雲間の朝日に想うこと


< 俺の方が大事だと言えますか >


いつもと雰囲気の違う声。
ワクワクしてどうしようもない声。
喜びを抑え切れない声。

ついさっきまで、
貴女の声は弾んでいて、
貴女は俺の愛しい人だった。


けれども一瞬にして、
現実が目の前に迫って来る。

貴女は母親。





 「子供の熱が下がらないの・・・」




明日になれば、
朝が来れば、
熱は絶対下がる。

きっといつもの様に、
元気に玄関を飛び出して行く。

そう強く願いながら、
物分かりの良い返事を返す。


 「絶対に無理はしちゃ駄目だ。」
 「ゆっくり看病してあげな。」
 「迎えに来られなくても良い。」
 「何処にでも行くよ。」






俺はそんなに大人じゃない。

貴女が嬉しさを全身で魅せるから、
子供が嫉妬して熱を出すんだ。

何とかして出て来い。

与えられた俺との時間が、
僅かで貴重な時間だと想わないのか?






俺がどう考えようと、
俺がどう想おうと、
そんな事は関係無い。

貴女に逢う為の解答は唯一であり、
他の方法はありえないのだから。




 「時間が遅くなっても良い?」



貴女の言葉は嬉しいけれど、
どうしようもなく憎い。


2002年05月06日(月)


----------
History
2001年05月06日(日) そんな束縛を通す気なのか





Add MyEnpitu

小坊主
MAIL