「12月の純潔」

辿り着いた途端、違う場所へ向かわなければならないような
残酷な時を過ごして来たわたしにとって
天上音楽の流れるような穏やかな永久は憧憬だった。

何を待ち、何を求め、何を証明しようとしていたのか。
穿たれたままの空洞をどうしても埋められず、
逃れてゆく体温に渇き続け、苛立って、祈りを吐き棄て、
運命そのものを喰らい尽くそうとした。
些細な破滅を繰り返して、何かに酷く怯えている自分を何処かで嘘にしながら。

一年で一番清浄な気持ちになれる。
何度目になるだろう。
12月に咲く百合を今年も眺めている。
「倖せ」という単純な言葉の意味を。
わたしを護るもの。わたしが護るもの。
呼吸絶えるまでの永久、運命ごとそっと抱擁する。
ロマンスの鎖に絡まったままで。
終りのないものを相変わらずのその笑顔に見つけさせて欲しい。
偽らずただ、一緒に生きていられるという事。
当たり前の事は何一つなかった。
その存在に最高の価値を付けて、わたしは呼ぶだろう。
あなたを。


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