< ちゃんと備わるでしょうか >
あの時の不安が、 再び鮮明に蘇って来た。
「あなたの気持ちを利用した・・・」
あの時の台詞が、 再び鮮明に蘇って来た。
只の物語。 只のドラマ。
造り物の劇にあれだけ揺らされる事は、 最初で最後だと想っていた。 金輪際無い物だと想っていた。
俺が年下で、 貴女は年上で。
俺には経済力が無くて、 貴女にも経済力が無くて。
俺は未婚で、 貴女には命より大切な子供が居て。
気持ちではどうにも乗り越えられない現実が、 其処には存在する。
その現実を受け止めて押し返す力が、 今の俺には無い事も理解している。
「離れていてもあなたは私たちのパパだから・・・」
画面の中から聞こえてくる台詞を、 いつの日か、 俺は得る事が出来るのか。
「お前は俺のオヤジだろ・・・」
小さな彼の口から出てくる台詞を、 いつの日か、 俺は聞く事が出来るのか。
その時は来るだろうか。
俺にちゃんと、 その時を引き寄せる力は備わるのだろうか。 |
2002年12月06日(金)
---------- History
|