「独占慾 PLEASE DON’T TOUCH」

事実、自分の大切なもの以外はどうでもいい。
恋愛についてクールに見えるのはそれに執着が無いからで、
こころの熱量くらい自分で把握している。
執着するという稀少。爆発的に生ずる慾。失う軌道。
交錯する感情を冷えた言葉で隠蔽する。
掻き消しても滲む独占慾を、
気付かれないように、驚かれてしまわないように、嫌われてしまわないように。
けれど胸は張り裂ける。喉奥が慟哭で渇く。
怒りに似た光で瞬きもせず、幾ら堪えても言葉代わりに涙が溢れくる。
その手も唇も髪も笑顔も言葉も背中もわたしのものだと。

純粋の脆さ。十六と二十歳の頃に似た。
Please don’t touch.It’s so mine.
未だこころの奥に秘めたあの頃の少女の声は今もわたしの中に息づく。



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