< 瘡蓋を剥がして良いですか >
俺が痛みに気づいたのは、 一息付いた時だった。
お互い相手を貪り喰う事に夢中で、 痛みすら何処かに飛んでいた。
「血が出てるよ?」 「痛てぇ・・・」
カーペットとの摩擦で出来た、 火傷のような丸い傷。
皮膚が薄く消え失せて、 体液で表面が覆われている。
「動き過ぎたよね・・・」 「薬塗る?」
痛みを堪えながらも、 笑みがこぼれて仕方がない。
この傷が消えると、 貴女との逢瀬が幻になる様な気がして、 膝に出来た瘡蓋を剥がした。
あの時の様に、 透明の体液で表面が光り始めている。
そうか。 やっと想い出した。
貴女の内股に、 キスの痕を付け忘れたんだ。 |
2002年10月28日(月)
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2001年10月28日(日) 損な恋愛って存在しますか
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