「触れえぬ常盤の庭」
難しい事を考えるのはもうよそうか。
好きな人にこれからもきっと好きだからと言えて、
嫌いな人にこれからもきっと嫌いだからと言えた。
それだけできっと幸福だった。
枝折を挟んだまま、何時かまた開けられるとさえ思っていた頁。
閉じた時、破っていた事を忘れていて、何も無い頁をそのまま見つめていた。
何か見えるような気がして。
様々な答えはとっくに出ていた。
あの人がわたしを選ばずに旅立った時。
あの場所にわたしが最後の線を引いた時。
答えを待たなくても、其処に有った。
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