< 殻を閉じても良いですか >
好きだった男の事だ。 好きだった相手の事だ。
目の前の男を観察すれば、 僅かな変化を捉える事など容易だったのだろう。
「大丈夫かな?」 「気になってたんだよ。」
一言も漏らさなくても、 見えてしまう本音。 一言も漏らさなくても、 感じてしまう本心。
君に悟られるのは、 きっと時間の問題だったのだろう。
「呼んでくれれば良かったのに。」
私が話を聞けば、 小坊主は楽になれるだろう。 私が話を聞けば、 小坊主は楽になれるかも知れない。
彼女の手紙は、 そう語っていた。
逢えなかったんだ。
怖かったんだ。
弱っているんだ。
君だけには、 逢ってはいけない気がしたんだ。
今の俺は間違いなく選択する。
君が受け入れようと。 君が拒絶しようと。
今の俺は間違いなく選択する。
取り返しの付かない頼り方を。 衝動的な頼り方を。
何かを壊してしまうよりも、 殻の中に居れば良い。
外の世界に変化があっても、 中の世界は変わる事無く続くから。 |
2003年01月13日(月)
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