さてフラメンコ劇場にお出かけである。 もうバスは帰ってしまったので、タクシーで行かなければいけないのだが、はたして無事劇場まで到着できるか、一瞬不安がよぎる。しゃべれるのは添乗員と中林先生だけなのだから、そのタクシーに乗り合わせなかったら、自分たちで行き先を告げて料金を支払わなければいけない。
事前に添乗員が運転手に劇場の場所を告げてくれたので問題なかったのだが、料金支払いではすんなりといかなかった。メーターは7ユーロくらいだったので、10ユーロの札を手渡した。おつりをくれるものと思って待っていたのだが、何やら身振り手振りでさかんにしゃべっているのだ。ちんぷんかんぷんだが、どうやら「残りはチップとしてくれ」と言っているようだ。 そういえば添乗員が言っていた。「そんなに遠くないので日本でいう1メーターの料金くらいになると思うが、タクシーを呼んでずっと待たしているので、10ユーロを渡してくださいね。」と。どうもまだチップの感覚が身についていないのでとまどってしまう。しかし他のタクシーで行った仲間は、「いや、おつりをくれたよ」とのこと。どうも人をみるのか。
このフラメンコ劇場はマドリードでもそこそこの所らしい。ちょっと期待して中に入っていくと、薄暗い中でステージが明るく照らされ、華麗なギター伴奏にのって踊りが繰りひろげられている。 お客さんもそこそこ入っていて、私たちのすわるテーブルは脇のほうになってしまう。おそらく常連さん達だろう、ワインを酌み交わしながら、静かにステージに見入っている。 料金は一人35ユーロ(5千円弱)ということで、事前に添乗員が取りまとめてくれている。1ドリンク付きだが、高いのか安いのかわからないが、ここヨーロッパにくると、どういうわけか気が大きくなってお金の価値観も変わってくるようだ。
ステージでは踊り子さんたちが、入れ替わりたちかわり切れの良い演技を披露してくれている。我々はもうカメラのフラッシュを焚くことに夢中で、楽しむというところまではいかない。地元の人たちが半分あきれているようにも見えるが、まあ外野席からなので自由にさせてもらおう。 しかし撮った写真、ほとんどピンボケである。暗い中での撮影はそれなりのテクニックが必要だが、如何せん、そういうものは持ち合わせていない。なんとか使えるのがこの1枚だけ。
〜つづく〜
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