こないだ、夢を見てね。 - 2004年09月22日(水) 「わかったけどさ。あいこちゃん、それきちんとゆうくんに言ったの?」 ―言わないよ。あのときはそんなこと言える状況じゃなかったもん。 「でも言わなきゃわからないでしょう?」 ―それ言うくらいだったらさっさと別れてたよ。 「そうかい。じゃあ、仕方ないじゃん?」 ―理屈ではわかってるんだよ。でもなんだよ。 それに、色紙。メッセージなんかいらない。 何が書いてあっても、絶対素直に受け取れない。どうしても嫌だ。 「相当わだかまってるなあ。…でもどうにもならないだろ?」 ―うん。ならない。 「じゃあ、俺に言っても仕方ないだろ?」 ―うん。 「あいこちゃん」 ―はい。 「俺にその話をしてね、きみの気持ちが済むならね、いいよ。でもね。 俺は、何を信じたらいいのかなって思うときもあるよ。 他の人には話せないから俺に話すんだろうけどね、そういう話を聞くと、 あいこちゃん自身の、俺に対する言葉の信憑性が下がるんだ。 …ああ、ごめん、疲れてる。 今のはなんとなく言っただけだから、深く気にしないでほしいんだけどね」 ―いや。そうだと思うよ。今そう言われたからあわてて言うわけじゃないけど、 わたしもそのことはずっと考えてたんだ。 結局どうしたいのか、わかんなくってさ。 「いや、ほんと、いいよ、ごめん。深く考えないで。学会帰りで疲れてるんだよ」 ―…わかった。 それにわたしの考えがまとまってないのに、この話をしても意味がないよね。 ごめん、ずっとコンビニの前だよね。 「そうだよー、高校生じゃあるまいし、こんな夜に、 コンビニの前でずっと座らせてんなよ、俺は家に帰るぞ」 ―うん。 「少しは気が済んだか?」 ―はい。ありがとうございました。 「よしよし。元気だせ。まあまた話聞くから。起きてるときはな」 ―うん。じゃあね。おやすみなさい。 「じゃあな。おやすみ」 「あー、オレはこないだお前の夢を見た」 ―あら。どんな夢? 「なんかまた駄々こねてた」 ―まじで。何て? 「忘れた。それで”あーあーまたかよ”とか思ってたら目が覚めた」 ―え、じゃあなに、お願いはきいてくれなかったわけ? 「おう」 ―そっかぁ。 まあきっと大したことじゃないよ。 遊びに行きたいのになんでいないの家にいてよとか、 そんな程度のことじゃない? 「まあな。駄々こねるのもいつものことだし」 ―そそ。 「そうそう、じゃねーよ。まあもう諦めたけど」 ―ふふ。じゃあ来週、気が向いたらね。 「おう。気が向いたらな」 ―うん、また連絡する。暇がなければそう言って。 「ああ。じゃあな」 ―じゃあね。 ナイトメアの話。 夢は終わるが、目の前にある世界は終わらない。 でもこっちが現実だ。 -
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