航跡は前席の目の前にあるスクリーンから確認することができる。関西国際空港を離陸すると、ぐるっと一回りしてふたたび空港の上を通り過ぎていった。 あれれと思ったが、空港が下に見える。さて、これは離陸して数分しかたっていないのでおそらく伊丹空港だろう。 そして日本を縦断するような形で長野方面に向かうのである。
瀬戸内では暖かい毎日が続いているが、やはり中部のあたりにくると雪が目立ってきた。このへんは南アルプスと称されるあたりかよくわからないが、切り立った山肌をみるとその険しさが伝わってくる。平野も一面が雪に覆われている。
機内アナウンスで、右手方向に富士山が見えると伝えている。皆どっと席を立って移動しているが、さりとて大のおじさんが子供のように我先にと走り寄るわけにもいかない。じっと我慢である。
それにしてもどういう空路でフランスまで行くのか見当がつかない。行く先の事前学習もできていないのだから、行き方などまったくわからないのだ。この様子だとどうも北のほうから西に向かうのだろうということぐらいしかわからない。ロシアの上空を通るのか、少しばかり心が躍る。空の上とはいえ、異国の地に赴くような心境になる。
昨年の台湾がはじめての海外渡航だったが、それでも同じアジアの地、何かしらそんなに緊張感というものはなかった。しかし今回は全く異郷の地なのだ。そういう心境はフランスのパリ・ドゴール空港の着陸進入に入ってから、思う存分浸ることができたのである。
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