< 鬼になれますか >
怒りを露にして、 君を詰ったかと思えば。
手を付いてまで、 美辞麗句の限りを尽くして、 君は悪く無いと、 自分が全てに於いて悪いと謝罪する。
敵意を剥き出しにして、 俺は過去の無い新たな世界で生きて行く、 今後道で出遭っても他人だと、 言い切る一方で。
此れで縁が切れてしまうのでは悲し過ぎるから、 何時か再び笑顔で話そうと、 猫撫で声で摺り寄る。
自己の保身と虚栄心を満足させる為に。
相手に依って刹那に態度を変え、 次々に言葉を変え、 変幻自在に振舞っている気になっているのか。
あの馬鹿は。
必ず何処かに、 落とし穴が潜んでいると言うのに。
「何考えているか分からない。」 「信じられない。」
一度は惚れた男の豹変に、 戸惑いを隠せない君。
男は見栄っ張りなんだよ。
そして男は、 甘えん坊なんだよ。
だからこそ、 決して隙を見せてはいけない。
そして絶対に、 甘さの欠片を見せてはいけない。
嫌悪感を懐きながらも。
友人達から届き続ける情報を、 着々と記録して行く君。
彼が味方と信じているであろう友も、 既に彼に愛想を尽かし、 君の味方へと転じているのだ。
「鬼みたいで嫌なんだけれどなぁ。」 「裁判になったら証拠になるからさぁ。」
例え鬼になろうと。
君の周囲には、 真実を知っている味方が、 大勢居るじゃないか。
だから。
気を緩めるなよ。 男は甘えん坊なんだ。 |
2003年06月08日(日)
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