蕩尽日記...OG-Love

 

 

それでも、フットボールはつづく - 2003年08月23日(土)

なんだか放心状態の朝だった。
だけど、僕の旅にはまだ続きがあって、フツーのヲタさんたちが富士急なり神戸なりに向かっているこの日、僕はもう一度、新潟に舞い戻らなければならない。

頂上決戦。
首位をはしるアルビレックスに、我らがサンフレッチェが勝負を挑む。
舞台は4万を超える観衆をのみ込んだ新潟スタジアム・ビッグスワン。
広島(勝ち点53)が、新潟(勝ち点57)に勝利しても順位は入れ替わらないが、この試合はどうしても勝たなければならない。一年でのJ1復帰、これは至上命題であるし、J史上初のJ1&J2両リーグでの優勝クラブに広島は輝かねばならないのだ。
過去の対戦成績では、公式戦4勝1分0敗と相性は抜群。
おまけに22得点をあげている相手エースのマルクスはこの試合でも出場停止。
広島有利の材料が揃っている、新潟イレブンを後押しする4万2千のホームサポーターを相手に闘わなければならないことと、僕の観戦試合成績1勝10敗という魔のデータ以外は。
そうなんです、みうらじゅん先生の「巨人人間と野球男」に出てくる「野球男」状態なんです。有り体に言えば疫病神みたいなモンです。
これは凹みますね、もし、自分が観に行かなかったのなら、勝てたんじゃないか?とか考えてしまうわけで。

13時過ぎに「新潟」着。
アウェイの白ユニを着込んで、再び新潟の地を踏む。僕のいでたちを見て、何か声を掛けてくる新潟人がいないかなぁ?と少しドキドキするも、みんなこっちに視線は向けてくれるんだけど、さすがに声を掛けたり、トマトをぶつけてくるような人は一人もいない。普段の僕は、試合のある日に、京都の街中とかでアウェイのユニを着ているサポの人とかを見かけたら、思わず「調子はどうですか?」みたいな声を掛けちゃうんだけどなぁ。もし、何か言われたら「一緒にJ1に行きましょう」って言おうと思ってたのにな。

19時のキックオフまでは相当時間があるんで、「ぽっぽ焼き」探索を再開。
駅前の観光案内所に入ると、丁度この日、市内の「万代橋」で架橋何十周年だかのお祭りをやっているらしい。係の人に尋ねると「屋台なんかも出ているかも知れない」とのこと。歩いて10分ほどなので、さっそく行ってみるも、結果は完全に空振り、屋台なんて一軒もない。
途中、ダイエーの前の通りで24時間TVの募金だかなんかをやっていて、協賛企業がテント出したりしてお祭りふうの賑わいだったので、そこに戻って探してみるも、ここでも空振り。
最後は案内所で聞いた「白山公園に行けば、ぽっぽ焼きの出店が常駐している」との情報を信じて、歩いて白山公園を目指そうと思ったんだけども、この白山公園に、普段、アルビが試合を開催している新潟市陸上競技場がある。その方角に、広島ユニを着て歩いてゆく僕に対して、擦れ違う人の目が「今日の試合は、ビッグスワンだよ。場所、違うよ」と言っている気がしてならない。
それにこれまで、「新潟でしか喰べられないってゆう、ぽっぽ焼き、ってのを喰べたいんですけどぉ」って、この恰好で訊くと、「あぁ、新潟を喰らう、って縁起担ぎだね?あんた」って反応がなんとなく相手の表情に浮かんでいるような気が幾度となくする。
これが僕の得意とするところの、勝手な思い込みとか疑心暗鬼とか言うヤツで、もうこうなるとこれ以上捜索を続ける気力が萎えてしまうのです。

目先を変えることにして、中古屋やCD屋を見つけては片っ端から入ってみて、「シグナル5」のCDを捜してみる。だが、これも全然、めっからない。
それに財布の中身も¥1500ばかりと、かなり心許ない状況になっていた。

いろいろ当てが外れた思いで、スタジアムに辿り着く。
我が目を疑う光景。Jの試合で、入場待ちの行列が何重にもなって延々続いている。それも先頃経験したイベとかの比じゃないような、モノ凄い数のオレンジ色に染まった人の山で、それが陸続と続いて途切れることなく、どんどん列は延び続けている。
当日券も当然、札止め。
僕はアルビのチケは取りにくい、と聞いていたから、一応、予め発売日に購入しておいて事なきを得たものの、まさに一見に如かずの桁外れの動員力で、大袈裟とかそんな言葉は通りこしている。西京極だとか、長居だとか、ビッグアーチを見慣れている僕には、もう信じ難い光景だった。羨ましかった。
こんな状況で試合する選手が、まかり間違っても負けられるわけないじゃないか。
プレーヤー、そして観客、共に幸せなフットボール・ライフに乾杯。

試合のことは忘れました。
ひとつだけ。来期、この場所で、この借りは必ずお返します。


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