「虚無 NOTHINGNESS」

わたしの底に根付くもの。
悲しみも喜びも無い生がわたしの央に今も坐する。
虚無という言葉はそれだけで、わたしがひた隠したものを露にする。
それは求めるものが無い事に似ているか。
諦め尽くした世界に似ているか。
何も聴こえず何も眼に映らない事に似ているか。

均等を保つ為に遮断した感情。
両極に位置するこころ。愛と憎しみ。喜びと悲しみ。
片方を消そうとすればもう片方も消えてしまう。

屈託の無い幸せで上塗り、他から見えるまま、そのままに。
されど、滲み出す虚無。茫漠とそれは拡がる。
逃れる事は何時か出来るのか。
せめてもの抗いとして、思い込む。
わたしにとって生(あ)るならば必要。
虚無を忘れた刹那のみわたしは生ると感じられる。
多くその刹那を増やしていきたい。
わたしは生きていると永く思い込む為に。



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