、 俺の心に届いたんだよ。 |
2003年10月01日(水)
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